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2025年の利上げはあるのか?日銀が直面する「関税リスクと成長減速」政策金利据え置きの背景と経済展望

2025年の利上げはあるのか?日銀が直面する「関税リスクと成長減速」政策金利据え置きの背景と経済展望

日銀は2025年5月1日の金融政策決定会合で、無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.5%に据え置くことを決定しましたこれは1月の利上げ以降、2回連続の現状維持となります。

この決定の背景には、米国の追加関税政策による外需減速への懸念があります。日銀は2025年度の実質GDP成長率見通しを前回の1.1%から0.5%へと大幅に下方修正し、2026年度も0.7%と控えめな予測を示しました。 物価見通しについても2025年度が2.2%、2026年度が1.7%と、いずれも前回予想を下回る予測となりました。一方で2027年度については1.0%の経済成長、消費者物価指数(CPI)上昇率は1.9%と回復基調も示されています。

日銀の報告書では「関税の影響で成長は鈍化するものの、緩和的な金融環境が経済を下支えし、人手不足を背景に物価は徐々に高まる」との見解が示され、基本的な利上げ方針は維持されています。物価2%目標の達成時期については「2027年度までの後半」へとやや後ろ倒しされ、不確実性の高い環境下で柔軟な政策対応が求められています。

次回利上げの不透明感

日銀は基本的な利上げ方針を維持しているものの、次回の利上げ時期については不透明な状況が続いています。これは、トランプ米大統領による追加関税政策の影響が、日本経済にどのように波及するかを予測しづらいためです。

市場では以前、7月に追加利上げがあるとの見方が主流でしたが、現在ではその確率は約3割程度に低下しています設備投資や賃上げの動向など確認すべき材料が多く、秋以降の利上げが現実的との見方も出ています。年内の追加利上げの可能性が不透明となる中、日銀と市場の認識のずれも懸念される状況です。

株式市場の反応と個別銘柄の明暗

5月1日の日経平均株価は前日比406円高の3万6452円で取引を終え、6営業日連続の上昇となりました。日銀の追加利上げ観測が後退し、円安が進行したことで輸出関連企業に買いが集まりました。ただ、上値は重く、企業決算発表の内容によって個別銘柄の値動きに明暗が分かれました。

好決算を発表したアドバンテストやTDKなどは大幅高となった一方、村田製作所は24%の減益見通しを嫌気されて急落するなど、市場では企業業績に基づいた選別的な投資姿勢が強まっています。 株価は年初来高値からの下落から半分以上回復したものの、米国の関税政策による不透明感が残る中、今後の上昇余地は限定的との見方も市場では出ています。

債券市場の反応と利回りの動き

5月1日の国内債券市場では、長期金利が1.270%に低下しました。日銀が政策金利を据え置く決定をした一方で、経済と物価の見通しを下方修正したことにより、早期の追加利上げ観測が後退。これを受けて債券買いが進み、利回りは下落しました。

特に新発2年債や5年債など中期ゾーンの金利低下が顕著でした。一方、30年債や40年債といった超長期債には売りが入り、利回りは上昇する展開となりました。 債券先物市場も上昇し、一時的に取引停止措置が発動される場面も見られました。短期金融市場でも利上げ観測後退を受けて無担保コール翌日物金利(TONA)先物が値を上げています。

市場では、今回の日銀の展望リポートがハト派(金融緩和寄り)的との見方が広がっており、当面の金利上昇圧力は弱まったと受け止められています。

今後の展望

米国の通商政策の不確実性と世界経済の減速懸念が高まる中、日銀は物価安定目標の達成に向けて慎重な姿勢を示しています。企業の設備投資や賃金動向、個人消費の推移など国内経済指標の確認を続けながら、外部環境の変化にも対応した柔軟な金融政策運営が今後も求められるでしょう。市場は当面、米国の政策動向と日本経済への影響を注視しながら、次の政策判断に向けた日銀の姿勢を探る展開が続くと予想されます。

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