4月16日の米国株式市場では、ハイテク株の比率が高いナスダック総合指数が2009年7月以来、約16年9カ月ぶりとなる12営業日連続の上昇(12連騰)を記録しました。米国とイランの和平協議に対する期待が相場上昇を支え、トランプ米大統領が「イランとの合意に近い」と発言したことが投資家心理を好転させました。
この上昇を牽引した主役は、AI(人工知能)ブームを背景とした半導体関連銘柄です。主要な半導体関連銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は連日で最高値を更新し、半導体ETFの「iシェアーズ半導体(SOXX)」も12日続伸しました。時価総額首位のエヌビディアは1999年の上場以降で最長となる11日続伸を記録し、AIや量子コンピューター分野での成長期待から株価が約5カ月ぶりに200ドル台に乗せる場面も見られました。
[ 目次 ]
日本市場への波及――日経平均最高値更新と「半導体一極集中」
米国のハイテク株高は、半導体産業に強みを持つアジア市場へ多大な恩恵をもたらしています。16日の日本市場では日経平均株価が1カ月半ぶりに最高値を更新し、史上初の6万円超えを射程に捉える5万9518円を付けました。
この株高の背景には、海外投資家による猛烈な日本株買いがあります。財務省の統計によると、海外勢は4月5日から11日の週に日本株などを3兆9433億円買い越し、現行基準での統計開始以来最大の買越額となりました。また、例年4月は海外投資家からの資金流入が膨らみやすい「アノマリー(経験則)」があり、今年はトランプ減税の影響で米国の税還付金が多く、その資金が日本株に流入しているとの分析もあります。
バンク・オブ・アメリカの機関投資家調査によれば、アジアの投資家は日本株の中で「半導体セクター」を最もオーバーウエートにしており、キオクシアホールディングスやソフトバンクグループといった銘柄に資金が集中しています。一方で、日経平均をTOPIXで割った「NT倍率」が過去最高水準の15.60倍に達しており、一部銘柄への「オーバーシュート(行き過ぎ)」への警戒感も生じています。
台湾市場への影響――時価総額で英国超え、世界7位の躍進
台湾株式市場も、米国発の半導体株高の恩恵を最大限に受けています。イラン情勢の緊張緩和への期待とハイテク株への資金回帰を背景に、台湾の指標である加権指数はイラン戦争懸念による下落分をすべて取り戻し、過去最高値を更新しました。
特筆すべきは、台湾上場企業の合計時価総額が約4兆1400億ドルに達し、英国市場(約4兆900億ドル)を抜いて世界第7位に躍り出たことです。IMFの推計によれば台湾の経済規模は英国の約4分の1に過ぎませんが、世界的なAIサプライチェーンの中核を担うハイテク株の強さが市場全体の価値を大きく押し上げています。エヌビディアから製造を委託されているTSMC(台湾積体電路製造)は3月の売上高が前年同月比45%増と絶好調で、上場来高値を更新しました。
韓国市場への波及――半導体ツートップが牽引する回復
韓国市場においても、SOX指数の最高値更新が力強い支えとなっています。16日の総合株価指数(KOSPI)は3日続伸し、2月27日以来の高値を記録しました。米国とイランの和平協議進展への期待が高まる中、サムスン電子やSKハイニックスの株価が上昇し、市場全体を牽引しています。米国市場での半導体需要の拡大と業績期待が、そのまま韓国の半導体セクターへの評価に直結しており、投資家のリスク許容度の改善が鮮明に表れています。
今後の見通しと潜在的リスク
米ナスダックの12連騰と半導体株の躍進は、日・台・韓のアジア主要市場に「FOMO(取り残される恐怖)」を引き起こし、記録的な株高をもたらしています。米企業の1〜3月期決算でも業績拡大が確認され、S&P500銘柄のアナリスト予想EPSも25年末比で8%増と拡大基調が続いていることが強気相場を後押ししています。
しかし、懸念材料も残されています。中東情勢は依然として流動的であり、ホルムズ海峡の封鎖懸念やWTIが1バレル90ドル前後で高止まりするなど、供給網やインフレへの悪影響は完全には払拭されていません。今後の相場の行方は、中東情勢の安定化と、米巨大ハイテク企業の四半期決算におけるAI向け設備投資の見通しに大きく左右されると言えるでしょう。
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