強い雇用統計が米株式市場を押し上げ
7月3日発表の6月米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比14万7000人増と市場予想の11万人増を上回り、失業率も5月の4.2%から4.1%に低下しました。この強い雇用データは米景気懸念を後退させ、米国株式市場に安心感を広げました。
これを受けて3日の米株式市場は大幅反発し、ダウ工業株30種平均は前日比344ドル高の4万4828ドルと2月上旬以来の高値で終了。ナスダック総合株価指数とS&P500種株価指数も連日で過去最高値を更新しました。トランプ減税延長法案の審議進展や、対中半導体輸出規制の撤回による米中関係改善への期待も相場を支えました。
日経平均は一時4万円台回復も上値の重さ露呈
米株高と日米金利差拡大に伴う円安進行(1ドル=144円90銭台)を背景に、4日の東京株式市場では日経平均が一時4万円台を回復しました。半導体関連株の上昇や海外投機筋による先物買いが株価を押し上げましたが、朝方の4万円台乗せ後は利益確定売りや戻り待ちの売りに押され、最終的に前日比24円98銭高の3万9810円88銭で終了し、上値の重さが目立ちました。
7月FOMC利下げ観測が大幅後退
強い雇用統計は、米連邦準備理事会(FRB)による7月29〜30日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ期待を大きく後退させました。金利先物から算出される7月利下げ確率は、雇用統計発表前の23.8%から5.2%へ急低下し、年内利下げ回数の予想は「2回程度」へ戻っています。
今後の焦点は失業率が4.3%以上に上昇するかどうかであり、市場参加者の視線は9月16〜17日のFOMCへと移りつつあります。
今後の見通し
現在の日本株市場は、業績の裏付けが乏しいままPER(株価収益率)の上昇によって株価がけん引されてきたため、やや足踏み状態にあると見られています。短期的にはETFの分配金確保のための売りや、株式持ち合いの解消に伴う売却が上値を抑える要因です。また、米国による相互関税の猶予期限が迫っていることや、その影響が4〜6月期の決算でどう表れるかへの不透明感も投資家心理に影響しています。
一方で、キユーピーに見られたような「海外売上の拡大」「自社株買い」「親子上場の解消」といった複合的な企業改革が注目されています。
キユーピーは2024年12月〜2025年5月期に営業減益となったものの、海外売上が13%増の494億円と好調で、中国・アジア市場の成長が注目されています。また、ジャム製造子会社アヲハタを完全子会社化し、親子上場の解消によるガバナンス強化にも踏み切りました。さらに、総額240億円の自社株買いも発表し、資本効率の改善や需給の引き締めを図っています。これら3点の改革が企業価値向上につながると期待されています。
もしこうした動きが他企業にも波及すれば、資本効率や株主還元への意識向上、事業構造の見直しが進むことで、日本株の中長期的な評価が高まる可能性があります。金融政策への期待だけに依存せず、企業の自律的な変化が株価の持続的な成長を支える展開が期待されています。
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