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ファミリーオフィス基礎知識

日本でも広がるバーチャル・ファミリーオフィス(VFO)とは?仕組み・費用・従来型との違いを解説

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日本でも広がるバーチャル・ファミリーオフィス(VFO)とは?仕組み・費用・従来型との違いを解説

近年、資産管理の分野で「バーチャル・ファミリーオフィス(VFO)」という言葉を目にする機会が増えてきました。
ファミリーオフィスといえば、これまでは欧米の超富裕層が専属チームを雇用して運営する、限られた一族のための仕組みというイメージが一般的でした。
バーチャル・ファミリーオフィス(VFO)は、この仕組みをテクノロジーと専門家との連携によって再構成し、より多くの資産家が利用できる形にした新しい形態です。

今回は、VFOの定義と仕組み、シングル・ファミリーオフィス(SFO)/マルチ・ファミリーオフィス(MFO)との違い、費用の構造、そして利用を検討する際の留意点について、分かりやすく解説していきます。
当社は2019年の設立当初から、現在VFOと呼ばれるこの形態でサービスを提供してきました。
その運営の実際もあわせてご紹介します。

1. バーチャル・ファミリーオフィス(VFO)とは?その定義と仕組み

まず、VFOがどのような形態なのか、その定義と基本構造から解説します。

1-1. VFOの定義

バーチャル・ファミリーオフィス(VFO)とは、専門家を専属雇用で抱えるのではなく、必要な専門家を必要なときに委託契約で束ね、最適サイズのチームを編成して資産を管理するファミリーオフィスの形態です。専属チームを維持する従来型に比べてコストを抑えられ、状況やニーズの変化に応じて柔軟に体制を組み替えられる点が特徴です。

ファミリーオフィスの本質は、必要なときに、最適な専門家の知性にアクセスできる体制にあります。
VFOはその本質を保ったまま、状況やニーズの変化に応じて、必要なプロフェッショナルを柔軟にチーム編成できる形態です。

「バーチャル」という名称は、固定された物理的なオフィスや常勤の組織という「実体」を前提としない運営に由来します。
提供されるサポートの中身——資産運用、税務、相続・事業承継から、ライフスタイルデザインまで——は従来のファミリーオフィスと変わりません。
変わるのは、信頼できる専門家たちによる「自分専用のチーム」のしなやかな持ち方です。
なお、ファミリーオフィスそのものの仕組みについては「ファミリーオフィスとは?」でもご紹介しています。

1-2. VFOの仕組み——ウェルスマネージャーと専門家チーム

VFOの中心となるのは、一族の状況を把握し全体の戦略をまとめるウェルスマネージャー(ゲートキーパー)です。
ウェルスマネージャーが窓口となり、税務・法務・不動産・海外移住・教育といった各分野の専門家を、課題に応じて必要なときにチーム化します。

バーチャル・ファミリーオフィスの仕組み。ウェルスマネージャーが窓口となり、税務・法務・不動産・海外移住・教育などの専門家を課題に応じてチーム化する構造図

お客様から見れば、窓口はウェルスマネージャー一人でありながら、その先に各分野のエキスパートが控えている——これがVFOの基本構造です。

【関連情報】 ファミリーオフィスの歴史や機能の全体像については、「【完全ガイド】ファミリーオフィスとは?その歴史・種類・機能のすべてを専門家が徹底解説!」で網羅的に解説しています。

2. なぜ今、VFOが日本で広がっているのか

VFOが登場し、日本でも注目され始めた背景には、大きく3つの変化があります。

資産家層の広がりと「大資産移転時代」の到来
UBSの調査によれば、今後20年余りの間に世界で83兆ドル規模の富が世代間で移転すると予測されています(UBS Global Wealth Report 2025)。
日本のファミリーオフィス市場も、事業承継や包括的な資産管理への需要を背景に2034年には約18億米ドル規模へ、年平均約4%のペースで成長すると見込まれています(IMARC Group, 2026年)。
相続・事業承継・資産運用を一体で相談したいというニーズは、従来のファミリーオフィスが想定していた超富裕層の外側にも広がっています。
一方で、専属チームを雇用する従来型ファミリーオフィスの費用は、こうした層にとって現実的ではありませんでした。

