アメリカの長期金利が上昇を続けています。一時期は3.6%まで低下していた金利が、10月25日段階では4.27%まで上昇しています。各社レポートでは、金利はまだまだ上昇するとの予測も出ています。
そこで本日は、堅調な株式市場への影響、長期金利の上限目処、そして大統領選挙の影響を分析します。ぜひ最後までご覧ください。
[ 目次 ]
なぜ米長期金利は上昇しているのか
米国の金利が上昇中
こちらのチャート、赤が2年金利、青が10年金利です。最初の利下げ後、金利は一旦低下しましたが、以降は上昇に転じています。

期待インフレ率の上昇で金利上昇
金利上昇のきっかけとなったのは、10年期待インフレ率の上昇でした。9月下旬まで、10年期待インフレ率は2%を割り込む寸前まで下がっていました。しかし、今は2.3%を超える水準まで上昇し、それに連動して10年金利も上昇しています。

10年期待インフレ率上昇には2つの要素が関係していると言われています。1つ目はソフトランディングへの期待。もう1つは大統領選挙です。
1995年の金利動向と似た動き
まずはソフトランディング期待から確認してみましょう。

こちらは以前行われた利下げ後、23日で金利がどの程度上昇したかを表したグラフです。今回のケースを見ると、利下げ後23日で10年金利(黒)、2年金利(青)が共に大きく上昇しています。これは1995年のソフトランディングケースと同様の上がり方ですから、マーケットの多くはソフトランディングを期待しているのです。
大統領選挙と金利の関係
トリプルレッドを想定した動きが続きます。
次に大統領選挙についてです。今回の大統領選では、上院下院共に共和党(トリプルレッド)となり政策が通りやすくなることを見越し、金利が上昇しています。

右上の表を見ると、Trump weep(トリプルレッドになるとの予想)が10月8日の20%から、10月24日には34%と、短期間で大きく上昇しています。米国内の予想に限れば、上院は84%の確率で過半数を確保、下院は共和党が51%と、共和党優勢との見方が増えていることは間違いありません。
左の図、ゴールドマンサックスが出したFFレートの動向予測をご覧ください。共和党の場合は利下げが続いている一方で、トリプルレッドの場合、2025年前半から中盤にかけて上昇に転じています。こういったことが影響して10年金利が上昇している側面もあるのです。
米国10年金利の上限目処は
では、10年金利の上限目処はどのあたりになるのでしょうか。quick社の記事によれば、金融調査会社は直近1ヶ月程度の間、金利が上昇した背景として投資家のポジションの調整、トランプ大統領再任の可能性、インフレ圧力の高まりなど10個の要因が影響したと分析しています。当面の米長期金利のフェアバリューは4.38%(現在は4.28%のため、0.1%程度の上昇)と試算しています。

加えて、過去に金利が急上昇するとフェアバリューをオーバーシュート(フェアバリューを上回ること)することが多かったため、フェアバリューからさらに30bpほど上振れして4.65%まで上昇する可能性があるとの推測がマーケットでは出てきています。
左の図、過去6回の選挙においてスイープした場合の10年金利の推移をご覧ください。上院・下院が同じ政党になると政策が通りやすくなり、国民に受けのいい政策を取る可能性が高まります。結果として、金利上昇の可能性が見込まれています。
この場合の影響を表したのが右の図です。10年金利を表したものが青いチャート、経済サプライズ指数が白いチャートです。経済サプライズ指数の上昇は予想を上回る好況を表しているのですが、ここ最近の傾向を見ると、金利上昇が続けば経済サプライズ指数は金利に先んじて下落に転じる傾向があります。
今も経済サプライズ指数は上昇を続けています。もし10年金利が4.65%まで上昇する局面となれば、経済サプライズ指数に対して悪い影響が出てくるのではと懸念されていることは、今後注意いただければと思います。
金利上昇の影響は年後半から出てくる可能性も
次にゴールドマンサックスの資料をご覧ください。選挙後、トリプルレッドとなった場合、S&P500は大きく上昇すると予測されています。ただ、2025年2月~3月には上昇を吐き出すような動きになる可能性があることに注意が必要です。一方、民主党が上院下院を取った場合は期待値が剥がれたことで巻き戻しの下落が起こりますが、その後は上昇に転じると予測されています。

トリプルレッドの場合、目先は上がったとしても、金利上昇により今後の株価は上値が重くなる可能性があるとマーケットは認識していることを、5日以降に選挙結果が出る前に把握いただきたいというのが1つ目のポイントです。
かつエクイティリスクプレミアムは、今のS&P500予想PERが21.7倍ですから、S&P500の益利回りは1÷21.7=4.6%(このPERで投資すると4.6%の益利回り)です。金利が4.65%上昇するのであれば、債券への投資がS&P500の期待益利回りを上回り、エクイティリスクプレミアムはマイナスとなります。
そうなれば株式の魅力が薄くなり、チャートのトリプルレッド通りの動きになる可能性が出てきます。金利上昇だけでなく、益利回りの面から見てもゴールドマンサックスの予測通りの動きをする可能性があるため、今後の業績はしっかりと確認する必要があるでしょう。
第3Qの予想EPSはあまり伸びていませんから、今週の決算でEPSにプラスとなるような材料があまりなければ、調整が起こりうる環境になりつつあります。トランプ氏が大統領となった場合、このような予測が出ていることを頭の片隅に置いた上でトレードに向かっていただければと思います。
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