今週の東京市場は、自民党総裁選の結果に大きく揺さぶられ、特に金融市場に強い影響を与えました。自民党総裁選が進行する中で、金融緩和路線を掲げていた高市氏が総裁に就任するとの期待から、円安・株高の動きが強まり、特に輸出企業の株価が上昇していました。しかし、総裁に選ばれたのは石破氏であったため、市場の期待は一転しました。
27日の大阪取引所における夜間取引では、日経平均先物が急落。この急落のきっかけとなったのは、自民党総裁選の結果を受けて円相場が対ドルで上昇したことです。特に輸出企業にとっては、円高は業績に悪影響を及ぼすため、これを受けて日本株が売られる動きが強まりました。その結果、日経平均先物は一時3万7,700円前後まで下落し、27日の清算値である3万9,850円と比較して2,000円以上も下がりました。
この急落に伴い、夜間取引開始直後には売り注文が殺到しました。取引の急激な値動きを抑えるための措置として、大阪取引所では「ダイナミック・サーキット・ブレーカー」が発動され、取引が一時的に停止。この制度は、値動きが一定の水準を超えた際に発動されるもので、通常のサーキット・ブレーカーが上下8%の変動で発動されるのに対し、ダイナミック・サーキット・ブレーカーは、より短期的な急激な変動に対応するための仕組みです。
来週の日本株市場は、石破氏の経済政策に大きく左右されると予想されます。石破氏は過去に緊縮財政派としての立場を示しており、金融緩和に対して慎重な姿勢を見せてきました。しかし、総裁選の終盤戦ではそのトーンを和らげ、具体的な経済政策については明言を避けていました。
総裁選後、石破氏は金曜夜の報道番組で「金融緩和の方針は維持する」と明言し、市場を安心させました。また、第一次産業や地方経済の活性化に意欲を見せたことから、地方経済支援策が今後の政策の一つとして浮上する可能性が高いです。ただし、増税についての具体的な言及は避けており、今後の政策展開に市場の関心が集まっています。
今後の経済政策については、来週の組閣で新たな閣僚人事が発表されることにより、より具体的な方向性が示されるでしょう。特に衆院解散総選挙を控えているため、石破氏が打ち出す経済政策が市場にどのように影響を与えるかが注目されています。
一方、27日の米株式市場では、ダウ工業株30種平均が続伸し、過去最高値を更新しました。この上昇の背景には、米国の経済指標がインフレの落ち着きを示唆したことが挙げられます。特に注目されたのは、8月の米個人消費支出(PCE)物価指数です。この指数の上昇率は前月比0.1%と、7月の0.2%から縮小し、食品とエネルギーを除いたコア指数も0.1%の上昇にとどまりました。この結果、米経済がソフトランディングするとの期待が高まり、消費関連株や景気敏感株を中心に買いが進みました。
これにより、米連邦準備理事会(FRB)がインフレに対処するために継続していた金融引き締め策の緩和が見込まれ、さらなる利下げへの期待感が市場全体に広がっています。特に景気敏感株や消費関連株の買いが顕著で、米国市場が回復基調にあることを示しています。
日本市場への影響としては、米国の経済状況に連動して日経平均も動く傾向があるため、米市場が好調を維持する限り、日経平均も一定の回復を見せる可能性があります。夜間取引で一時的に下落した日経平均先物も、週明けには冷静さを取り戻し、戻りを試す展開になると予想しています。
主な経済指標
10月1日(火) 日銀短観(日)、ISM製造業景気指数(米)、8月JOLTs求人件数
10月2日(水) 9月米ADP雇用統計
10月3日(木) ISM非製造業景気指数(米)
10月4日(金) 雇用統計(米)
来週の為替市場では、米国および日本の主要な経済指標の発表が注目されています。特に、10月1日(火)には日銀短観の発表が予定されており、これは日本の製造業を中心とした景況感を示す重要な指標です。日銀短観では、大企業製造業の景況感が改善することが予想されており、自動車産業や電子デバイス業界への注目が高まっています。
また、米国でも主要経済指標の発表が続きます。10月1日(火)にISM製造業景気指数、3日(木)にISM非製造業景気指数、そして、4日(金)には雇用統計が発表されます。これらの指標は、米国経済の回復基調が続くかどうかを占う上で非常に重要であり、これに伴い為替市場も大きく変動する可能性があります。
石破氏の総裁選出後、円買いが急速に進み、円相場は一時1ドル=146円台から143円台半ばまで上昇しました。米国市場では円買いの動きは継続し、142円台前半で取引を終了しています。
今後、石破氏がどのような財政・金融政策を打ち出すかに注目が集まっており、特に円相場に対してどのような影響を与えるかが市場の大きな関心事です。来週は日銀短観と米国の主要経済指標の発表に加え、石破政権の動向が為替市場にどのような影響を与えるかが注目される1週間となるでしょう。
ファンダメンタルズでは、米サイド要因では、現時点では経済指標で底堅さが確認できることから過度な米国の利下げペースへの期待が剥落する一方で、日本サイドでは、植田日銀総裁の「物価上振れリスクの減少で政策判断にあたり時間的な余裕がある」といった発言から利上げ期待がやや後退していること、また、石破氏も解散総選挙前に金融政策正常化を明確に打ち出す可能性が低いことなどから、高市候補優勢で作られた先週の円売りポジションがクローズされた後は、徐々にファンダメンタルズに沿ってドル円は反発する可能性があると思われます。
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