2026年1月20日から21日にかけて発生した世界的な株価急落は、日米双方の政治的要因を起点とした金利の急騰が主因となり、株式市場を直撃しました。債券価格の急落により金利が跳ね上がり、それが株式市場に波及するという複合的なショックが市場を襲いました。
日本国債市場の異変と「トラスショック」の懸念
今回の市場混乱の最大の震源地は、長らく安定していた日本国債市場でした。1月20日、東京市場では日本国債が急落し、新発10年物国債利回りは一時2.380%と27年ぶりの高水準に達しました。超長期債である40年債利回りは初めて4%台に乗せるという異常事態となりました。
この金利急騰の背景にあるのは、高市早苗首相が掲げる積極財政への懸念です。高市氏は食料品の消費税を2年間ゼロにするなどの減税策と歳出拡大を主張しており、市場はこれを国の借金増大と捉えました。市場関係者の間では、かつて英国で減税策発表後に財政悪化懸念から国債と通貨が暴落した「トラスショック」が日本で発生する可能性が織り込まれ始めています。
決定的な引き金となったのは、同日実施された20年国債入札の不調でした。ヘッジファンドによるポジションの巻き戻しや国内生保による投げ売りが殺到し、ある市場関係者が「狂乱」と表現するほどの売り圧力がスパイラル的に拡大しました。30年・40年債の利回りが25ベーシスポイント以上も上昇するという、異常なボラティリティを記録しました。
米国への波及とグリーンランド関税問題
日本の金利急騰は米国市場へも即座に波及しました。米国債市場では、日本国債の利回り上昇を受けてグローバルな債券市場に売り圧力がかかり、米10年債利回りは一時4.31%まで上昇しました。
ベッセント米財務長官は、日本国債市場での変動が米国債市場に波及したとの見解を示しています。長らく「ウィドウメーカー(機関投資家殺し)」と呼ばれた日本国債売りの取引が、現実的な利益を生むトレードとして世界の投資家に認識され始めたことも、金利上昇圧力を高める要因となりました。
さらに、トランプ米大統領による「グリーンランド関税」の発言が市場を揺るがしました。トランプ氏がデンマーク自治領グリーンランドの取得を意図し、欧州諸国へ追加関税を課すと表明したことで、地政学リスクとインフレ懸念が同時に高まりました。これに反発したデンマークの年金基金が米国債の保有をゼロにする方針を示すなど、米国債に対する信認低下も金利上昇を加速させました。
株式市場への打撃と「トリプル安」
日米の金利急騰は、株式市場にとって強烈な逆風となりました。1月20日のニューヨーク株式市場では、ダウ工業株30種平均が終値で870ドル安となりました。
金利上昇は、将来の利益を現在価値に割り引く際の割引率を高めるため、特に高PERのハイテク株や成長株に打撃を与えます。エヌビディアが4%安、アップルやアマゾンが3%安となるなど、時価総額の大きいテクノロジー銘柄が軒並み売られ、S&P500種株価指数の大型株だけで1日に約190兆円相当の時価総額が消失しました。
また、今回は株・債券・ドルが同時に売られる「トリプル安」の様相を呈しました。これは、投資家が市場のファンダメンタルズそのものに疑念を抱き、リスク資産を一斉に圧縮しようとする動きを示しています。市場の恐怖感を示すVIX指数は約2カ月ぶりに20台に乗せ、金価格が最高値を更新するなど、投資家は完全な警戒モードに入っています。
今回の株価下落は、日本の財政規律への不信と米国の外交・通商政策の予測不能性という2つの政治的要因が、金利の急騰という形で共鳴し引き起こされたものです。市場は政策当局に対し、歳入なき歳出拡大や無謀な政策は許容できない金利上昇を招くという明確な警告を突きつけています。
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