2025年10月27日、東京株式市場は歴史的な瞬間を迎えました。日経平均株価が取引時間中に初めて5万円の大台に乗せ、終値は前週末比1212円67銭(2.46%)高の5万0512円32銭となりました。これは史上最高値の更新であり、今年4月7日の安値3万1136円からわずか半年間で1万9000円あまりの上昇という、目覚ましい回復を遂げたことになります。東証株価指数(TOPIX)も史上初めて3300台に乗せるなど、市場全体が力強い上昇基調を示しました。
米利下げ観測と米中対立緩和が追い風
この歴史的な株価上昇の背景には、二つの大きな外部要因があります。
まず、前週末24日に発表された9月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想を下回ったことで、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が高まりました。この期待感が、特にハイテク株の追い風となり、前週末の米株式市場ではダウ工業株30種平均やナスダック総合株価指数が過去最高値を更新していました。
もう一つの要因は、米中貿易摩擦への警戒が後退したことです。25〜26日の貿易協議において、ベッセント米財務長官がトランプ大統領による中国製品への100%関税の警告が「事実上、撤回された」と発言したことが伝わりました。さらに、中国側がレアアース(希土類)の輸出規制の実施を1年間延期する方向と報じられたことも、投資家のリスク選好姿勢を強める重要な要素となりました。
高市政権への期待が国内株を押し上げ
外部環境に加え、国内の政治・政策に対する期待も株価を後押ししました。高市早苗新内閣の高い支持率(74%)が好感され、同氏が掲げる経済政策「サナエノミクス」への期待が市場で急速に高まっています。
「サナエノミクス」とは、高市首相が掲げる保守政権型の経済政策であり、その本質は「国家安全保障の観点から経済を再生させる」という点にあります。単なる景気刺激策ではなく、国の安定と自立を重視しながら、持続可能な成長を目指す姿勢が特徴です。
まず、財政・税制面では、所得税の基礎控除などをインフレの進行に合わせて見直すことで、実質的な可処分所得を確保し、生活防衛を図る方針です。社会保障制度については、現役世代の保険料率の上昇を抑え、将来世代に過度な負担を残さないことを重視しています。そのために「高齢者」の定義を見直し、年齢に関係なく働き続けられる社会を実現する方向性を打ち出しています。また、配偶者の社会保険加入率や第3号被保険者制度などについても、時代に合わせた見直しが検討されています。
労働政策では、働き方の柔軟化を目的として労働時間規制の緩和を検討。電力政策では、安全性を前提に原子力発電所の再稼働を進め、エネルギーの安定供給と経済安全保障の両立を目指しています。
つまり「サナエノミクス」は、経済成長だけを追い求めるのではなく、国家の安全保障と国民生活の安定を軸に据えた「保守的経済再生策」です。働く世代を守り、安心して暮らせる社会を築くことで、強い国家を再構築しようとする思想が根底にあります。
そして、もしこの政策が現実のものとなり、社会保障改革やエネルギー政策の転換が着実に進めば、海外投資家にとって日本経済は「構造的な成長ポテンシャルを取り戻した国」と映る可能性があります。結果として、海外勢が日本株をオーバーウェイト(比重を高める)する動きが強まる公算が高く、資金の本格的な流入が期待されるでしょう。
ハイテク株と「高市銘柄」が牽引
この日の株価上昇を牽引したのは、半導体やAI関連といったハイテク株と、特定の値がさ株でした。
ソフトバンクグループ(SBG)は、AI向けインフラ投資計画「スターゲート」への期待から買いが集まり、4月7日から10月27日午前までの日経平均の上昇幅のうち、約2割(3800円程度)をSBG株の値動きで説明できるとされています。
4月7日から10月27日の上昇率首位のフジクラは、データセンター向け光ファイバーの需要増に加え、高市総裁が実現を目指す核融合炉に関わる高温超電導線材を手掛けていることが評価されました。防衛関連のIHIも「高市銘柄」として注目を集め、株価が2.5倍となりました。
アドバンテストやディスコなどの半導体関連株も上昇が目立ち、米中の貿易摩擦懸念後退を受けて、三井金属などの非鉄株も上位に並びました。
今後の展開に注目
市場関係者からは、年末までの日経平均の上値めどについて5万2000円程度とする声が目立っています。今週からは決算シーズンに突入するため、企業の実力を見極めながら上値余地を探っていく展開となりそうです。
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