サマーラリー(Summer Rally)は、株式市場におけるアノマリーの一つで、特に夏季に株価が上昇しやすい現象を指します。アノマリーとは、理論的な裏付けがないものの、経験的に観測されるマーケットの規則性のことです。サマーラリーは、一般的に米国の独立記念日(7月4日)からレイバーデー(9月第1月曜日)までの期間に見られることが多いです。本記事では、サマーラリーの概要とその原因、さらに対照的な「夏枯れ相場」について解説します。
サマーラリーの特徴
サマーラリーは、主に米国株式市場で観察される現象です。独立記念日(7月4日)からレイバーデー(9月第1月曜日)までの期間に、株価が上昇する傾向があります。この期間中、投資家はバカンス前に優良株を買いだめする傾向があり、その結果、株価が上昇しやすいのです。
サマーラリーの原因については、いくつかの説があります。一つは、米国の投資家が夏休み前に株式ポートフォリオを再構築することにより、株価が上昇するというものです。また、夏季は企業の第二四半期決算が発表される時期であり、好調な業績が株価を押し上げる要因となります。
夏枯れ相場とは
一方で、夏季には「夏枯れ相場」という対照的なアノマリーも存在します。夏枯れ相場は、機関投資家が長期休暇に入ることで取引量が減少し、株価が上がりにくくなる現象です。この期間中、相場が低迷しやすく、悪材料に対する反応が大きくなることもあります。
夏枯れ相場の影響は、一時的なものであり、市場の基本的な健全性には大きな影響を与えないことが多いです。しかし、取引量の減少により、株価が一時的に下落するリスクがあるため、投資家はボラティリティの高まりに注意が必要です。
2024年のサマーラリーの展望
バンク・オブ・アメリカによると、1928年以降、米国の代表的な株価指数であるS&P500は、大統領選挙年には75%の確率で上昇し、平均リターンは7.3%に達します。7月1日時点でS&P500は年初来で15.4%上昇していますが、今後も上昇傾向が続くか注目です。

さらに、米国や日本の金融政策もサマーラリーに影響を与える要因です。特に、米国連邦準備制度理事会(FRB)の政策変更が、為替レートや株価に影響を与えることがあります。現在の経済環境を考慮すると、利下げのスピードは緩やかであり、これが株価上昇をサポートする可能性があります。
大統領選挙年は夏場にボラティリティが上昇する傾向
2024年11月5日に投開票が行われる米大統領選挙。その投票3ヶ月前から急激に米国株のボラティリティが上昇する傾向があります。これは、選挙結果により経済への影響が不透明になるでからです。この傾向を踏まえると、今年も8月以降もボラティリティが急上昇する可能性を頭の片隅に置いておく必要があります。

出典:The Daily Shot
また、世界の株式市場に目を移せば、2004年以降、5月から9月末にかけてファンドへの資金フローは減少し、またMSCIワールドのパフォーマンスが軟調に推移する傾向があります。

出典:Zero Hedge
まとめ
サマーラリーは、夏季に株式市場が上昇する傾向を示すアノマリーで、投資家にとって注目すべき現象です。一方で、夏枯れ相場の存在も無視できないため、投資判断には慎重な分析が必要です。2024年のサマーラリーは11月の米大統領選の見込みや企業業績の発表、さらに金融政策の動向などが鍵を握ると考えられます。投資家は、これらの要因を総合的に考慮し、適切な投資戦略を立てることが重要です。サマーラリーという言葉で予断持って投資を行うのではなく、今年は特に現状を踏まえた判断が求めらます。
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