トランプ・マスク関係の急速な悪化が政権運営に影
トランプ大統領とイーロン・マスク氏の関係が急速に悪化し、政権運営の新たなリスクとして浮上しています。2024年の大統領選でマスク氏は多額の資金提供とSNSでの強力な支持を行っていましたが、現在は両者の間に深刻な対立が生まれています。
マスク氏はSNS「X」でトランプ氏の名前がエプスタイン関連ファイルに含まれているとする主張を展開し、政界に波紋を広げました。さらに弾劾への賛意表明や「新党設立」に関するアンケート実施など、独自の政治的動きを強めています。
この対立は2026年中間選挙戦略に影響を与える可能性があり、スペースXなど政府契約企業への波及も懸念されています。政権内では警戒感が高まり、政府補助金や契約見直しの可能性も浮上しています。
米中関係改善への期待と協議再開
一方、トランプ大統領と習近平国家主席は6月5日に電話協議を実施し、米中関係改善に向けた重要な一歩を踏み出しました。協議では関税交渉の継続、相互訪問の再開、中国のレアアース輸出規制、中国人留学生のビザ問題が議題となりました。
習主席は台湾問題での慎重な対応を要求し、中国側の立場を明確に伝達しました。両国は5月のスイス閣僚級協議で追加関税を115%から引き下げることで合意していましたが、その後の進展は停滞していました。今回の電話会談により、財務長官やUSTR代表が参加する本格的な協議が再開される見通しとなりました。
テスラ株暴落が示す企業リスクの拡大
6月5日の米市場でテスラ株は14%下落し、約22兆円の時価総額が消失しました。これは2010年上場以来最大の下げ幅となり、マスク氏とトランプ大統領の対立が直接的な影響を与えたとみられます。
減税延長法案を巡るマスク氏のSNS批判に対し、トランプ氏は「彼はクレージーだ」と応戦し、政府補助金や契約見直しにも言及しました。これによりスペースXやニューラリンクなど他の事業への悪影響も懸念されています。
EV販売も政治的発言による逆風で伸び悩みを見せており、テスラの将来性に不透明感が強まっています。市場全体への波及も見られ、S&P500は0.5%安、ダウ工業株30種平均も108ドル安で取引を終えました。
日本市場の反応と今後の展望
6月6日の東京株式市場では日経平均株価が187円12銭(0.50%)高の3万7741円61銭と反発しました。前日の米中電話会談による関係改善期待がリスク選好を促進し、円安進行(1ドル=143円台後半)も輸出関連株の買いを誘ったからです。
しかし米5月雇用統計発表を控えた慎重な投資家心理により、後場は様子見ムードが強まりました。週末前のポジション調整も見られ、積極的な上値追いには至りませんでした。
政治的対立が企業業績や市場に直接的な影響を与える現状は、投資家にとって新たなリスク要因となっています。トランプ・マスク関係の今後の動向と米中協議の進展が、市場の方向性を左右する重要な要素として注目しています。
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