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【米国株見通し】サマーラリーの前に立ちはだかる試練【6月16日 マーケット見通し】

【米国株見通し】サマーラリーの前に立ちはだかる試練【6月16日 マーケット見通し】

本日のテーマは、『米国株見通し サマーラリーの前に立ちはだかる試練』です。ぜひ最後までご覧ください。

先週発表の経済指標を深掘りして見えてきた試練

インフレ鈍化の光と影:利下げ期待の裏で企業収益に黄信号

まずは、先週のCPI、PPIについてです。マーケットの報告等によると、CPIは前月比での予想+0.3%に対して+0.13%、PPIは予想が+0.3%に対して+0.14%と、共に予想を下回り、マーケットでは好感されています。

この傾向は、今週開催されるFOMCにおいて、FRBが政策金利を引き下げる見通しの追い風ともなり、明るい材料となっています。当面は、物価下落がマーケットにとってプラス材料になると、私も考えています。

ただ、中身を見ると様々な指摘がなされています。

まず、物価が上昇していないのは、企業が関税コストを価格に転嫁できず、吸収しているからだとの指摘です。実際、データを見ても、5月米国の関税収入は前年同月比270%増にもかかわらず、CPIとPPIは上昇していません。今後、企業収益を下押しする可能性があります。

また、価格転嫁を進める場合は時間差で進むため、7月~8月のインフレ関連指標で予想を上回る結果が出る可能性も指摘されています。その場合、FRBの利下げ回数が上方修正され、企業業績低下、もしくはFRBの利下げ回数の低下として表れるやもしれません。単純に『CPI、PPIが下がったから良かった』と判断するのは、避けたほうがいいでしょう。

夏のインフレ再燃はあるか

次に、6月7日までの新規失業保険申請件数です。今回、1週間の新規失業保険申請件数は24万8,000人と横ばいながら、市場予想をやや上回りました。注目すべきは、継続申請件数が195万件と、2021年11月以来の高水準になっていることです。

左下のチャートをご覧ください。この1週間での新規失業保険申請件数は24万人と、19年以降から見ても高い水準となっています。また、右下のチャート、継続申請件数も2018年以降と比較しても、高い水準となっています。

新規申請の4週平均も、昨年8月以来の水準まで上昇していることから、雇用が悪化しているのではと指摘されています。企業が関税によるコスト上昇を価格に転嫁できていないため、人件費を削減し、雇用を止めている可能性があるのです。

今後、価格転嫁を避け、雇用調整を続けるようであれば、雇用低下、失業率上昇にもつながるでしょう。価格転嫁を進めた場合、雇用が進むかもしれませんが、コスト増、物価上昇、消費減速にもなりかねず、いまだに関税の影響がしっかり出ていないと指摘されています。

企業が雇用を減らすのか、価格転嫁するのかの選択次第で、夏以降にインフレが再び加速し、FRBの利下げ観測に冷や水を浴びせる展開もあり得るでしょう。こうした点がサマーラリーに影響を及ぼす可能性もあるため、引き続き物価、金融政策の影響を確認する必要があるでしょう。

今週の注目点

今週の注目点(1)FOMC

次に、今週の注目すべきイベントを3つお伝えします。

1つ目はFOMCです。17日~18日に予定されているFOMCでは、政策金利を据え置く可能性が高まっています。

年間2回の利下げ予想は、市場のコンセンサスが年2回の利下げ、FRBも年2回の利下げとなっています。コンセンサスとフィットしており、あえて動かす必要はないとして、FRBが政策金利を下げることはまずないでしょう。

3ヶ月に1回発表されるSEP、ドットチャートが上方修正されることがあればサプライズとなり得ますが、その可能性は低そうです。ただ、2025年経済見通しは下方修正される可能性があり、インフレ率の見通しがやや上方修正される可能性はあります。

イスラエルとイランの問題もあり、PCEコアが3.5を超えるようであれば、アナリストの予想を大きく上回る水準となり、サプライズとなります。経済見通しも1.2~1.3の予想が多いため、1%近辺まで下がるようであれば市場は大きく動揺することでしょう。

FOMCでFRBがどういう見通しを持っているかで、サプライズが起こる可能性があります。その点に注目していただければと思います。

注目点(2)ホムルズ封鎖リスクと原油価格のシナリオ

2つ目は、イスラエル、イランの有事です。

イランの原油供給が完全に途絶え、ホムルズ海峡が閉鎖されるといった最悪のシナリオでは、原油価格が大きく上昇すると指摘されています。

モルガンスタンレーのレポートによると、「第3Qで、1バレルあたり120ドルを超える」可能性があるとのことです。

一方で、より抑制的なシナリオでは、イランの原油輸出が50%減少するものの、原油価格にはさほど影響しないとも言われています。現在の原油価格の動きを見ていると、ホルムズ海峡の閉鎖は想定していません。最悪のシナリオが起こった場合、マーケットにとってサプライズとなります。

もしホムルズ海峡が封鎖されれば、FRBの政策、ドルにも大きな影響を与えます。資金の流れが代わり、様々な巻き戻しが起こり得ます。ただ、恐らく、ホムルズ海峡閉鎖の可能性は非常に低いとも指摘されています。

今週の注目(3)金とドルが歴史的な逆相関-96%の相関が示す上昇余地-

最後に、金価格です。金価格が非常に高くなり、1オンスあたり3,400台をつけています。イスラエル、イランの問題がある状況では、金価格が上昇するのではと資金をシフトしている方も多いことでしょう。

注目すべき点として、金とドルインデックスの年初来の相関は-96%と、極めて強い逆相関を示しています。モルガンスタンレーによると、1990年以降、このように極端な逆相関が確認されたのはわずか7回。歴史的に、これだけ極端な逆相関の際には、金の5ヶ月ローリングリターンは平均8%と、通常時の3%を大きく上回ります。そのため、金価格の上昇を期待される方も多いことでしょう。ただ、ドルインデックスの低下傾向が今後も続くかどうかは、注意が必要です。

こちらは、ドルインデックスに対する強気派、弱気派を示したチャートです。2016年以降で、弱気派が最も多くなっています。極端に弱気派が増えた後には、弱気ポジションから強気ポジションに巻き戻しが起こり、大きくドルが上昇しがちです。なかなかドルを売り込みにくい状況と言えます。

また、今週は日米、英国、スイスなどで政策決定会合があります。日銀の買入減額、米国の政策維持スタンスが出た際には、材料出尽くし、ホルムズ海峡問題の深刻化があれば、ドルが上昇し、金が下落するため、さらなる混乱を招く可能性もあります。リスク回避の受け皿となっている金が、ちゃんと受け皿として機能するのかどうかは、1つの注目事項となるでしょう。

サマーラリーに向け、関税収入が大きく増えている一方で、価格転嫁できていない側面もあります。今後、その影響がどう出てくるかが、マーケットに影響を与えそうな状況です。ぜひ、ご注目いただければと思います。

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