テクノロジーによる運営の効率化と次世代の期待
オンライン面談やクラウドでの情報共有が一般化したことで、専門家が同じオフィスに常駐していなくても、チームとして一貫したサポートを提供できるようになりました。
次世代側の変化も見逃せません。
海外の調査では、資産を受け継ぐ次世代の81%が、相続から1〜2年以内に親世代の使っていた資産運用会社を乗り換える意向を示しており、その理由として最も多く挙げられたのが、希望するデジタルチャネルでサービスが提供されていないことでした(Capgemini World Wealth Report 2025)。
デジタルを前提とした資産管理体制は、次の世代へ資産を引き継ぐうえでの条件になりつつあります。

包括的な相談先への需要
証券・不動産・税務をそれぞれ別の会社や事務所に依頼していると、やり取りが煩雑になるうえ、全体を横断して最適化する視点が欠けてしまいます。
分野を横断してチームを編成できるVFOは、この「全体を見る人がいない」という課題への回答として広がっています。

3. SFO・MFO・VFOの違い——3形態を比較表で整理

ファミリーオフィスには、専門家チームの持ち方に応じて主に3つの形態があります。
チームを「専属で抱える」SFO、「複数の家族で共有する」MFO、「必要に応じて編成する」VFOです。
この3分類は、IMARC Group等の市場調査レポートが日本のファミリーオフィス市場のセグメントとして採用している標準的な分類でもあります。

3-1. 3形態の比較表

シングル・ファミリーオフィス、マルチ・ファミリーオフィス、バーチャル・ファミリーオフィスの3形態を、チームの持ち方・費用・柔軟性で比較した表

シングル・ファミリーオフィス(SFO)

  • 一つの資産家一族のためだけに設立される形態
  • 専門家を一族が直接雇用するため、完全にオーダーメイドのサポートを受けられる
  • 人件費やオフィス維持費を一族単独で負担するため、費用は3形態の中で最も高くなる

マルチ・ファミリーオフィス(MFO)

  • 複数の資産家一族が一つの専門家チームを常設組織として「共有」する形態
  • 費用を複数の家族で分担できるため、SFOより利用しやすい
  • サービスの範囲や進め方は、提供事業者の既存の体制に依存する

バーチャル・ファミリーオフィス(VFO)

  • すべてを専属で抱えるのではなく、必要な専門家を必要なときに委託契約で束ね、最適サイズのチームを編成する形態
  • 常設の固定費を構造的に持たないため、費用対効果と柔軟性を両立できる
  • 状況やニーズの変化に合わせて、局面ごとにチームを組み替えられる

なお、営利企業がサービスとしてファミリーオフィスの機能を提供する形態を総称して「コマーシャル・ファミリーオフィス」と呼ぶことがあり、MFOやVFOの多くはこれに含まれます。

3-2. 費用の差は「体制の構造」から生まれる

3形態の費用の差は、サービスの質の差ではなく、体制の構造の差から生まれています。

UBSの調査によれば、SFOの運営コストは運用資産に対して平均約0.4%にのぼり、その最大の要因はスタッフの人件費です(UBS Global Family Office Report 2025)。
これは平均資産が数十億円を大きく超える規模のファミリーオフィスの数字であり、資産規模がそれより小さい一族が自前でSFOを維持しようとすると、固定費の比率はさらに重くなります。

VFOは、この人件費やオフィス維持費といった常設の固定費を構造的に持ちません。
専門家への費用は必要な業務が生じたときに発生するため、体制の規模と費用が、資産規模や課題の内容に応じて変わります。

