日本株先週の振り返り
先週(6月9日〜13日)の日経平均株価は、週初に3万8000円を突破しながらも、週末にかけて再び下落する展開となりました。終値は前週比92円64銭高の3万7834円25銭と小幅に上昇しています。週明けは、米雇用統計の改善により景気後退懸念が後退し、ドル円相場も144円台後半の円安が進行。さらに中国によるレアアース輸出許可報道などが好感され、買いが優勢となりました。
11日には米中貿易協議が前進したことを受けて、一時3万8500円台を回復。しかしその後、トランプ大統領が「2週間以内に関税率を設定する」と発表したことが市場心理を冷やし、12日は3万8100円台まで値を下げました。さらに13日未明、イスラエルがイランの核関連施設を攻撃したという報道が伝わると、地政学リスクが意識され、日経平均は一時3万7540円まで急落。ドル円相場も142円台へ円高が進み、リスク回避の動きが強まりました。
節目の3万8000円を巡る攻防が続くなか、SQ通過後も中東情勢の緊迫化により、相場には不安定さが残る週となりました。
日本株今週の見通し
今週(6月16日〜20日)の日経平均株価は、地政学的な不安材料が重石となり、不安定な展開が続く可能性があります。特にイスラエルによるイラン攻撃を受けて、イランの最高指導者ハメネイ師が「厳しい報復」を示唆しており、現地メディアでは「100機以上の無人機が発射された」とも報じられています。こうした報道は投資家心理を冷やし、相場の上値を抑える要因となり得るでしょう。
一方で、15日から始まるG7サミット期間中に行われる日米首脳会談では、関税交渉を巡る一定の進展が見込まれています。赤澤経済再生担当大臣が直前まで交渉を続けるとされており、合意内容によっては安心感から押し目買いの動きが出る場面も期待されます。
また、週明けには日銀の金融政策決定会合(16〜17日)と米FOMC(17〜18日)という重要イベントが続きます。いずれも現状維持の見通しが大勢ですが、イベント通過後は「悪材料出尽くし」と捉えられ、株価が下支えされる可能性もあります。
13日に日経平均は200日移動平均線を割り込み、3万8000円が再び上値の壁として意識される状況です。地政学リスクがさらに高まれば、相場には一段の下押し圧力がかかる可能性もあります。ただし、200日線を素早く回復するようであれば、買い戻しが勢いづく展開も視野に入ってくるでしょう。
今週の為替注目点
今週のドル円相場は、トランプ米大統領が「2週間以内に関税率を通告する」と表明したことや、中東情勢の緊迫化が重なり、上値の重い展開が予想されます。イスラエルとイランの対立激化による地政学リスクの高まりに加え、米国の通商政策への警戒感が円買い・ドル売りの要因となるでしょう。
注目されるのは、6月15日から開催されるG7サミットとそれに付随する日米首脳会談の行方です。自動車関税をめぐる協議では、対米輸出の多い日本と韓国がターゲットとなっており、トランプ大統領との交渉は難航が見込まれます。日韓・米韓首脳会談の調整も報じられており、為替市場では関連発言に神経質な反応が出る可能性があります。
金融政策面では、16〜17日に日銀金融政策決定会合、続いて17〜18日にFOMCが開催されます。いずれも現状維持が予想されるものの、日銀では国債買入れの減額幅や超長期債の消却方針が焦点となります。市場では買入れ減額幅が現在の月4000億円規模から半分の2000億円程度まで縮小されるとの見方が強まっています。
FOMCでは、金利据え置きの継続が想定される一方、景気判断の後退やドット・プロット(金利予測分布図)の修正が注目されます。地区連銀の報告では「ほとんど停滞」から「わずかに減退」へと景況感が引き下げられており、今後の政策スタンスに変化が生じるかが注目点です。
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