本日のテーマは、『米国株 原油ショックで米国株は崩れるか?』です。
9日、原油価格が1バレルあたり118ドルまで上昇し、日経平均、米国株式の先物が大きく下落しました。
原油価格が大きく上昇すると景気に影響があると指摘されたことで、株価が下落していますが、注意すべき点があります。
下の図表をご覧ください。現在の原油先物価格は114ドル、1年後の原油価格は74ドルとなっています。今持っている原油をすぐに売れば高値で売れる一方で、1年後に渡す契約では安くなる状況は、短期的な供給不足によって起きます。

このようなバックワーデーション時、過去の局面では株価がどうなったのか、何を考えるべきかをお伝えしますので、株価が大きく動く中での判断材料としていただければと思います。
バックワーデーションは供給ショックのサイン
グラフは1989年以降を表し、チャートが上に突き出ている箇所、6ヶ月先に受け渡す原油価格よりも、1か月後に受け渡す原油価格の方が高い状態はバックワーデーションを示しています。

湾岸戦争、イラク危機、ウクライナ侵攻といった局面では、短期の供給ショックが起こり、短期価格が上昇しました。そして現在も同様にバックワーデーションが発生している状況です。
では、過去にバックワーデーションが起きたとき、株式市場はどう反応したのでしょうか。
S&P500を見ると、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後を平均すると株価はプラスとなっており、明確なマイナスは確認されていません。
バックワーデーションの局面では、現在価格が将来価格よりも高くなります。その場合、将来にわたって売却するよりも、今保有している在庫を早めに売却した方が高い価格で売れるというインセンティブが働きます。
結果として、在庫をできるだけ多く放出しようという動きになり、供給不足によって上昇した価格が供給過多になることで下落する、原油価格が落ち着くというのがバックワーデーションの特徴です。
歴史的に見ると、今回のように極端なバックワーデーション、短期の供給ショックによって短期価格が大きく上昇し、長期価格はそれほど上がっていない状況では原油価格がピークを迎える可能性が高いです。
過去を振り返ると、今の原油価格はピークに近い可能性があり、供給が増えることでピークをつけ、価格が急激に下落すると言えます。
9日の株価下落の要因となった原油価格の高騰ですが、バックワーデーションを考えると、意外と早く収束する可能性があると言えます。
原油価格の上昇に比べてエネルギーセクターの反応は薄い
もう1つポイントがあります。青で示した原油価格は先週だけで30%も上昇しました。原油価格が上昇すれば、エネルギーセクター、エクソンモービルなどの企業業績が改善するはずです。しかし、黄で示したエネルギーセクターETFのVDEや、緑で示したエクソンモービルの株価は、原油価格が上昇したにもかかわらず、ほぼ横ばいとなっています。

原油価格の上昇が長期化するのであれば、エネルギーセクターやエクソンモービルの業績改善が期待され、株価も上昇するはずです。にもかかわらず横ばいであることから、マーケットが今回の原油価格上昇を短期的なものと判断している可能性があります。今回の上昇は短期的で、いずれ収束するという見方が株価の動きからも読み取れるのです。
地政学ショック後の株式市場のパフォーマンス
こうした点を踏まえると、今回のバックワーデーションは、原油価格が長期にわたって高止まりする状況ではない可能性があります。
下の図表は、過去の地政学イベント発生後のS&P500のリターンを示したものです。

1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後の株価推移を示していますが、平均ではいずれの期間もプラスとなっています。地政学イベントそのものが株価を大きく押し下げ続けるとは限らないのです。
一方で、赤い部分に示されているように、1ヶ月後に40%以上下落したケースや、26%下落したケースもあるため、必ずしも株価が上昇するとは言えません。
ただし、大きくマイナスとなったケースの共通点は、原油価格が高止まりし、景気後退につながっていることです。
ですから今後の株式市場で注意すべき点は、原油価格が高止まりするかどうか、それが景気に大きなマイナスの影響を与えるかどうかです。
今回は警戒すべきなのか、短期的に終わるのかについては、マーケットはまだ判断に迷っている状態です。
先物市場では強いバックワーデーションが見られるため、現在の市場は今回の原油高を一時的な供給ショックと見ている可能性があります。
バックワーデーションは時間の経過とともに原油価格が落ち着く可能性を示しており、歴史的に見ると、株式市場への影響も限定的なものとなる可能性があります。
原油価格が何ドルになったかという水準感を見ることも大切ですが、先物価格と現在価格の関係、バックワーデーションになっているかどうかの確認も重要です。
過去、バックワーデーションの局面では価格調整が進みやすい傾向がありました。もし原油価格の高騰が収束し、景気後退の懸念が後退すれば、株価は大きく反発します。一方で、原油高が長引けば株価の低迷も続くでしょう。
今後は原油価格の動向、そしてバックワーデーションが解消されるかどうかに注目していただくことが、投資判断のヒントになるのではないかと思います。
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