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「有事の金」はもう古い?中東情勢の緊迫化でも金価格が下落した4つの理由

「有事の金」はもう古い?中東情勢の緊迫化でも金価格が下落した4つの理由

2026年2月末から3月にかけて、米国・イスラエルによるイランへの攻撃が開始され、中東情勢は一気に緊迫化しました。有事には金が買われるという「有事の金」のセオリー通り、金価格は一時的な高値を記録しましたが、その後わずか数日で急落しています。なぜ定説通りに金価格は上昇を維持できなかったのでしょうか。その背景と、これからの金投資の考え方について解説します。

「有事の金」とは何か

「有事の金」とは、戦争やテロ、大規模な自然災害、あるいは急激な景気後退や金融ショックなど、世界規模の非常事態が発生した際に、安全資産として金(ゴールド)が買われ、価格が上昇しやすい傾向を指す言葉です。

株式や債券といった金融資産は、発行体である企業や国が倒産・財政難に陥った場合、その価値が大きく下落するリスクをはらんでいます。一方で金は実物資産としての価値を持ち、世界共通の資産として認識されているため、無価値になることがありません。そのため、世界情勢が混乱し既存の通貨や経済システムへの不安が高まると、投資家は資産の逃避先として金を買い求める傾向にありました。

今回の有事で金価格が下落した理由

2026年2月末から3月にかけて、米国・イスラエルによるイランへの攻撃が開始され、中東における地政学リスクが極度に高まりました。この直後、金の国際指標(ロンドン現物)は一時1トロイオンス5,400ドル台まで急騰し、国内店頭価格も1グラムあたり2万8,000円台という歴史的高値を記録するなど、当初はまさに「有事の金」らしい値動きを見せました。

しかしその後、金価格はわずか数日で急落し、心理的節目である5,000ドルを割り込み、攻撃開始前の水準をも下回る展開となりました。真の「有事」が到来したにもかかわらず、金が売られてしまった背景には、以下の4つの複合的な理由があります。

「キャッシュ・イズ・キング」の心理

地政学リスクが極限まで高まり、先行きが全く見通せない状況に陥ると、投資家はリスク資産を手放し、最も流動性が高い「現金」を確保しようと動きます。特に基軸通貨である米ドルは、原油を含めたあらゆる実物取引や国家間の貿易で活用されるため、有事の直後には圧倒的な需要が集まります。結果として「金よりも米ドル」が選好され、金から抜けたマネーが米ドルへと流れ込みました。

損失補填と追証のための「換金売り」

有事の際には株式市場も大暴落します。今回のイラン情勢悪化を受け、米国のダウ平均株価は一時1,100ドル超も急落しました。機関投資家やファンドは、株式下落による損失の穴埋めや追加証拠金(追い証)の支払いのために、多額の現金を必要とします。その際、比較的流動性が高く手っ取り早く現金化できる「金」が売却の対象にされるのです。過去のリーマン・ショック(2008年)やコロナショック(2020年)の際にも、同様に金が一時的に急落する現象が起きています。

投機筋による「事実で売る」動き

金融市場には「噂で買って、事実で売る」という法則があります。今回も、軍事侵攻の噂が流れていた段階で値上がりを期待して金を買っていた投機筋が、実際に攻撃が開始されたニュースを受けて利益を確定させるための売りに動いたことが、下落の大きな要因となりました。

インフレ再燃と高金利の継続懸念

イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖などにより、原油先物価格が1バレル82ドル台へと急伸しました。原油高は世界的なインフレの再燃を招き、市場が期待していたFRBの早期利下げ観測が後退。「年内の利下げは1回のみ、あるいは利下げなし」との見方が急浮上し、米長期金利も上昇しています。金は利息を生まない資産であるため、金利が上昇する局面では投資対象としての魅力が相対的に低下し、売られやすくなるという弱点があります。

これからの金投資の新常識

現在の金融市場では「有事が起きたら金を買う」という単純なセオリーはすでに古くなっています。プロの投資家は有事が起こる前から金を保有しており、価格が跳ね上がったタイミングですでに「売り」に回っています。そのため、一般の投資家がパニックになって有事の最中に金を買おうとすると、高値掴みをして損をするケースが多くなります。

今後の金投資においては、株式の下落をピンポイントでカバーする短期的なリスクヘッジとしてではなく、ドルや株式とは一線を画した「独立した資産」としてリスク分散先の1つに位置づけることが重要です。有事の発生直後は換金売りに押されて一時的に下落する金ですが、過去のデータを見ると、その後は株式よりも圧倒的に早く下落前の水準まで回復し、資産全体の下値不安を和らげる役割を果たしています。

価格上昇をもくろんで短期的に売買するのではなく、平時から資産の10%程度を現物や金ETF(上場投資信託)などに振り分け、長期的な視点で保有し続けることが、これからの資産形成において最も有効な戦略と言えるでしょう。

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