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政局不安が重しに ~ 参院選後の日本株、上値追いに慎重さも~

政局不安が重しに  ~  参院選後の日本株、上値追いに慎重さも~

選挙翌日の市場反応と短期的な動き

7月22日の東京株式市場では、参院選の結果を受けて日経平均株価は複雑な動きを見せました。前週末比44円安の3万9774円で取引を終え続落となったものの、取引時間中には一時400円超の上昇を記録し、心理的節目の4万円台を回復する場面もありました。

この買いが先行した背景には、21日の米国ハイテク株高に加え、参院選で与党が過半数を割ったものの、市場が警戒していたほどの大敗ではなかったとの見方があります。

さらに、国民民主党や参政党など減税を掲げる勢力の議席数が増えたことも、内需が弱い日本経済にとって投資家はプラスと捉えているとの見方がありました。しかし、買いが一巡した後は利益確定売りに押され、下げ幅は一時200円を超える場面もあり、市場の不安定さが露呈しています。

市場参加者の慎重な見方と政局への懸念

本日の株価上昇は、不透明感がやや後退したことによる買い戻しと見られ、持続的な上昇基調に入ったと判断するのは時期尚早ではないかと思います。今後も政局の不安定さが続く可能性があり、日本株を積極的に買い進めるには材料が限られていると感じます。今回の上昇は、あくまで短期的な反発の域を出ておらず、投資環境そのものが大きく改善したとは言い難い状況です。

また、15週連続で日本株を買い越している海外投資家についても、状況を冷静に見極めている印象があります。「政府が実質的な財政調整に踏み切るには、政治的制約が大きい」との見方から、現時点では様子見を選択している可能性もあります。

さらに、政権の求心力低下に対する懸念も依然として根強く、市場にとっての不安要因となっているように思われます。今回の株高を素直に歓迎するというよりは、先行きについて慎重な姿勢を維持していく必要があると考えます。

財政拡張政策への警戒と金利上昇リスク

さらに、今後の国会で減税論が出てくれば市場の不安定化を招きやすく、年初から買い越してきた海外勢が売りに転じる可能性もあります。減税や給付金などの財政拡張的な政策は、短期的には株価を支える可能性がある一方で、国債増発につながるとの見方から、超長期債相場の重荷ともなっているのです。

この懸念は、現在の円安基調と相まって、日本の財政持続性に対する疑念を呼び起こす可能性があります。市場では「株安・債券安・通貨安のトリプル安」となるリスクも完全に去ったとは言い切れない状況が続いています。

過去の傾向から見る今後のリスク

歴史的な傾向を見ると参院選で与党が過半数を割ったケース(1989年、98年、2007年、10年)では、投開票日から90日後の東証株価指数(TOPIX)の平均パフォーマンスは2%安となっており、過半数を確保したケース(同5%高)に比べて明らかに見劣りします。

特に注目すべきは、1998年と2007年の事例です。これらの年では、日経平均株価が投開票日翌日からの100日間で9〜13%下落を記録しており、政局の不安定化が株価に与える影響の大きさを物語っています。

今後の展望と投資家への示唆

今後、政権運営の機能不全が露呈すれば、国内外の投資家による「見切り売り」が出てくることは避けられません。ただし、野党の協力を取り付けるために財政拡張的な政策が取られれば、目先の株価を支える可能性も残されています。

このように、参院選後の日経平均株価は、一時的な買い戻しがあったものの、政局の不透明感や財政拡張への懸念、そして歴史的な傾向から見ても、不安定な動きが続くリスクを抱えていると言えるでしょう。投資家は、短期的な政治的要因に振り回されることなく、中長期的な経済ファンダメンタルズと政策の持続性を慎重に見極める必要があります。

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