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【GOLD価格見通し】割れる市場予測と強気派の『4つの根拠』

【GOLD価格見通し】割れる市場予測と強気派の『4つの根拠』

本日は、2025年後半の金(GOLD)価格の見通しについて、市場の予測が弱気派と強気派で大きく割れる中、強気派が注目する「4つの根拠」をわかりやすく解説します。

今年に入り、GOLD価格は地政学リスクの台頭で年初来で20%を超える大幅な上昇を見せ、多くの投資家から注目を集めるアセットとなっています。

ただ、ここ直近では、高値の3,400ドルから3.5%近い下落となっており、これまで3,400ドル近くまで上昇した後に3度反落していることから、強気派の中にもやや不安を感じている方が増えているようです。

こうした中、シティグループが「2026年には金価格が2,500ドル近くまで下落するのではないか」というレポートを出したこともあり、市場の見通しは大きく割れています。

そこで本日は、強気派が「金価格が上がる」と言っている4つの根拠をお伝えします。ぜひ最後までご覧ください。

シティーグループの弱気レポート

金価格の見通しに対するシティグループのレポートが話題に

最初に、シティの金見通しについて、簡単にお伝えします。

下の図表は、1999年からの金価格の推移を示したものです。長期的に大幅な上昇が続いてきたことが分かります。

シティグループは、2025年後半~2026年にかけて、金の需要が徐々に弱まってくるとの見通しを示しました。年初来で20%を超える上昇を見せていましたが、今後は金価格が下がるのではと示唆しています。

シティのレポートは、アメリカの中間選挙でトランプ氏が支持を集め、また、利下げ等で経済が下支えされ、これまでリスク回避的に買われた金にとっては重しになる展開が待っていると予想し、2026年後半には、金価格が2,500〜2,700ドル程度まで調整すると見ています。

下値目処は2500ドル

もし金が2,500ドルまで下落すれば、現在の3,400ドルから約26%もの下落となります。すでに保有している投資家はもちろん、これから投資を検討している方々にとっても、非常にインパクトのあるレポート内容と言えるでしょう。

ただ、悲観的な見出しが多く見られる一方で、地政学リスクの高まり、経済不安の影響で「金価格が3,500ドルを超える」といった強気シナリオの存在も同レポートでは指摘されています。

つまり、同じレポートに強気・弱気の両方のシナリオが存在しているうえに、「3,000ドルを下回るシナリオ」と「3,500ドルを上回るシナリオ」があり、それぞれ約20%の確率で起こり得るとされています。

これを読めば、どちらに転がるかを示したというよりも、強気派に対して『高値に対する警戒感を少し持ったほうが良いのではないか』と示す程度の内容と言えます。

ただ、シティーグループが出したレポートは、マーケットにインパクトを持って受け止められ、注目を集めていることは間違いありません。

最近の金価格の上昇は先物主導

次に、金価格の現状を確認してみましょう。最近の金価格の上昇は、「先物主導」である点が非常に重要です。

左の図表は、「金のETF残高」と「金価格」を示しています。これまで金価格とETF残高は基本的に連動してきましたが、2024年以降は、その関係に変化が見られています。ETFへの需要の多さよりも、中央銀行による買い入れや、先物市場でのポジション増加による影響が大きいのではないか、と指摘されてい根拠になります。

右の図表は、「金価格と先物ポジション」の関係を示しています。先物ポジションがここ最近、大きく増加したことで、金価格も大きく上昇してきました。

ここ最近は、3,400ドルの高値をつけたことによる投資家心理の変更、地政学リスク・関税の落ち着きもあり、ポジションを巻き戻す動きが広がるのではないかという見方も出ています。

このように現物主導ではない中、先物で主導してきたマーケットは崩れやすいのではという点は、シティグループを含めた弱気派が指摘しているポイントです。

では、今後、ETFにしっかりと資金が入ってくる状況なのか、また、先物の巻き戻しが起こりうる状況に対し、どのような強気材料が存在するのか――ここが、今後のポイントになってくるのではないかと考えています。

強気派の4つの根拠

【根拠1】金ETFへの資金流出入

次に、強気派の根拠を4つ、ご説明します。

1つ目の根拠は、金のETFへの資金流入が今後増えるのではないか、です。

左の図表をご覧ください。各地域における金ETFの購入量を見ると、直近5月は資金が流出しています。これまでは資金の流入が非常に多く、先物主導の相場ではありましたが、徐々にETFへ資金が流れ込んでいたという経緯があります。

金価格が今後も上昇するのではないかと期待されていた中での5月の資金流出は、大きなニュースとなりました。

資金流出の背景には、米中関係の改善によるリスク選好が高まったこと、FRBが利下げに慎重な姿勢を示し、金にとってプラス材料となる利下げができないのではと言われています。

