プラチナ相場の見通しと金との関係~復権への道筋と投資戦略
長らく低迷していたプラチナ相場が、近年大きな転換点を迎えています。2015年のフォルクスワーゲン排ガス不正問題以降、ディーゼル車需要の減少により排ガス浄化触媒としてのプラチナ需要が大幅に落ち込み、価格は長期間にわたって低迷を続けてきました。しかし、金価格の史上最高値更新という市場環境の変化の中で、プラチナは相対的な割安感から投資家の注目を集め、復権の兆しを見せています。
現在のプラチナ市場の特徴は、産業用途が需要の約7割を占める構造にあります。これは金とは異なる特性であり、中国の景気動向や自動車産業の変化に大きく左右される要因となっています。しかし、この産業需要の依存度が高い特性こそが、現在の市場回復の原動力となっているのです。
金価格高騰がもたらすプラチナへの波及効果
金価格の史上最高値更新は、脱ドル化の流れが背景にあります。米国によるロシア制裁でドル決済が制限されたことで、新興国を中心にドル離れが加速し、代替資産として金が大量に購入されています。この金価格の高騰により、相対的に割安なプラチナに投資資金が流入する構図が生まれています。
日本国内では、個人のプラチナ地金販売量が1月と比較して7月には7倍に膨らむなど、投資家の関心が急速に高まっています。金が高値圏で上値の重い展開を続ける中、プラチナは値上がり益を期待できる代替投資先として位置づけられているのです。
需要回復の具体的な動向と供給制約
プラチナ需要回復の最も注目すべき要因は、中国での宝飾需要の急拡大です。若者を中心にプラチナ製ジュエリーの人気が高まり、2024年4-6月期には世界年間産出量の約2割にあたる10トン超が毎月中国に流入しました。これは従来の需要構造を大きく変える動きとして注目されています。
自動車産業においても構造変化が起きています。排ガス浄化触媒に使用する貴金属を、パラジウムからプラチナに切り替える動きが出ており、これがプラチナ需要の回復を後押ししています。さらに、最大産出国である南アフリカでの水害による生産制約も、供給面からの価格上昇要因となっています。
今後の価格見通しと投資戦略
金融機関の間では、プラチナ相場の見通しを引き上げる動きが活発化しています。スイスのMKS PAMPは2025年後半に最大1600ドルまでの上昇を予想し、英HSBCも2025年の年間平均見通しを1030ドルから1215ドルに上方修正しています。英精錬大手ジョンソン・マッセイは2025年の世界白金需給が23トンの供給不足になると予測しており、この需給逼迫への思惑が投機マネーの流入を促進しています。

出所:Google Finance
現在のプラチナ相場は直近高値からは調整していますが、底堅さが目立つ状況です。金との価格差は徐々に縮まっており、プラチナが高騰する金の代替資産としての役割を強めています。ただし、プラチナ価格は中国経済の動向や自動車産業の構造変化など、多様な要因の影響を受けるため、今後の市場動向を慎重に見極める必要があります。投資家にとっては、金との相関関係を理解しながら、中長期的な需給バランスの変化を注視することが重要な投資戦略となるでしょう。
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