実際、世界のシングル・ファミリーオフィスの34%が、専門性の追加や事業のスケールのために第三者への委託の活用を広げる計画を持っており(Deloitte, 2024年)、「すべてを専属で抱える」モデルからの移行は世界的な潮流です。
VFOの費用対効果の高さは、無駄な固定費を構造的に持たないことによるものです。

4. VFOのメリットと留意点

VFOの利点と、利用を検討する際に確認しておきたい点を整理します。

4-1. メリット1:費用対効果の高さ

費用は、必要な専門家に必要な業務が生じたときに発生します。
常設の体制を維持するための固定費が積み上がらないため、同水準の専門性を、従来型より抑えた費用で利用できます。
「使っていない機能にも費用を払う」という従来型の無駄がなく、支払う費用と受けるサポートが対応しやすい構造です。

【関連情報】 ファミリーオフィスの費用に関する疑問は、「ファミリーオフィスへの依頼費用はなぜ高いのか」で詳しく解説しています。

4-2. メリット2:チーム構成の柔軟性

家族の状況は変化します。
事業承継が視野に入る、子どもの海外留学を検討する、不動産の売却を考える——そのたびに、必要な専門分野は変わります。
VFOは専属チームに縛られないため、局面ごとに最適な専門家へ入れ替えることができます。

4-3. メリット3:専門分野の広さ

雇用できる人数に上限がある専属チームと異なり、VFOでは提携する専門家ネットワーク全体が供給源になります。
税務・法務といった中核分野に加え、海外移住・教育・M&Aのような専門性の高い領域まで、カバー範囲を広く取れます。

4-4. 留意点:統括者の力量に品質が依存する

VFOは複数の専門家が委託契約で関わる形態であるため、固有の弱点も指摘されています。
海外の議論で挙げられる代表的なものは、①統括者(ウェルスマネージャー)が交代した際に一族の事情や判断の経緯といった「組織の記憶」が失われるリスク、②各分野の専門家がばらばらに動き、税務と運用のように本来連動すべき判断が分断される「サイロ化」のリスク、の2つです。

つまりVFOの品質は、それぞれの提案を束ね、一貫した戦略に落とし込む統括者の力量に大きく依存します。
VFOを検討する際は、個々の専門家の経歴だけでなく、次の3点を確認することが重要です。

  • 全体を統括するウェルスマネージャーは誰か。その人物にどのような実務経験があるか
  • 判断の経緯や一族の方針が、特定の担当者個人ではなく体制として引き継がれる仕組みがあるか
  • 費用の項目と金額が、着手前にすべて開示されるか

【関連情報】 専門家チームとウェルスマネージャーによる管理体制の詳細は、「【2026年最新版】最強と言われるファミリーオフィスの管理体制とは?組織の全貌を徹底解説」で解説しています。

5. 当社のバーチャル・ファミリーオフィス——2019年からの運営実際

私たちファミリーオフィスドットコムは、バーチャル・ファミリーオフィス(VFO)という呼称が国内で広く知られるようになる以前の2019年の設立当初から、いち早くこの形態に着目し、VFO型でサービスを提供してきました。

当社の運営では、ファミリーオフィスに20年以上携わってきた経験豊富なウェルスマネージャーが統括役を担い、50名以上のエキスパートの中からお客様の課題に合わせた最適なチームを編成します。
金融商品の販売は行わず、特定の金融機関とも提携しない中立の立場で、取引手数料ではなくサポート内容に応じた定額の顧問料という料金体系を採用しています。
費用はすべて事前に明示し、内容にご納得いただいたうえでサポートを開始します。

「ファミリーオフィスの本質は、必要なときに、最適な専門家の知性にアクセスできる体制にあります。
VFOは、余分なコストや固定概念を削ぎ落とし、その本質的な価値だけを形にした、資産管理のスマートな最適解だと考えています。」
(代表・渋谷 豊)

