日銀は政策金利を据え置きもタカ派姿勢を維持
1月23日の金融市場は、衆議院解散と日本銀行の金融政策決定会合という二つの重要イベントが重なり、株式・債券・為替の各市場で大きな動きが見られました。
日本銀行は本日まで開いた金融政策決定会合で、政策金利を現行の0.75%程度で維持することを決定しました。2025年12月に30年ぶりの水準となる0.75%へ引き上げたばかりで、今回はその利上げ効果を見極める姿勢を示した形です。
しかし市場は、今回の決定を「ハト派的」とは受け止めませんでした。同時に公表された「経済・物価情勢の展望」では、2025年度と26年度の経済成長率予測が上方修正され、生鮮食品を除く消費者物価指数の上昇率予測も26年度分が引き上げられました。市場関係者からは、早ければ4月にも追加利上げに動くとの観測が強まっています。
特に注目されたのは、高田創審議委員が政策金利を1.0%へ引き上げるよう提案したことです。否決されましたが、日銀内の利上げ圧力の高まりが可視化されたことで、債券市場では中期債を中心に金利が急上昇しました。新発2年物国債の利回りは一時1.245%と、1996年7月以来およそ29年半ぶりの高水準を記録しています。
選挙戦突入で財政規律への懸念が高まる
政治面では、高市早苗首相の判断により衆議院が解散されました。1月27日公示、2月8日投開票という戦後最短の日程で総選挙が実施されます。
今回の選挙戦の焦点の一つは経済・財政政策です。高市政権は日本維新の会の閣外協力を得て「責任ある積極財政」を掲げていますが、野党側は立憲民主党と公明党が結成した新党「中道改革連合」が食料品消費税の恒久的なゼロ化などを公約に掲げています。与野党ともに減税や給付といった拡張的な財政政策を競う構図となっており、市場では財政悪化懸念から国債が売られやすくなっています。
実際、今週に入り長期金利は一時2.380%まで上昇し、27年ぶりの高水準をつけています。米国のベッセント財務長官が日本の金利上昇が米国債市場に悪影響を与えていると指摘するなど、日本の財政・金融情勢は国際的な注視の対象となっています。
為替市場では円が全面安の展開
為替市場では、円がドル以外の通貨に対しても全面的に売られる展開が続いています。欧米の投機筋は、日本の財政懸念や日銀の利上げペースの緩慢さに着目し、円の価値が毀損することを見越した「ディベースメント取引」を継続しています。対ユーロで186円台、対スイスフランで200円台後半と、それぞれの通貨に対して円は過去最安値を更新しました。
対ドル相場では1ドル=158円台半ばで推移しており、底堅い動きを見せています。市場では160円という節目を意識した政府・日銀による円買い介入への警戒感がくすぶっていますが、選挙期間に突入したことで、当局にとって介入の難易度は増しています。
株式市場は堅調も地政学リスクに警戒感
株式市場は比較的堅調に推移しました。23日の日経平均株価は前日比157円高の5万3846円で取引を終え、取引時間中には1週間ぶりに5万4000円台を回復する場面もありました。前日の米株高に加え、日銀会合が無難に通過したことへの安心感が買いを支えました。
一方で、地政学リスクへの警戒感も根強く残っています。第2次トランプ米政権による国際情勢の不透明感などを背景に、安全資産とされる金への資金流入が止まりません。金の国際指標は1トロイオンス4900ドルを初めて突破し、連日で最高値を更新しています。
本日のマーケットは、日銀によるタカ派的な現状維持と、選挙戦による財政拡大圧力という相反するベクトルの材料を消化する一日となりました。今後の選挙情勢次第では、金利・為替ともにさらにボラティリティが高まる可能性があります。

