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【米国株式市場】強気相場に潜む見逃せない3つの兆候【10/27 マーケット見通し】

【米国株式市場】強気相場に潜む見逃せない3つの兆候【10/27 マーケット見通し】

本日のテーマは、『米国株式市場 強気相場に潜む見逃せない3つの兆候』です。

まずはS&P500の推移を示した、こちらのチャートをご覧ください。24日の終値は6,791ポイントで、週間の騰落率は+1.92%、年初来では+15.47%と高値を更新しています。

非常に堅調な推移を続ける米株式市場ですが、S&P500だけでなく、ニューヨークダウもナスダックも相次いで年初来高値を更新しています。

この高値更新の傾向が今後も続くのかどうか。現状を分析したうえで、3つの注目ポイントと懸念点について確認したいと思います。ぜひ最後までご覧ください。

引き続き堅調な米国経済

米経済は引き続き安定的推移

最初に米経済の現況を確認します。こちらに示したのは、ニューヨーク連銀が発表しているGDPナウキャストです。他にも有名なところではアトランタ連銀のGDPナウがあります。

2025年第4四半期は、10月24日発表の数値で+2.26%と引き続き堅調です。経済の減速傾向は確認されておらず、安定的な成長が続いているといえます。

製造業、サービス業PMIともに予想を下回る

次にご覧いただきたいのは、同じく10月24日に発表されたS&P500グローバルによるアメリカの製造業・サービス業のPMIです。いずれも景気の分かれ目とされる50を上回る結果となりました。たとえば製造業PMIは速報値で52.5と、前月の52から上昇。市場予想の52も上回りました。また、サービス業PMIも55.2と、前月の54.2、そして市場予想の53.5を上回る好結果でした。

このように製造業・サービス業ともに市場予想を上回る安定した水準を維持しており、現時点では景気後退の兆候は見られない状況です。

米小売企業の売り上げは堅調に推移

続いて、こちらのデータをご覧ください。これはS&P500の小売総合指数で、1株当たり売上予想を示したものです。先週はレッドブック、百貨店の売上をご紹介しましたが、S&P500の小売総合指数の1株当たりの予想売上高も、ここ数週間で急速に上昇し、過去最高値を更新しています。優れた小売売上高の指標として知られる、こちらの指標でも小売が今週も減速していないことが確認できました。

米国の破産申請件数は落ち着いている

また先週の記事で、一部で取りだたされている地方銀行の信用不安は限定的なもので、懸念の必要はないとお伝えしましたが、ブルームバーグのデータでも同様の傾向が確認できました。

白いチャートはアメリカの破産申請件数の推移を示しており、低下傾向にあることが分かります。景気悪化局面では倒産件数が増えるものですが、現状は低位で推移しており、スプレッドを示す青いチャートも拡大していないため、信用リスクが信用不安は一部で取り沙汰された一時的な事象に過ぎず、長引くようなものではないと、現状は言えるでしょう。

米企業業績の見通し

企業経営者は業績見通しについて楽観的

加えて、今週で決算発表シーズンも終盤に入り、先週までに全体の約3割の企業が決算を発表していますが、87%の企業がEPS予想を上回る好決算となりました。過去5年平均が78%、10年平均が75%ですから、かなり多くの企業が予想を上回ったことになります。S&P500全体の年次収益成長率も+9.2%と、力強い成長を示しています。

こうした好調な業績が、S&P500のPER22倍という高いバリュエーションを支える背景となっています。

さらに注目すべきは下のチャートです。過去の実績以上に今後のガイダンス、見通しが株価に与える影響は大きくなるわけですが、ガイダンスを引き上げる企業が増加しています。

濃い青のチャートを見ると、8.3%の企業が上方修正しており、過去と比べて極端に高い数字ではないものの、注目すべき点があります。それが薄い水色で示した、ガイダンスを下方修正した企業の割合が1.3%に留まっていることです。下方修正が1%台に収まるケースは下位1%にあたるほど、ほとんど例がありません。ガイダンスを大きく引き上げているわけではないものの、ただし悲観的な見通しを示す企業がほとんどないのです。経営者たちが総じて業績見通しに強気な姿勢を見せていることが分かりました。

企業経営者は経済見通しについて楽観的

次にご覧いただきたいのは、企業経営者が経済をどう考えているかです。ここまで経済が安定しているとお伝えしましたが、経営者も同じような感覚を持っています。

こちらは決算発表の中で、マクロ経済(雇用や経済減速)について、どの程度言及されたかを示したものです。2000年以降のデータと比較しても、現在は非常に低い水準となっています。コメントの中で雇用不安、景気悪化といった懸念がほとんど聞かれないことから、企業業績だけでなく、マクロ経済についても強気な見方が広がっていることが分かります。