この「超保守的」な資産管理の考え方は「初めての方へ」で、ニーズに応じて選べる2つのプランは「ご利用の流れ・プラン」で、それぞれ詳しくご紹介しています。

実際のご支援の流れや解決してきたお悩みは、「事例紹介」および「利用者の声」でご覧いただけます。
ご自身の資産状況でVFOがどのように機能するのか具体的に知りたい方は、「無料相談」にて現状のお悩みからお聞かせください。

6. よくある質問

Q. バーチャル・ファミリーオフィス(VFO)とは何ですか?

A. バーチャル・ファミリーオフィス(VFO)とは、専門家を専属雇用で抱えるのではなく、必要な専門家を必要なときに委託契約で束ね、最適サイズのチームを編成して資産を管理するファミリーオフィスの形態です。専属チームを維持する従来型に比べてコストを抑えられ、状況やニーズの変化に応じて柔軟に体制を組み替えられる点が特徴です。

状況の変化に応じて、必要なときに必要なプロフェッショナルを柔軟にチーム編成できる点が、従来型との最も大きな違いです。

Q. VFOとマルチ・ファミリーオフィス(MFO)の違いは何ですか?

A. MFOはひとつの常設組織(スタッフ)を複数の家族で「共有」する形態であるのに対し、VFOは依頼者のニーズに応じて、信頼できる専門家たちと委託契約で「自分専用のチーム」をその都度編成する形態です。
VFOは、あらかじめ確保されたネットワークの中から必要なときにだけ最適な布陣を「編成」して動かすため、固定の人件費を抑えやすいうえに、家族の状況の変化に合わせて最も柔軟に見直せるメリットがあります。

Q. VFOはどのような人に向いていますか?

A. 資産運用・相続・事業承継などの課題を包括的に相談したい一方で、常設の専属チームを抱える従来型の費用は現実的でない、と感じている資産家に向いています。
また、すでに複数の専門家に個別に依頼しているものの、バラバラな点と点をつなぎ、必要なときに自分専用の最適チームとして機能させてくれる「横断的な統括役」が欲しいという方にも適した形態です。

Q. VFOを選ぶ際に確認すべきポイントは何ですか?

A. 全体を統括するウェルスマネージャーの経験と、費用の透明性の2点です。
VFOは複数の専門家が関わる形態のため、統括者の力量が品質を左右します。
また、費用項目が事前にすべて開示されているかどうかは、信頼できる事業者を見極める重要な基準になります。

7. VFOという選択肢を、資産管理の視野に

バーチャル・ファミリーオフィス(VFO)は、これまで一部の超富裕層に限られていたファミリーオフィスの仕組みを、必要な専門家を必要なときに束ねる体制によって、より多くの資産家が利用できるようにした形態です。

その優れた費用対効果と柔軟性は、依頼者の必要に応じて、その局面に最適なプロフェッショナルを「自分専用のチーム」として編成する、この合理的なアプローチで実現されています。
だからこそ、その都度のニーズを正確に見極め、最高の専門家たちを束ねる統括者の力量が品質の鍵であり、「誰が全体をプロデュースするのか」が事業者選びの核心となります。

世界的な資産管理の潮流と、国内のファミリーオフィス市場の着実な成長を踏まえれば、ファミリーオフィスという仕組みの本質を正しく理解したうえで、VFOというスマートな選択肢を視野に入れることは、資産の保全・運用・承継を長期の視点で考えるうえで極めて有意義だと言えるでしょう。

【関連情報】 ファミリーオフィスの歴史・種類・機能の全体像は、「【完全ガイド】ファミリーオフィスとは?その歴史・種類・機能のすべてを専門家が徹底解説!」をご覧ください。


本記事で参照したデータの出典

※本記事は、ファミリーオフィスという仕組みに関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・売却・保有や、特定の投資行動を推奨するものではありません。
資産運用・税務・相続に関する具体的なご判断にあたっては、ご自身の状況に応じて専門家にご相談ください。

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