右側の図表は、週次での資金流入ですが、6月に入ると流入が再び始まっていることが確認できます。

その背景には何があるのでしょうか。

今後の利下げに向けて、FRBのスタンスが徐々に柔軟になってきていることがあります。加えて、米国経済のハードデータで一部鈍化が見られ、雇用も若干悪化していることから、今後の景気リスクに対する市場の感応度が高まった結果、安全資産への逃避として金に資金が流入しました。

FRBが利下げを行う、雇用など景況感に懸念がある状況が続くようであれば、引き続き金のETFへの資金流入が続くのではないか、というのが1つ目の根拠となります。

【根拠2】利下げ期間中、利下げ期待に対する金価格のパフォーマンス

2つ目の根拠は、FRBのスタンスと金価格との関係性です。

過去の利下げ期間中、利下げ期待に対する金のパフォーマンスを見てみましょう。FFレートの推移が青、金価格は黄のチャートです。青のFFレートが下がっている局面、つまり利下げ期間中は、金が大きく上昇する傾向があります。

具体的に見ると、2001~2003年の金利引き下げ局面では、金の上昇率が+27%。2007年~2008年も+27%、2020年にも+29%と、景気後退も絡みますが、金利引き下げ局面では金が大きく上昇しています。

したがって、現在のように利下げを継続しているタイミングでは、引き続き金に対する需要が強い状況が続くと見られています。

さらに、Fed Watchと連動する利下げ見通しと、金のパフォーマンスの関係を見てみましょう。青は利上げを行う見通しの%、赤が利下げを行う見通しの%を示しています。

赤のチャートが上に張り付いている、もしくは上がってきている状況では、大きく金が上昇していることが分かります。

一方で、青いチャートが上がっているときには、金価格はほぼ横ばいとなっています。

つまり、利下げ期待が高まったときには、過去の傾向から見ると、金価格が上がっているのです。

先週以降から、今年は年2回の利下げ、もしく3回の利下げ、さらには、来年以降も利下げが続くとの見方が強まっています。そうなれば、金の需要が高まるのではないかというのが、強気派の根拠となっているのです。

【根拠3】中央銀行のスタンスに変化なし

次に、中央銀行のスタンスです。

中央銀行の外貨準備構成において、水色で示した金はユーロを超え、準備金において2番手の地位を確保しました。中央銀行は購入後、ホールドする傾向がありますから、需要が非常に高まっている状況は変わりません。

さらに、ワールド・ゴールド・カウンシルの資料を見ると、今後12ヶ月で、「金を増やすか」と各中央銀行に質問したところ、95%が「金を増やす」と回答しています。過去5~6年間で見ても、最も高い状況にあることが中央銀行のスタンスとして分かります。

さらに、右図表にあるように今後の方針としては、76%が「外貨準備において金の割合を増やす」と解答しています。中央銀行のスタンスに変わりがないことから、金の需要が増える3つ目の根拠となっています。

【根拠4】米債務と財政がもたらす”金”への回帰

最後に4つ目の根拠です。黄色が金価格、青が米国政府の債務残高GDP比です。緑は米連邦政府の財政が赤字か黒字かを示し、下に棒グラフが伸びている場合は財政赤字を示します。

米国債務と財政が赤字、もしくは米国債務の比率が上がってくる、超大国の財政で懸念が高まってくると、金の需要が増える傾向があります。

今、トランプ政権が行っている大型減税の継続、軍事費の拡大や、NATOにおける軍事費拡大などを踏まえると、世界的に政府の債務が増える傾向にあります。金の役割は希少性、実物性であるとして、資金流入が期待できるのではと示されています。

今週は、金の見通し、なぜ強気派が金を推しているのかという4つの根拠をご紹介しました。シティグループは、2026年にかけて金価格が1オンス=2,500ドル程度まで下がるという予測を出しています。現在の水準から考えると、20%を超える下落が想定されるものであり、金を保有している、保有する予定の投資家にとっては非常にネガティブなニュースとも受け取れる内容です。

ただし、強気派の根拠を見ると、今後も金が堅調に推移する可能性を示す材料も多くあります。米国の財務状態がどうなっているか、ETFへの資金流入があるか、FRBの利下げはどのようなスピードで進むかなどが大きな影響を与えます。

普段から、こういったポイントに注目いただければ、今後の金の見通しを立てることができるかと思います。株や債券と違った値動きをすることから、ポートフォリオでも非常に重宝される資産です。ぜひ、今後も金の価格を追いかけていただければと思います。

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