「資産を大きく増やすには、ヘッジファンド(HF)への積極投資が不可欠」というセールストークは、富裕層を惑わす罠の一つです。本記事では、資産6億円の事業家が、金融機関やIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)の助言により、高額なヘッジファンドや外貨建て劣後債券に資産を集中させ、流動性を失った事例を解説します。
[ 目次 ]
1. 相談者の課題:営業員インセンティブによる「資産の硬直化」
今回の相談者様は50代前半の事業家で、総資産6億円を保有されていました。IFAに相談した結果、「資産を大きくするにはHFが必要」「キャッシュフローも得たい」というニーズから、ヘッジファンドや外貨建て劣後債にほとんどの資産を投資していました。
1-1. 流動性の欠如と投資機会の喪失
その結果、相談者様は以下の二重のリスクに直面していました。
- リターンの不振: ここ数年の上昇局面でも、資産があまり増えていない。
- 流動性の欠如: HFは解約に時間がかかり、劣後債は換金性が低いため、株価などが下落した際に積極的に投資ができずにチャンスを失っている。
1-2. 解決すべき課題:営業のバイアスと「達成可能目標」の分析
相談者様は、全体的に営業員のアドバイスに乗りやすい傾向があると自負していました。解決すべき課題は、営業員のアドバイスを鵜呑みにせずに、冷静な運用計画に則って運用を進めるということでした。

2. 課題解決へのステップ:営業バイアスの排除とコア・サテライトの再構築
私たちは、まず営業バイアスを排除し、相談者様のライフプランに基づいた分析を行いました。
2-1. 【STEP 1】営業員のインセンティブに関する知識伝達
相談者様に対し、営業員のアドバイスが、必ずしも顧客の利益と一致しない場合があることをお伝えしました。つまり良い商品ではなく購入して欲しい商品を案内することが場合によってはあるということです。この知識により、提案の裏側を冷静に分析する能力を身につけていただきました。
2-2. 【STEP 2】安定した運用での「達成可能目標」の分析
役員報酬、家族構成、目標とする金額などを踏まえ、現在の資産目標は、流動性の低いHF投資でなくても、株や債券、コモディティなどに分散した安定した資産運用で十分に実現できることが分析で判明しました。これにより、不必要なハイリスク資産への投資を排除することができました。
2-3. 【STEP 3】インフレ対応型コア・ポートフォリオへの組み替え
- 保険の見直し: 無駄な保険契約を見直し、キャッシュフローを改善。
- 資産組み替え: 今後の世界経済の情勢を踏まえ、インフレに弱い現金や流動性の低い劣後債券を、インフレに強い資産クラス(実物資産、株式など)に組み替えることをアドバイス。
- コア・サテライト: 安定性を確保するコア・サテライト運用を導入し、自立運用のために必要な知識をすべて伝達しました。
3. まとめ:流動性リスクと営業バイアスへの警戒
この事例は、資産管理における最大の敵が、流動性のリスクと営業のバイアスであることを示しています。投資は、営業員のインセンティブではなく、自身の目標と冷静な分析に基づいて行うべきです。不透明な商品に資金を硬直化させることは、優良な投資機会を失う「機会損失」という大きな代償を伴います。
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