富裕層の投資戦略において、適切なポートフォリオを構築するためには投資信託が欠かせません。しかし、「アクティブファンドはインデックスファンドに勝てない」という議論も根強くあります。安定したリターンを確保し、リスクを適切にコントロールするためには、インデックスファンドに「勝ち続ける」優秀なアクティブファンドを見極める知識が必要です。
本記事では、アクティブファンドのパフォーマンスを測る「超過リターン」の正しい見方から、リスクと運用の効率性を示す「シャープレシオ」の活用法まで、富裕層が知っておくべき投資信託の見極め方を徹底解説します。
[ 目次 ]
1. 優秀なアクティブファンドを見極める「リターン」の分析
優秀なアクティブファンドを見極めるにあたって、最も重要なのはそのリターンです。リターンは単純な上昇率ではなく、「超過リターン」という視点から分析する必要があります。インデックスファンドに勝ち続けられているアクティブファンドは少ないのが実情ですが、そのヒントをいくつかお伝えします。
1-1. パフォーマンスを測る指標:「超過リターン」
アクティブファンドのパフォーマンスを測る数字としては、「超過リターン」を見る必要があります。これは、ベンチマークとしているインデックス(例:TOPIX)よりもどれだけ上回っているかを示す数値です。重要なのは、この超過リターンが一時的ではなく、長期的に出し続けられているかという点であり、インデックスに勝ち続けられるファンドはアクティブファンドとしての優位性を示します。
1-2. 正しい評価期間とベンチマークの選定
アクティブファンドのパフォーマンスの評価は、短期では意味をなしません。過去5年以上、少なくとも3年間のパフォーマンスを見るべきです。また、その超過リターンを比較する際は、ファンドが投資対象としている国・業種・テーマなどと類似したカテゴリーのインデックスと比較することが必須です。
1-3. 「勝ち続けられている」ことの判断基準
一時的な要因による勝利ではなく、一定の期間を通じて安定して優位性を示しているかを確認することが、見極める上で重要となります。これは、過去のチャートなどをじっくり見て、一時的な勝利ではないかを判断することが重要です。アクティブファンドの見極め方について、さらに詳細な知識と分析方法はこちらの記事で解説しています。
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2. リターン比較だけでは不十分:リスクと運用の効率性
投資信託を選ぶ際、多くの人がリターンだけを重視しがちですが、実はそれだけでは不十分です。リスクを把握しないと投資の安全性が保証されません。さらに、シャープレシオは運用の効率性を表しており、投資信託のパフォーマンスを客観的に評価する指標です。
2-1. リスクの考え方と類似ファンドとの比較
投資における「リスク」とは、ここでは「値動きの大きさ」を指します。リターンが同じであればリスクが小さい方が良いのは当然ですが、リターンも投資対象も異なる場合は、ファンドの投資対象となるインデックスや他の類似ファンドの平均リスクと比較することが一つの指標となります。
2-2. シャープレシオの重要性と運用の効率性
リターンとリスクを一つの数値で把握できるのが「シャープレシオ」です。これは、取っているリスクに対してどのくらい効果的にリターンが得られているか、運用の効率性を示す指標です。
シャープレシオの数字が高いほうが効率が良いということになり、ファンドや投資手法を比較するために使われています。一般的に、シャープレシオ1を超えるアクティブファンドは優秀ファンドと言われ、2を超えるファンドは超優秀ファンドと言えます。
2-3. 信託報酬と実質的なコスト効率の理解
投資信託のコスト、特に信託報酬は無視できませんが、「信託報酬は安ければ安いほど良い」という考えは必ずしも正しくありません。高い信託報酬を払ってでも、長期的にインデックスを大きく上回る超過リターンを安定して提供できるファンドこそが、富裕層にとって真に価値あるファンドです。信託報酬とパフォーマンスのバランスを見極めることが重要です。

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3. 投資先ファンドの運用期間と資産全体でのバランス
投資信託を選ぶ際には、その運用期間や実績が重要であり、さらに、単体の商品ではなく、ご自身の保有する資産全体のリスクバランスを考慮する必要があります。
3-1. 運用期間の長さと信頼性
投資先ファンドの運用期間は、そのファンドの安定性を示す重要な要素です。長期間にわたって運用されているファンドは、さまざまな相場変動を経験しているため信頼性が高いと言えます。最低でも5年以上の運用歴を持つファンドを選ぶべきであり、可能であれば過去の大きな下落局面を経験し乗り越えた実績を見る方が望ましいと言えます。
3-2. 運用方針の変化とファンドマネージャーの交代
運用方針やファンドマネージャーの交代があった場合、そのパフォーマンスが変化する前の実績はあてにならなくなるため注意が必要です。特に長期の運用歴があるファンドは、パフォーマンスに大きな変化がないかチャートを確認し、運用方針やファンドマネージャーの交代がなかったかを疑う視点が重要です。
3-3. 自分の保有する資産とのバランス
投資信託はそれ自体、複数の銘柄に分散投資されていますが、投資信託全体として重要なのは、単体の商品ではなく、ご自身の保有する資産全体のリスクバランスを考慮することです。集中投資型やテーマ型など、単体でリスクが高いファンドを組み込む場合は、全体のポートフォリオでリスクが過大にならないよう調整しなければなりません。
4. まとめ:投資判断を「自立」させるための見極め方
アクティブファンドは、適切に見極めることでインデックスファンドを凌駕するリターンをもたらす可能性を秘めています。その見極めには、「超過リターン」「シャープレシオ」「長期の実績」という3つの要素から、その優位性を客観的に証明することが不可欠です。
富裕層は、金融機関やIFAからいい加減なアドバイスで投資信託を売り込まれるケースが多くあります。自分で投資判断・分析ができるようになれば、手数料を抑えつつ、最適なポートフォリオを構築することも可能です。
自分で投資判断・分析ができるようになることで、安定的で持続可能な資産運用を実現しましょう。投資信託の見極め方を深く理解することが、富裕層のための運用戦略の第一歩となります。投資信託の選び方、リスク評価、手数料に至るまでの完全なガイドはこちらをご覧ください。
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