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政局不安と米中摩擦が招いた市場の動揺~日経平均急落と金価格の史上最高値更新

政局不安と米中摩擦が招いた市場の動揺~日経平均急落と金価格の史上最高値更新

複合的要因による日経平均株価の大幅下落

2025年10月14日、東京株式市場で日経平均株価は前週末比1241円(2.58%)安の4万6847円で取引を終えました。取引時間中には一時1500円を超える下落を記録し、市場に衝撃が走りました。この急落の背景には、国内の政局不安と米中貿易摩擦への懸念という二つの大きな要因が複合的に作用しています。

国内政局では、公明党が自民党との連立政権から離脱したことで、政治の先行き不透明感が一気に高まりました。この影響は市場心理を直撃し、日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は一時34台まで上昇し、4月22日以来の高水準を記録。投資家の不安心理の高まりを受けて、利益確定売りや買い控えの動きが広がりました。

特に影響を受けたのが、自民党の高市早苗総裁の就任を見込んで買われていた「高市トレード」関連銘柄です。防衛関連のIHIが一時3%超安、サイバーセキュリティー銘柄のNECは4%超安、核融合関連のフジクラは一時5%安となるなど、政策期待で上昇していた銘柄の調整が目立ちました。

市場が最も警戒しているのは、野党がまとまって政権交代が実現する可能性です。新政権の政策遂行能力への不透明感や、成長分野への投資が遅れる懸念が、日本株全体の重荷となっています。

米中貿易摩擦の再燃による市場の混乱

国内要因に加えて、米中対立の激化懸念も日経平均株価の下落を加速させました。トランプ米大統領が10日、中国のレアアース輸出規制に反発し、大幅な関税引き上げを示唆したことで、日経平均先物は週末に4万5100円台まで急落する場面がありました。

トランプ大統領の言動は「指先介入」や「マッチポンプ」と表現されるほど、市場を大きく揺さぶりました。10日に強硬姿勢を示して市場を動揺させた後、12日にはSNS上で一転して「中国については心配するな、全部うまくいく!」と楽観的な見方を表明し、買い戻しを誘いました。この発言転換を受けて、米株市場では13日にダウ平均が急反発し、10日の下げ幅の「3分の2戻し」を達成しています。

しかし、米中対立の不確実性は完全には解消されていません。14日には中国商務省が、米国の通商法301条に基づく中国造船業調査に協力した韓国系米企業5社に対して制裁を発表し、後場の株価の重荷となりました。

安全資産としての金価格が史上最高値を更新

米中対立への懸念は、リスク回避の動きを強め、安全資産である金価格の上昇につながりました。国内指標となる金価格の小売価格(田中貴金属工業公表)は14日午前、前週末比618円(2.8%)高の1グラム2万2326円となり、初めて2万2000円台に到達し、最高値を更新しました。

国際指標であるニューヨーク金先物も14日のアジア時間の取引で、一時1トロイオンス4160ドルを超え、史上最高値を更新しています。金価格の上昇は、トランプ大統領が対中関税の100%上乗せ方針を打ち出したことで、市場で再び貿易摩擦が強まることへの懸念が高まったことが背景にあります。運用リスクを分散するため、それ自体に価値がある現物資産としての金や銀への需要が高まり、価格を押し上げました。

市場の底堅さと今後の展望

大幅な下落にもかかわらず、市場には一定の底堅さも見られました。国内政局に関する市場の基本シナリオは「自民党が少数与党として政権を維持すること」であり、この場合、政権運営の難航は予想されるものの、株式相場の一段の下げは限定的との見方が多数を占めています。

また、公明党が連立から離脱しても「大枠の財政拡張路線は変わらない」という見方や、企業業績への直接的な影響は考えにくいため「押し目買いのタイミング」と指摘する声もあります。

今回の市場の動揺は、国内政局と国際情勢という二つの不確実性が重なったことで増幅されました。しかし、投資家の間では冷静に状況を見極めようとする動きも見られ、短期的な変動を超えた中長期的な視点での投資判断が求められています。

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