2025年春以降、ビットコインと金の価格が同時に大きく上昇しています。背景には、地政学リスクの高まりや米国の金融政策への不信感があり、投資家は法定通貨に代わる「無国籍資産」へと資金をシフトさせています。本記事では、その連動の背景と今後の展望について詳しく解説します。
経済不安と地政学リスクが背景に
2025年4月以降、ビットコインと金の価格がともに大きく上昇しています。4月22日にはニューヨーク金先物が1トロイオンスあたり3500ドルを超え、ビットコインも1日で6000ドル近く値上がりしました。5月7日には、ビットコインが一時9万7000ドルまで上昇し、金の国内小売価格も1グラム当たり1万7189円と過去最高値を記録しています。
この同時上昇の背景には、トランプ政権によるFRBへの圧力とドル信認の揺らぎがあります。特にパウエルFRB議長の解任に関する発言や利下げ要求が市場の警戒感を強めました。また、インドとパキスタンの軍事衝突やイスラエルによるイエメン空爆など、地政学的緊張の高まりも投資家心理に影響しています。
無国籍資産としての魅力
直近のビットコインと金の相関係数は0.7まで上昇し、相場が連動している傾向が顕著になっています。市場アナリストらは「通貨の信頼性に不安が生じる場面では、ビットコインと金の両方に資金が向かいやすい」と指摘しており、過去にも2013年のキプロス危機で同様の動きが見られました。
ビットコインはその希少性や固定された供給量から「デジタルゴールド」と呼ばれることがあります。金との共通点として、供給量が限られている希少性、特定の国や組織に依存しない分散性、無制限に増やすことができない耐インフレ性などが挙げられます。
投資環境の整備が進む
4月にはビットコインETFへの資金流入も加速し、22日だけで約9億3600万ドルが流入しました。これは3カ月ぶりの大規模な資金流入であり、投資家の関心の高まりを示しています。
さらに、5月6日にはニューハンプシャー州で仮想通貨への州準備金投資を可能にする州法が成立しました。これにより、同州では公的資金でビットコインや貴金属に投資できるようになり、価格は前日比で約4%上昇しました。トランプ大統領も押収したビットコインを保有・取得する方針を示しており、国による保有が進めば、ビットコインの「安全資産」としての認識がさらに強まる可能性があります。
このように、経済的不確実性が高まる時期において、金は伝統的な安全資産として、ビットコインは特定の国家に属さない「無国籍資産」として、ともに資金の避難先となっています。両者の相関関係は今後も強まる可能性があり、市場動向から目が離せない状況が続くでしょう。
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