前日急落の反動で押し目買い、しかし終日不安定な展開
17日の東京株式市場で日経平均株価は3営業日ぶりに反発し、前日比128円99銭(0.26%)高の4万9512円28銭で取引を終えました。前日に800円近く急落したことへの反動から、特に半導体関連株を中心に押し目買いが入り、相場を支えました。
しかし、前日に発表された米国の雇用統計が強弱入り交じる内容であったことに加え、日本銀行の金融政策決定会合が目前に迫っていたことから、市場は終日を通じて方向感に乏しい展開となりました。日経平均は一時300円を超える下落を記録するなど、不安定な値動きを見せました。
米雇用統計は強弱まちまち、失業率上昇が懸念材料に
市場の最大の関心事は、16日に公表された11月の米雇用統計でした。非農業部門の就業者数は前月比6万4000人増となり、市場予想(4万5000人増)を上回りました。一方で、10月分は10万5000人の大幅減となっており、これはトランプ政権下で実施された早期退職プログラムによる連邦政府職員のリストラが影響しています。
さらに、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、就業者数の伸びが「月6万人ほど過大評価されている」可能性を示唆しており、2026年2月の年次改定で大規模な下方修正が予想されています。民間の雇用増は医療・福祉分野に偏っており、製造業では7カ月連続の減少が続いています。
雇用統計の最大のサプライズは、11月の失業率が4.6%へと上昇した点です。これは市場予想(4.5%)を上回り、2021年9月以来の高水準となりました。ジョーンズ・トレーディングの関係者は、「利下げが続く環境でも失業率が市場予想以上に上昇したのは労働市場の減速を映す」との見解を示しました。
日銀会合への警戒感で長期金利も上昇
18日から19日にかけて開催される日銀の金融政策決定会合では、政策金利を0.75%に引き上げることが市場でほぼ確実視されています。しかし、「その先の利上げ方針について日銀がどう発信するか読めない」との声も聞かれ、重要イベントを前に持ち高を整理する動きも発生しました。
この警戒感は債券市場にも波及し、17日の国内債券市場では長期金利(新発10年物国債の利回り)が一時1.980%と、2007年6月以来の高水準を付けました。2026年度当初予算の規模拡大に伴う国債増発観測や、日銀の国債買い入れオペで需給の緩みが意識されたことが、金利上昇の要因となりました。
今後は、日米双方の金融政策の不確実性と、AI技術の進展に伴う雇用の構造変化が、引き続き市場の主要な焦点となりそうです。
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