2025年7月23日の東京市場は、日米関税交渉の「サプライズ合意」と石破茂首相の退陣観測という2つの大きなニュースに揺れ動きました。日経平均株価は一時1500円超の急騰を見せ、終値は前日比1396円高の4万1171円。約1年ぶりの高値更新となりました。
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トランプ大統領が「サプライズ合意」を発表
市場の最大の驚きは、トランプ米大統領が自身のSNSで日米関税交渉の合意を公表したことでした。日本の自動車に対する関税は、従来の25%から合計15%へと引き下げられ、数量制限はなし。基本税率2.5%と12.5%の特別関税が併存する形となります。これは企業努力で吸収可能とされ、日本経済にとって好材料と受け止められました。
また、農産品ではミニマムアクセス米の数量は維持された一方、日本側の関税撤廃には至りませんでした。交渉を主導した赤沢亮正経済財政・再生相はトランプ大統領、ラトニック米商務長官、ベッセント米財務長官と直接会談を重ねたとされ、石破首相も「関税より投資を主張してきた結果だ」と語りました。
80兆円規模の「ジャパン・インベストメント・アメリカ」
今回の合意には、日本企業による米国への大型投資促進も含まれており、政府系金融機関が最大5500億ドル(約80兆円)を出資・融資・保証する「ジャパン・インベストメント・アメリカ・イニシアティブ」が発表されました。対象分野は半導体、AI、エネルギー、鉄鋼、造船など多岐にわたり、経済安全保障の枠組み強化を狙います。
トランプ大統領は「過去最大の合意だ」と評価し、成果として強調しています。
自動車株主導で日経平均が急伸
この合意が「サプライズ」と受け止められた背景には、参院選で与党が議席を大幅に減らし、石破政権では交渉は難航するとの見方が強まっていたことがあります。それだけに今回の前倒し合意はポジティブサプライズと受け取られ、特に売られていた自動車株が急反発しました。
トヨタは前日比14.34%高となり、時価総額は約5兆円増加。ホンダは10%超、マツダはストップ高水準に達しました。加えて、関税不透明感が後退したことで、部品メーカーの信用不安が緩和され、銀行株にも買いが波及しました。
石破首相の退陣観測も相場の追い風に
さらに、同日午前には石破首相が8月にも退陣を表明する意向を固めたとの報道が流れ、株価は一段と上昇しました。財政拡張路線に傾く可能性が意識され、株式市場には好感される一方、円高は限定的となりました。
石破首相は参院選の大敗を受け、党内で退陣論が強まっており、麻生太郎氏や菅義偉氏、岸田文雄氏ら歴代首相と協議に入りました。交渉の成果を政権維持の根拠としていた首相にとって、その大義も薄れつつあるとの見方も出ています。
市場の転換点として刻まれる日
このように、2025年7月23日は、参院選後の政局の揺らぎと、日米間の大型経済合意が重なり、市場の「転換点」となりました。日経平均の急騰、自動車株の反発、そして政局リスクの後退が同時に進んだこの日は、相互関税が最初に発表された4月2日と並ぶ、日本市場の歴史的な節目といえるでしょう。
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