日本株先週の振り返り
先週は、第二次トランプ政権の政策が徐々に明らかになる中で、インフレ懸念が再燃し、市場の注目が集まりました。さらに、FRBのパウエル議長が「利下げを急がない」と発言したことを受け、ドル円相場は一時156円台に達しましたが、週末にはトランプ・トレードの巻き戻しや植田日銀総裁の発言を控えて154円台前半まで調整しました。
株式市場では、S&P500が週明けに終値で初の6000台を記録しましたが、その後勢いは鈍化。また、日経平均株価は4万円の壁を突破できず、金曜のナイトセッションで日経平均先物が38,040円まで下落しました。債券市場は米CPIが市場予想通りだったことで米金利が一時低下しましたが、方向感に欠ける展開となりました。
対照的に、ビットコインは10%以上の上昇を記録し、リスク資産の中で特に注目されました。大統領選後の楽観的な流れを維持しており、仮想通貨市場全体の強さを象徴する動きといえるでしょう。
日本株今週の見通し
今週の日経平均株価(11月18〜22日)は、20日に予定されているエヌビディア(NVDA)の決算発表が最大の注目ポイントです。先週は米中関係の緊張が意識され、半導体関連株が売られる場面がありましたが、エヌビディアの決算が良好であれば押し目買いが入りやすくなると考えられます。
また、11月14日で決算発表シーズンが終了したため、企業業績を見直す動きが強まり、全体的な底堅さが期待されます。トランプ・トレードの影響は一巡した印象がありますが、大統領選後の初期反応に過ぎないと言えます。今後、トランプ政権の具体的な政策が明らかになるにつれ、関連セクターや銘柄が再び注目を集める可能性があります。
市場全体としては、調整を経た後のリバウンドを見込む展開が続くと予想されます。半導体株を中心に注視しつつ、他の成長株にも押し目買いが波及するかがポイントになりそうです。
今週の為替注目点
為替市場では、ドル円相場の動向に引き続き注目が集まります。トランプ政権の政策によりインフレが加速する可能性が意識され、米金利上昇を背景にドル買いが優勢となることが予想されます。第一に、「トリプルレッド」の実現により、トランプトレードが本格化していることが挙げられます。次に、トランプ次期政権による関税引き上げ政策が、市場でドルの買い圧力を高めている点が注目されます。さらに、日米金利差の拡大に関連した円キャリートレード再開への期待も見逃せない要因です。このように基本的にはドル高のトレンドが継続する可能性が高いと言えます。
しかし、政府や日銀の為替介入や12月の追加利上げ観測がドル円の上値を抑える要因として警戒されています。ただ、日本株の急落リスクを考慮すると、為替介入や利上げは極端な相場変動がない限り実行されない可能性が高いでしょう。
来週は大きな経済イベントが少ないため、日米当局者の発言やトランプ政権に関連する報道が市場を動かす重要な要因となりそうです。ドル買い・円売りトレンドが続く中で、これらの要素を注視する必要があります。