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【米国株】‌‌利下げ相場に潜むバブルの見極め方【8/25 マーケット見通し】

【米国株】‌‌利下げ相場に潜むバブルの見極め方【8/25 マーケット見通し】

本日のテーマは、『米国株 利下げ相場に潜むバブルの見極め方』です。

先週、注目を集めていたジャクソンホール会合にてパウエル議長が、雇用悪化への警戒を示す中、今後インフレが落ち着いているという前提条件はあるものの、9月の利下げの可能性を示唆しました。

もちろん利下げ確実と言及したわけではありませんが、市場予想は9割近くが利下げを予想しています。利下げ相場ということで、株価の上昇を期待する方が非常に多くなっているのです。

一方で、利下げによってバブルが助長されるのではとの懸念もあるため、今後どのようにしてバブルの兆候を見極めるかを、本日はお伝えしたいと思います。

警戒感を持っている方はぜひ見ていただき、今後の参考にしていただければと思います。

米国ラッセル2000へ高い期待

利下げ再開と米国小型株への資金流入期待

バブルの兆候を見極めるものとして、ラッセル2000を使って説明したいと思います。

まずはラッセル2000の置かれている状況についてです。ラッセル2000が青いチャート、S&P500が黄色いチャートです。現在は、S&P500のほうが大きく上昇している状況にあります。

緑のチャートが右肩下がりになっているのは、ラッセル2000がS&P500に比べてパフォーマンスが悪い状態を表します。2014年から10年近く、ラッセル2000がアンダーパフォームしていることが分かります。

今回9月に予想されるFRBの利下げは、景気後退を伴わない利下げ、保険的な利下げであることから、小型株とって有利な状況となりえます。1998年と同じ状況まで小型株が売り込まれている状況ですから、今後小型株が買い進められるのではとの期待が高まっています。

米国小型株は業績もバリュエーションも割安感

ラッセル2000のパフォーマンスがこれまで悪かったことだけが買いの材料ではなく、ファンダメンタルズも良好です。

左のチャートをご覧ください。NASDAQ100の予想PERは28倍と、過去のレンジから見ても大幅に割高な状況ですし、S&P500も23倍と過去に比べて割高です。一方、ラッセル2000は23倍ではあるものの、過去のレンジ内に収まっていることから、決して過熱感のある状況ではありません。金利が低下すれば、買い進めるには十分なバリュエーションと言えます。

右のチャートはEPSの成長を表します。26年のS&P500は前年比+13%、NASDAQ100は+15%です。対して、ラッセル2000は+39%と非常に大きな成長が見込まれています。EPSの成長が高く、PERもさほど過熱感がないことから、今後金利が下がる状況を考えると、大型株をアウトパフォームする余地が十分にあると考えられます。

利下げによるバブル的相場の見極め方

利下げ中でもラッセル2000が必ず優位とは限らない

次にこちらのチャートをご覧ください。前回の記事では1985年以降、利下げを一旦行い、6ヶ月以上利下げを行わず、利下げを再開したケースが株価にとってプラスとなっていることをご説明しました。今回は、ラッセル2000が始まってから、1990年以降の5回の利下げケースを取り上げています。

1990年以降の利下げにおいて、ラッセル2000がS&P500をオーバーパフォームしたケースは4度ありました。1990年、2002年、2008年、2019年は緑のチャートが上昇していることから、5回中4回、ラッセル2000がS&P500を上回っていることが分かります。

1995年は、ラッセル2000がS&P500をアンダーパフォームした唯一のケースとなっています。1995年と2019年は両方とも保険的な利下げですが、1995年はラッセル2000がアンダーパフォームし、2019年はオーバーパフォームしているのです。

利下げが保険的な利下げだったとしても、ラッセル2000が必ず優位になるとは言えないことが、1つ目の大事なポイントとなります。1995年と2019年のように、状況次第で小型株と大型株の優位が入れ替わることを念頭に置いていただければと思います。

ラッセル2000が示す市場の偏り

今回、最もお伝えしたいのはこのスライドです。2025年9月にFRBが利下げを再開した場合、目先の株価上昇は十分にあり得ます。ラッセル2000がS&P500を上回ったかどうかは別にして、1995年の利下げ、2019年の利下げ共に、株価自体は双方上昇しています。過去の事例を見ても、ソフトランディングと金融緩和の組み合わせは株式市場に強い追い風を与えていることから、目先の株価上昇が十分にあり得ると思っています。

ただ、大事なポイントとして、今回のような利下げは、1998年~2000年にかけてITバブルを助長させたケースと似ているとの指摘もあります。中期的には過熱と崩壊のリスクを伴う可能性があることには注意が必要でしょう。

下の図表をご覧ください。ナスダック100の株価が白いチャート、1996年~2003年にかけてのITバブル前哨戦、崩壊後が青いチャートです。

今回、利下げを行った9月以降、通常であればS&P500、ナスダックを上回るパフォーマンスを残す傾向があるものの、ラッセル2000が利下げを行ったにもかかわらずアンダーパフォームした場合は注意すべき兆候となります。

市場全体ではなく、一部の大型株に資金が偏在していることを示し、バブル的な構造を示唆するためです。保険的な利下げのため、短期的には上昇を追いつつも、市場の偏り、バリエーションの水準によってはボリュームを少し減らすなどの対応が必要になってくるでしょう。

利下げ開始後、通常では上がるべきラッセル2000がナスダック、S&P500にアンダーパフォームする際には、目先は強くとも、将来的にはバブルを助長している可能性があるのです。

いつ崩れるかかは過去の事例を見ても、時期はなかなか読めません。ただ、今回の利下げが過熱感を助長しているかどうかを把握し、投資のボリュームをコントロールすることで、長期的な戦略などにも役立ててほしいと思います。

普通にいけば利下げによりラッセル2000が上昇しますが、S&P500、ナスダックにアンダーパフォームしている場合はバブルの傾向とも読み取れるため、バリエーションを見ながらリスクコントロールしようと考える必要があるでしょう。

一方でラッセル2000にお金が行き渡り、オーバーパフォーマンスするようであれば、マーケットは意外と健全ともいえます。保険的な利下げが効いているということで、息の長い相場になる可能性があると、同時に見定めていただければと思います。

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