本日のテーマは、「米国株 上昇余地あり ただし荒れる相場へ」です。
現在の米国株市場には上昇余地が十分にあると見ていますが、当面は荒れやすい相場になりそうです。本日は、業績、バリュエーション、フロー、ポジションの観点から、荒れる理由をお伝えしたいと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
まずは先週の振り返りです。先週は、やや状況が変わってきたような雰囲気がありました。

週の初めには100ドルを切っていた原油価格ですが、中東情勢の悪化によって100ドルを超える展開となりました。ここ数週間は、株が下落し、金利が上昇し、金が下落するという動きが続いていました。
しかし、先週の動きは違いました。黄色のチャートがゴールド、赤がS&P500、青が債券金利ですが、金利は低下し、金と株は上昇しました。ここまでの動きとは少し異なる展開になったことが注目ポイントで、結果として、今後はリスクオンになるのではないかと見られています。
リスクオンになる可能性があるわけですが、目先がなぜ荒れる可能性があるのかを、これからお伝えしていきます。
[ 目次 ]
金利が示す不安定相場
金利見通しが不安定:マーケットの前提が揺らぐ
まずは前提となる金利見通しについて見ていきたいと思います。
現在、マーケットの前提を揺るがすような金利の不安定さが起こっています。

左のチャートをご覧ください。こちらはFFレートのイールドカーブを表したものです。2週間前は紫で、年に1回ほどの利下げを織り込んでいましたが、1週前には年末に利上げが起こるのではないかという予想に変わり、先週はほぼ横ばい、利下げなしの予想に変わっています。
この2週間で、これだけ大きく金融政策の見通しが揺らぐのであれば、当然マーケットにもマイナスの影響があります。現在のマーケットは、明確な方向感を持てていないだけでなく、前提自体が不安定な状態にあります。この政策金利の不安定さが、後のボラティリティ上昇の土台にもなっているという点を、まず押さえておいていただきたいと思います。
業績面では懸念は少なく、バリュエーションとしては調整が進む
企業業績はどうでしょうか。今週末から、金融機関の業績発表が始まります。現状を見ると、昨年比でEPSは上昇を続けています。引き続き、高いEPS成長が見込まれており、アメリカ企業の業績は戦時下にあるにもかかわらず、しっかりしていることが分かります。

にもかかわらず、PERを見ると20倍前半まで落ちてきており、直近の高値から15%下落しています。2013年以降で見ても、PERが15%下落するのはかなり稀なケースです。まだまだ下落余地はあるかもしれませんが、それでも15%というのは大きなPERの下落です。
EPSが上昇しているにもかかわらず、PERがここまで下がるのは非常に珍しいです。バリュエーション的にかなり調整が進み、買いやすい状態になっていることが確認できます。
ヘッジファンドに大幅買い戻しの余地あり
ヘッジファンドは記録的売り越し→上昇の燃料が蓄積
次に、ヘッジファンドのフローがどうなっているかです。

こちらは全世界のエクイティの流れを見たものです。グローバルの資金は米国中心に動いているため、S&P500の影響が大きいということで、このデータを取り上げています。
ゴールドマン・サックスによると、ヘッジファンドは3月に、過去13年で最速ペースで世界株を売却していることが分かりました。かなり売られていることが分かります。
このような状況では、ポジションが非常に軽くなっているため、今後の局面では買い戻し余地が大きくなります。フロー面で見ると、上方向への非対称性、買い戻しの力が働きやすいと言えます。
フロー面から見ると、米国株には買い余力があると言えますし、バリュエーション面からも同じことが言えるわけです。
ただ、このような買い戻しは一方向に進むのではなく、ボラティリティを伴いやすい点には注意が必要です。
方向未確定、ブレイク待ちの市場構造

注目すべきは、こちらです。
現在、S&P500に対して、マーケットは大きく動くことを警戒しています。その結果、プットポジションを示すオレンジと、上昇時にポジションを取るコールポジションを示す緑が拡大しています。
こうした状況でマーケットが動き出すと、デルタヘッジ、一方向に動きやすいポジションになっているため、きっかけ次第ではマーケットが大きく動きやすくなる傾向があります。
特に下方向に動いた場合は、下落が深くなりやすいという特徴があります。ヘッジファンドのポジション、バリュエーションの面から見れば、買い戻しが入りやすく、買える状態にはありますが、荒い展開、急落が十分に警戒されるポジションでもあることは、私たちは知っておく必要があります。
では、そうした大きな動きのきっかけになりうるものは何でしょうか。
メインシナリオは上昇も上も下もありの“ブレイク待ち”の相場
左はM7のインプライド・ボラティリティ、1ヶ月間の予想と、S&P500の値動き予想を比較したものです。これがほぼゼロになっているということは、ボラティリティがほぼ同程度であることを示しています。

M7は本来、利益が高く、S&P500の中でもボラタイルな存在です。にもかかわらず、S&P500とほとんど同じボラティリティになっているというのは、2017年以降で見てもかなり低い水準と言えます。
マーケットは、市場を主導するM7の変動率をあまり高く見積もっておらず、M7はそれほど大きく動かないのではないかと見ている可能性があるのです。
ボラティリティが高まりやすいM7が過小評価されているため、一方向へ加速しやすくなるということです。M7の動きが、S&P500がどちらかに大きくブレイクするきっかけになる可能性が高いと言えでしょう。
政策金利が大きく動いているため、どちらに動くのかを断定するのは難しい局面です。だからこそ重要なのは予想ではなく、動いたときにどう対応するかを事前に決めておくことだと言えます。
たとえば押し目水準を決めてエントリーする、サポート割れでポジションを小さくする、あるいはレジスタンス突破で順次対応するなど、人によって投資スタンスは異なると思います。
動きが大きくなったときに動揺して何もできないのではなく、ポジションを小さくするにしても、買いポジションを取るにしても、動くことを前提にシナリオを作っておくことが非常に大事な局面だと、インプライド・ボラティリティからは見えてきました。
特に、M7がどういう状況で動きやすいのかについては、右をご覧ください。
先ほど、PERが非常に低くなっているという話をしましたが、S&P500全体では20倍程度となっている一方で、M7は24倍まで低下し、今はさらに下がっている状況です。
バリュエーション的にも、M7はかなり買われやすい水準にあります。政策金利の上昇が落ち着いてくるようであれば、M7には買いのバリュエーションが入りやすく、上昇余地があると言えます。
一方で、政策金利の不安定な状態が続くようであれば、下方向にブレイクする可能性も十分にあります。情勢を見極めながら判断していく必要がありますが、事前に対応を決めておき、大きな動きが出やすいポジションが作られていることを把握したうえで対応していただければと思います。
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