このように経済、企業業績、ガイダンスの内容を見ても、いずれも堅調な状況が続いています。相場が強気に傾いている理由も、こうした背景から説明できるといえるでしょう。

一方で、このままの強気相場が永続するのかと問われれば、そうとは限りません。足もとでは、いくつか気になる兆候も見え始めています。ここからは、今後の相場における3つの兆候についてお伝えしたいと思います。

強気相場に潜む3つの気になる兆候

【気になる点①】好決算は目先織り込まれている可能性

1つ目は決算後の株価の反応です。好決算企業が多いとお伝えしましたが、実は今回、EPS予想を上回った企業でも、決算発表後にS&P500の指数を平均0.3%下回っています。これは過去と比べても珍しい現象で、決算発表後に株価が下がるケースというのは、2020年第4四半期以来となります。

これが意味するのは、決算がいいことをマーケットは織り込んでいるため、発表内容が予想を大きく上回らない限り、材料出尽くしとして売られているということです。

予想を下回れば株価が下がるのは自然なことですが、予想を上回っても株が売られる、もしくは市場平均をアンダーパフォームしていることから、すでに市場がかなりの部分を織り込み済みであることを示唆しています。仮にこの流れが続くようであれば、最高値を更新したとはいえ、目先は上値の重さが意識される展開になる可能性があります。

【気になる点②】NY証券取引所の証拠金債務が過去5ヶ月間で記録上最速のペース

2つ目の兆候です。こちらはマージンデット、NY証券取引所における証拠金債務を示したチャートです。証拠金債務残高が大きくなることは、投資家がレバレッジをかけて投資していることを示します。レバレッジをかけるのは、マーケットが非常に強気なときで、逆にマーケットが崩れると証拠金を返すために取引を閉じ、売りが加速します。

現在の水準は前年比で、証拠金残高が50%近くなっています。この水準に達したのは、2000年11月、2007年5月、1999年など、ITバブル、リーマンショック、コロナショック後の回復時であり、過去5ヶ月間での増加ペースで見れば、過去最大となっています。4月以降の株価上昇の背景には、証拠金取引の増加がありました。何らかの下落するきっかけがあれば、アンワインドする動きが出てくるため、反転時には大きく下がる可能性があることは把握しておく必要があるでしょう。

ただ、マージンデットは50%を超えてからも伸びているように、50%を超えたからといって、すぐに下落へ反転するわけではありません。あくまで傾向として把握するものであり、いつ下落するかは分かりません。したがって、短期的には現在の良好なファンダメンタルズを背景に上昇する局面があるものの、中期的に見れば、リスクがあることを把握しておく必要があるというのが、2つ目の兆候です。

【気になる点③】世界的な金融緩和が株価を支えるが反動が気になる

最後、3つ目の兆候です。世界的な金融緩和が株価を支えてきたわけですが、その反動が気になります。

こちらのグラフは、過去24ヶ月内に世界の中央銀行がどれだけ利下げを実施したかを示しています。2010年8月、リーマンショック後には、世界全体が協調して累計313回の利下げを行いました。その後、コロナショック時には255回の利下げが実施されています。そして今回、2025年時点では、すでに合計312回の利下げ、リーマンショック時と同程度の利下げが行われているのです。

ここで注目すべきは、経済状況の違いです。2008年から2010年にかけてのリーマンショック期には、世界のGDPがピークから2.5%減少し、明確なマイナス成長となっていました。したがって、当時の利下げは景気刺激のため当然のことだと理解できます。

一方で、今回は状況がまったく異なります。アメリカの名目GDPは24ヶ月間で累計11%上昇していますが、世界では312回もの利下げを行っているのです。

景気が悪い中での利下げではなく、景気が維持されている中で、過去のリーマンショック時と同程度の利下げを行っていることが、株価を押し上げる大きな原動力となっていることは間違いないでしょう。

ただ、景気がいい局面での利下げは、過剰な金融緩和、株価にとってサポーティングな状況にあると言えるため、長期的な視点で見れば、反動がいつ起きてもおかしくありません。

さらに、利下げを前提に支えられているマーケットだとすれば、景気がいいからと利下げペースの鈍化、停止が示された場合、株価はネガティブに反応する可能性があります。ゴルディロックス相場と呼ばれるように、ぬるま湯的な相場になっていることはどうしても否めません。

世界経済を見ても、米経済を見ても、現時点は景況感がしっかりしており、直ちに崩れるような兆候は見られません。それでも、マージンデットや緩和ありきの相場、マーケットの決算がいいことを織り込んでいる相場というのは、何かのきっかけで調整が起こりやすい局面にあることは意識しておく必要があります。

ただ、株価が崩れたときには経済が良好であることから、調整のボトムは浅く、早めに買いに支えられる展開が続くことでしょう。こうした3つの兆候を念頭に置きながら、今後のマーケット動向を冷静に見ていくことが重要です。

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