先週の株式市場では、TOPIXが0.7%上昇し、日経平均株価も1.9%上昇し39,000円から40,000円の間で推移しました。9月の米雇用統計が好調な雇用状況を示し、米国金利の上昇と円安が進んだことが背景にあります。
国内の企業決算では、ファーストリテイリングが市場予想を上回る業績を発表しました。一方、セブン&アイ・ホールディングスと安川電機は通期業績予想を下方修正、イオンは大幅減益となり、企業ごとに結果が分かれました。
また、市場参加者の関心が高かったのは、台湾TSMCの月次売上高と米国の消費者物価指数(CPI)です。TSMCの売上高は前年同月比44.7%増加し、AI半導体の需要が引き続き強いことが確認されました。この結果を受け、半導体関連株が上昇。TSMCの決算発表は17日(木)に予定されており、注目が集まっています。
一方、米国のCPIは住居費を除くコアサービスが前月比で伸びた一方、住居費の伸びは減速し、全体としては強弱入り混じった結果でした。また、新規失業保険申請件数が増加したことから、雇用情勢の軟化が意識されました。これに伴い短期金利は低下しましたが、長期金利は4%台に復帰しました。
市場では、11月の次回FOMCで0.25%の利下げが織り込まれており、今後の金融政策の行方が注目されています。
11日の米株式市場では、ダウ工業平均とS&P500が最高値を更新しました。大手金融機関の好決算を受け、金融株が買われ市場全体を押し上げたからです。日経平均先物も夜間取引で39,760円まで上昇しており、今週は4万円の大台を回復するかどうかに注目しています。
米国株の堅調さに加え、9月の米消費者物価指数(CPI)がインフレの根強さを示唆しましたが、FRBの利下げ継続の見通しは変わっていません。11月に控える米大統領選では、ハリス副大統領とトランプ前大統領の両者が積極的な財政政策を掲げており、特にトランプ氏が当選すればドル高・円安がさらに進む可能性があります。これによりドル高の流れが続く場合、日本株には追い風になりそうです。
また、27日に行われる衆議院選挙にも注目が集まっています。石破首相は自民・公明両党で過半数を目指すと発言していますが、政治資金問題などの逆風を受け、議席減が予想されます。とはいえ、過去の選挙データによると、自民党が議席を維持または拡大したケースでは、選挙後に日経平均やTOPIXが上昇している傾向があり、市場も選挙結果に敏感に反応する可能性があります。特に、選挙直前に発表されるメディアの情勢調査が相場に与える影響に注意が必要です。
さらに、来週発表される9月の米小売売上高や、17日に予定されている欧州中央銀行(ECB)の理事会では利下げ決定の有無が焦点となります。これらの結果次第で、さらなるドル高が進むシナリオが考えられます。また、中東情勢や原油価格の動向も株価に影響を与える要因となりそうです。
ドル円相場は、ファンダメンタルズから考えると引き続き上昇を維持する公算が大きくなっています。まず、日本銀行による追加利上げへの期待感が後退していることが要因の一つです。10月2日には、石破首相が「現段階では追加利上げの必要性はない」と発言し、市場で広がっていた早期利上げ観測が弱まる結果となりました。この流れが続いています。
一方、米国ではFRBによる早期の利下げ観測が後退しつつあります。9月に発表された米国の雇用統計やISM非製造業景況感指数が予想を大きく上回り、先週公表された9月の米消費者物価指数も同様に市場予想を超えました。これにより、海外の投資家が円売り・ドル買いのキャリートレードを再び活発化させる可能性が高まり、8月以降に増加していた円ロングポジションが再度円ショートに切り替わる展開も予想されます。
さらに、注目すべきは、17日に予定されている欧州中央銀行(ECB)の理事会です。9月末以降、ECBによる利下げ期待が高まり、ドイツの金利が米国の金利に比べて下落している状況から、ユーロ安・ドル高が進行しています。仮に、ECBの声明やラガルド総裁の会見でユーロ圏の経済見通しが一段と弱く評価され、インフレの鈍化が明言されれば、利下げ期待がさらに強まり、ユーロ安が加速する可能性もあります。これに伴い、ドルの相対的な強さが増すことで、ドル円相場にも影響が及ぶことが予想されます。
来週公表予定の米国の経済指標、特に10月17日の米9月小売売上高などが市場予想を上回った場合、米国金利の上昇とともにドル高が一層進む展開が期待されます。加えて、10月18日の日本9月消費者物価指数が予想を下回った場合、日米金利差がさらに拡大し、ドル買い・円売りの動きが一段と加速する可能性もあります。このため、ドル円相場は今後も上昇を続けるとの見方が強まっています。
ただし、150.00という心理的な節目を超えた場合、政府や日銀が円安を抑制するための発言や口先介入を活発化させる可能性がある点には留意する必要があります。
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