かつて「有事の金」として究極の安全資産とされてきた金(ゴールド)。しかし2026年2月現在、その相場はかつてないほどの乱高下を見せています。米国のハイテク株をも上回るボラティリティ、中国からの投機マネーの流入、そして地政学リスクに翻弄される日々の値動き――。伝統的な価値貯蔵手段としての性質が色あせ、新たな「投機対象」へと変貌しつつある貴金属市場について解説します。
テック株を超えるボラティリティ
かつて「有事の金」として究極の安全資産とされてきた金(ゴールド)。しかし2026年2月現在、その相場はかつてないほどの乱高下を見せています。米シカゴ・オプション取引所(CBOE)が算出する金価格の変動性指数は、2026年1月に「40」の大台を突破し、大型ハイテク株で構成されるナスダック100指数の変動率をも上回りました。
通常、金はリスク資産とは異なる「無国籍通貨」としてポートフォリオの安定化に寄与すると考えられてきました。しかし足元では米株相場と連動する場面が増えています。2月12日にはAI関連の懸念からナスダック総合が2%急落した際、金先物も3%安と連れ安となり、リスクヘッジとしての機能不全を露呈しました。
中国マネーの流入と銀ファンド騒動
この「投機化」の背景には、中国を中心としたアジアからの巨額マネーの流入があります。カナダの調査会社BCAリサーチによると、中国国内の実質金利低下や有望な投資先の欠如を背景に、2025年後半以降、金や銀のETFへの資金流入が急増しました。
この過熱ぶりを象徴するのが、中国の深圳市場で発生した「銀ファンド騒動」です。2026年2月、国投瑞銀基金が運用する銀ファンド(LOF)において、基準価格の算定基準が突如変更されたことで市場が大混乱に陥りました。上海先物取引所での銀価格急落によるストップ安を受け、運用会社がニューヨーク市場の価格を参照するよう変更したことで、基準価格の下落率が17%から31.5%へと拡大。投資家の怒りは集団訴訟の動きにまで発展しています。
地政学リスクに翻弄される相場
2月中旬の金・銀相場は、地政学リスクと米金融政策の狭間でジェットコースターのような値動きを演じました。2月13日には米1月消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回り、金利低下を背景にニューヨーク金先物が前日比2%高の1トロイオンス5046ドルへ反発しました。しかし2月17日には、ロシア・ウクライナの和平協議や米イラン核合意への期待感からドル高が進行し、金価格は一時4900ドルを割り込みました。翌18日には和平協議の進展なき終了と、トランプ政権によるイラン攻撃検討報道を受けて中東情勢への懸念が再燃し、金先物は再び2.1%高の5009.5ドルへと買い戻されています。
今後の展望:5600ドルへの道か、調整か
今後の相場について、専門家の見方は強気と弱気が交錯しています。強気派は直近の上限である5120ドル突破を条件に、次の目標として5600ドル近辺を見据えています。一方でBCAリサーチは、アジアの投資家は価格水準に敏感であり、相場が下落に転じれば一気に買い持ちを解消する可能性があると警告しています。
2026年の金・銀市場はもはや単なる「守りの資産」ではありません。テック株並みのボラティリティ、中国の規制リスク、そして刻一刻と変化する国際情勢が複雑に絡み合う、極めて値動きの大きい投資対象となっています。投資家には、これらの変動要因を冷静に見極める眼力が求められています。
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