2024年も終わりを迎える中、注目された日銀の金融政策決定会合が12月18日から19日にかけて行われました。本会合は、利上げの有無が焦点となり、事前の報道や市場の期待が交錯する中で注目を集めていました。日本経済や国際情勢が複雑に絡み合う中、日銀の決定と今後の展望がどのように市場や経済に影響を与えるのか、多くの投資家が注視しています。
2024年最後の金融政策決定会合の結果
12月18日から19日にかけて行われた日銀の金融政策決定会合では、予想通り利上げは見送られ、政策金利0.25%が据え置かれました。市場は事前の報道でこの結果を織り込んでおり、為替市場では円安が進行しました。ドル円相場は157円台後半まで上昇し、1日で2円以上の変動を見せました。
利上げ見送りの背景と今後の展望
植田総裁は会見で、利上げ見送りの理由として以下の3点を挙げました。
1. 来春の労使交渉(春闘)の動向を見極める必要性
2. 基調的な物価上昇率や期待インフレ率の力強さが不足していること
3. 米国トランプ次期政権の経済政策の行方が不透明であること
特に、物価上昇率の低迷は長期的な課題とされており、次回の1月会合や3月以降の利上げの可能性が注目されています。
多角的レビューと金融政策の方向性
日銀は今回会合で、昨年4月の植田総裁の就任以降進めてきた金融政策の多角的レビューを公表しました。過去の金融緩和政策の効果と副作用を検証し、経済や物価の状況に応じた柔軟な運営が必要だと結論づけています。また、非伝統的政策の効果は限定的であり、ゼロ金利制約を回避する重要性が強調されています。
市場の反応と今後のポイント
今回、植田総裁は、今回、利上げを見送った理由として、来年の春闘に向けた賃上げが実際に行われる蓋然性が高いかどうかの情報をもう少し得たいということ、また、次期トランプ大統領の政策がどのような影響を与えるのか、これについても情報を得たいと記者会見で述べています。
しかし、春闘の賃上げも、トランプ政権の経済政策も、来年1月に判明する可能性は低く、春闘は、来年3月ごろ、トランプ政権の政策の全容も1月20日の大統領就任日からすぐに見えてくるとも思えません。
この植田総裁のコメントから推察すると次回利上げの時期は、おそらく来年1月の金融政策決定会合ではなく、3月、下手したらそれ以降になる可能性があると市場関係者は考えているはずです。その結果が、急激に進んだドル高円安でわかります。
一方で、植田総裁は、適宜入手できる情報を踏まえ、各会合ごとに判断して利上げの時期を決める可能性を示唆しています。つまり、来年1月会合での利上げの可能性は否定はしていません。市場では、追加利上げが後ずれになるのではないかとの予測から円安を進めていますが、これにより一段の物価高などが進み、来年1月の金融政策決定会合で追加利上げを決める可能性も排除できません。個人的には、1月の利上げの可能性は十分になるのではないかと思います。
このように当面は日銀の動向に対しての思惑が広がりそうです。また、決めきれない日銀という印象が市場では広がりつつあり、不透明感による警戒感が日々強くなっています。そのため、1月会合に向けて当面はボラティリティが高止まりする可能性があると思います。
投資家としては、日銀の動向を注視しつつも、国内外の経済情勢を見据えた柔軟な投資戦略が求められる局面です。決め打ちをできるような局面でもなく、次回の会合がどのような結果をもたらすのか、注視していくしかなさそうです。