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ビットコイン市場の試練と可能性~価格調整の背景と日米の制度整備

ビットコイン市場の試練と可能性~価格調整の背景と日米の制度整備

暗号資産市場は現在、大きな試練に直面しています。ビットコインは2025年11月24日の取引で一時8万8000ドル台を回復しましたが、米国株の幅広い上昇と比較して上げ幅は限定的であり、市場全体に慎重なムードが漂っています。過去4週間で20%強下落した後、この回復は1%未満の上昇にとどまりました。

11月21日には一時7カ月ぶりの安値となる8万554ドルまで下落し、10月初旬のピークからは約35%の下落を経験しました。ドイツ銀行によれば、暗号資産市場全体で約1兆ドルの時価総額が消失しています。

価格急落の要因と市場構造の課題

今回のビットコインの急落はリスク回避姿勢、長期的な金利高止まりの見込み、規制推進力の減退、機関投資家資金の流入減、そして長期保有者による利益確定売りが複合的に作用した結果です。特に、タカ派的な米連邦準備理事会の姿勢は、金利予想の変化に対するビットコインのネガティブな感応度を強める引き金となりました。

ビットコインは、米国財政懸念や米中緊張の再燃などを背景に株式が下落する局面で、ヘッジ手段というよりもハイベータのハイテク株のように振る舞い、主要指数との相関性が急上昇しました。また、ETFからの資金流出が流動性の悪循環を助長し、ボラティリティの急上昇に伴う長期保有者の大量売却も売り圧力を強めたとして、ドイツ銀行は市場構造の脆弱性を露呈したと警告しています。

米国における高い保有率と長期トレンド

一方で、米国におけるビットコイン保有は構造的な要因に裏打ちされています調査会社Riverのリポートによると、米国のビットコイン保有者は約5000万人に上り、国民全体の約14%を占めています。この高い保有率の背景には、法定通貨である米ドルの購買力の継続的な低下があります。米セントルイス連邦準備銀行のデータによれば、米ドルの購買力は過去40年超で7割低下しており、長引くインフレとドルへの信認低下が、ビットコインを購入する大きな動機につながっていると市場関係者は見ています。

また、米ハーバード大学が4.4億ドル相当のビットコイン現物ETFを保有していることが明らかになっており、機関投資家の参入も進んでいます。

日本における制度整備の加速

日本でも暗号資産の制度整備が加速しています。金融庁は、ビットコインやイーサリアムなど国内の交換業者が取り扱う105銘柄の暗号資産を、金融商品取引法上の金融商品として位置づける方針を固めました。この法改正案は2026年の通常国会への提出を目指しています。

金商法が適用されることで、これら105銘柄に対しては、交換業者に発行者の有無やブロックチェーンなどの基盤技術、価格変動のリスクといった詳細な情報開示が義務づけられます。さらに、インサイダー取引も規制対象となります。

日本では暗号資産の口座数が9月末時点で1320万まで増加しており、業界団体などを中心に、ビットコインなどの売却益にかかる税率を、株式と同様の20%の申告分離課税にすべきだという機運が高まっています。金融庁も来年度に向けた税制改正でこれを要望する検討を進めています。

今後の展望

現在のビットコイン市場は、マクロ経済的圧力や市場構造の脆弱性といった試練に直面しています。しかし、ドイツ銀行のレポートは、ビットコインの長期的な成熟プロセスは損なわれていないと主張しており、将来的な規制の明確化と広範な機関投資家参入が市場の次段階を支える可能性を残しています。日本でも円安や物価高といった課題がある中、代替資産として暗号資産に注目が高まる可能性があるでしょう。

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