パキスタン仲介による米イラン停戦合意の概要
トランプ米大統領は日本時間の4月8日朝、自身のSNSを通じて、イランへの爆撃・攻撃を2週間停止することに合意したと発表しました。この合意はパキスタンのシャリフ首相の要請を受けたもので、イランがホルムズ海峡の完全かつ即時の安全な開放に同意することを条件としています。
イラン側もこの2週間の停戦案を受け入れており、アラグチ外相は「攻撃が停止されれば防衛作戦を停止する」と表明しました。報道によれば、イスラエルも停戦に同意しているとされ、4月10日にはイスラマバードで和平交渉が始まる見通しです。
東京市場は急騰、半導体関連が牽引
停戦合意を受け、4月8日の日経平均株価は大幅上昇しました。終値は前日比2878円(5.39%)高の5万6308円となり、取引時間中には一時3000円に迫る上昇幅を記録。約1カ月ぶりに5万6000円台を回復しています。
AI・半導体関連銘柄が市場をけん引し、アドバンテストが一時13.53%高、古河電気工業が一時17.47%高と急伸しました。一方、有事への警戒から買われていた銘柄には売りが先行し、日本郵船や商船三井などの海運株、INPEXなどの石油関連株が大幅に下落しています。この株高の流れはアジア全体にも広がり、韓国KOSPIが一時7.73%高をつけました。
原油急落と株・円・債券のトリプル高
中東緊張の緩和を受け、原油先物は急落しました。WTI原油は前日の117ドル台から一時91ドル台まで約2割下落し、北海ブレントも一時15%安となっています。
原油安を背景にインフレ懸念が後退し、国内金融市場では株・円・債券が同時に上昇する「トリプル高」の展開となりました。円相場は一時1ドル=158円30銭まで急伸し、新発10年国債利回りは2.375%に低下しています。
「TACO」トレードの限界?
前日(7日)の米国株式市場では、停戦交渉の期限が迫る中での不透明感からダウ工業株30種平均が反落しました。しかし、パキスタンからの期限延長要請などの思惑から取引終盤には下げ幅を縮小しています。
近年、米国の個人投資家の間では、トランプ大統領が威嚇を繰り返しながらも最終的には攻撃を回避する「TACO(Trump Always Chickens Out=トランプ氏はいつもおじけづく)」と呼ばれる行動パターンを見越したトレードや、相場下落時に買い向かう押し目買い戦略が流行していました。しかし、連日の激しい情報戦と株価の乱高下に疲弊した個人投資家の間では弱気な見方が広がっており、守りの姿勢へのシフトも見受けられます。
今後の展望と日銀政策への影響
市場では依然として慎重な見方も残っており、「2週間の停戦合意だけで一方的に円高・ドル安が進むとは考えていない」との声も聞かれます。真の焦点はホルムズ海峡を船舶が実際に安全航行できるかどうかにあり、さらなる株高には原油安の継続が不可欠です。
日銀の金融政策については、野村総合研究所が「原油高水準と景気下振れリスク、円高進行を踏まえると4月会合での利上げはない」と予想しています。みずほ証券も同様に利上げ見送りの可能性が高いと分析する一方、パインブリッジ・インベストメンツは「停戦で中東紛争の長期化観測が後退し、4月利上げ観測が高まる」との見方を示しています。
10日からの和平交渉の行方や実際の海峡安全確保など、課題は依然山積しており、市場は引き続き中東情勢を注視していくことになります。
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