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【米国株】先週の反発は短期的で一過性のものか?【3/24 マーケット見通し】

【米国株】先週の反発は短期的で一過性のものか?【3/24 マーケット見通し】

本日のテーマは、『米国株 先週の反発は短期的で一過性のものか?』です。

先週はアメリカの3指標、ニューヨークダウ、S&P500、NASDAQが揃ってプラスになりました。下落ムードが強かった中での反発ということで、マーケットではここから上昇に転じるのではとの期待が高まっています。

一方で、慎重姿勢を崩していない投資家も多いようです。そこで、先週の反発は短期的で一過性なのか。それともやはり上値が重たいのかを、今の経済状況などを踏まえて見ていきたいと思います。ぜひ最後までご覧ください。

先週の株価反転の理由

個人投資家の弱気が底値圏の材料

先週の米国市場では少し明るい材料が出ました。FOMCで発表されたSEP(経済見通し)の内容が悪くなかったことに加え、QTの縮小ペースをスローダウンすると発表したこともプラス材料となりました。

また21日には、トランプ大統領が「一律に関税をかけるのではなく、個別に判断していく」と発言したことで、今後の関税政策がややソフト化するのでは、との期待感が上昇したこともプラス材料となりました。

個人投資家の偏ったマインドが原因か

ただ、この2つは本来、米3指標全てを上昇させるほどの材料ではありません。にもかかわらず、なぜ上がったかというと、需給面が影響したといえそうです。

こちらのチャートは米国個人投資家協会が出した資料です。左のチャートを見ると、強気派が20%しかいないことを示しており、2020年、2023年のレベルまで下がっています。

また、右のチャートは、強気派から弱気派を引いたものですが、その数字は-40%となっており、弱気派が強気派を大きく上回っていることがわかります。

ただ、過去のデータから考えると、これは今後株価がまずい展開になる状況ではありません。これは「逆」、つまりリバースインディケーターとして知られており、弱気派が極端に多いと、少しでもプラス材料が出るだけで急激に買い戻すきっかけとなります。

このことから、先週の上昇は、弱気派が多数を占めているため、ほんの少し明るい材料が出ただけで株価が上昇した可能性があります。では、この上昇の流れは持続するのでしょうか。

今後も株価の反転は続くのか?

株式のポジションはまだ縮小する可能性があるレベル

次にご覧いただきたいのは、機関投資家を中心として株式に対するポジションがどうなっているかです。左のチャートは、米国株全体のポジションを示し、右のチャートは、大手テクノロジー株を中心とした株のポジションを示しています。

両方のデータから、株式のポジションが減少しているものの、極端には減っていない状況であることがわかります。 ですから、今後ボラティリティが大きくなれば、株式のポジションをさらに減らす可能性も十分に考えられます。

また、極端にポジションが減ったことによる需給改善にも至っていませんから、さらに株式を減らしてもおかしくない状況です。ただ、心理的な影響で個人投資家による一時買い戻しは発生していますが、機関投資家を中心とした株式ポジションはそこまで縮小しておらず、反動力に少し欠けるというのが1つ目のポイントです。

個人投資家の弱気からの反発に持続性はない

次に個人投資家協会が発表した、こちらのチャートをご覧ください。赤が心理状態、黒いチャートがS&P500の動きです。過去のデータを見ると、S&P500が大きく反転するタイミングでは、弱気から強気への転換がきっかけになっていることがわかります(緑の部分)。

今回も、極端に弱気な箇所に入っていますから、S&P500が切り返せば大きく上昇するのでは、との期待感が持たれているのも非常に理解できます。

ただし注目すべきは、極端に弱気になった箇所から強気に戻る際には、何度も上下を繰り返しながら底固めし、その間S&P500は下がっていることです。

弱気ムードから強気ムードに一旦転じたとしても、その後再び弱気ムードとなり、徐々に底固めする展開が過去の事例では多く見られています。

今回の反転のきっかけとなった個人投資家の少しの心理改善は、過去の事例から言うと持続性がない可能性があります。持続性を持つには、心理を改善させるための経済指標、業績が整う必要があるのです。

今回の下落は意外に大きな下落幅

次に、今回の下落を過去の調整、弱気相場と比較したチャートを見てみましょう。

今回のピークからの下落は黄色いチャート、濃い青のチャートは10%を超える調整後の株価の平均リターンを示しています。 水色のチャートは、弱気相場入り時の株価リターンです。

弱気相場に入るか、10%の調整で終わるかによって、その後の株価は大きく異なります。今回の調整は現時点では過去の弱気相場の下落率を大きく下回っていますから、かなり大きな調整と見る投資家も増えています。初期段階での下落幅がかなり大きいため、今後10%の調整で終わるかどうかは不透明です。

このような資料があるために、投資家のマインドがなかなか回復しづらく、4月の企業決算を見る、もしくは1~3月のGDPをしっかり確認するまでは見送りムードが強まる可能性が高いといえます。

ユーフォリアメーター指数はピークアウト

次に、こちらの指標をご覧ください。ユーフォリアメーターという、投資家の多幸感を表したものが赤いチャート、S&P500が黒いチャートです。

ユーフォリアは、予想PER、VIX、強気弱気などの組み合わせてセンチメントがどうなっているかを示した指標です。1.0に近付くほど、『何が起こっても大丈夫』という楽観ムードが強い状態を示しています。

ここ最近は、極端な強気ムードの中での下落局面にあります。過去のデータを見ても、ここまで高い水準まで上がった後には、楽観ムードが冷めるまで追い込まれて初めて底を打つ傾向があります。投資家のセンチメントの趨勢としては、現状はあまり良くないと言えます。

トータルで見ると、現実を見極める冷静な投資家が増えてきているため、様子見ムードが続くのではないでしょうか。

経済指標や企業業績にも変化の兆し

小売に減速傾向が出ている

先週はFOMC、トランプ大統領の関税に関するコメントに加え、小売統計が発表されました。前月比で+0.2%(前月は-1.2%)と、先月の大きなマイナスからプラスに転じたことが安心材料となっています。

また、GDPの算出に使われるコントロールグループは+1%(前月は-1.0%)となっているため、小売は弱くないのではとの意見が聞かれています。

しかし、前々月の小売売上高は-1.2%に下方修正されており、消費の強さを表すかといえばかなりの疑問です。元々の市場予想の+0.6%に対して+0.2%ですから、プラスとはいえ予想を下回っています。

また、ECサイトの売上が+2.4%となったことから、非常に強いとの意見も聞かれます。ただ、こちらは前月が-2.4%と大幅減少したことの反動と考えられます。

景況感を表しやすい外食は、0.0%から-1.5%と大幅に減少しています。支出を抑える傾向が見えていることから、トータルで見ると小売は微妙な結果だと感じています。

次に右のチャート、実質小売売上高をご覧ください。景気後退前には実質小売売上高が横ばいとなる傾向があるのですが、ここ最近はずっと横ばいです。いつ小売売上が落ちてもおかしくない状況で、景気が強いとは言えない状況です。

フェデックスの決算が芳しくない

先週はフェデックス、ナイキ、アクセンチュアがコメントを出し、決算を下方修正しています。これまで、トランプ政権の新政策による影響に企業が触れることはあまりありませんでしたが、ここにきて影響が見え始めています。

米物流大手のフェデックスは、関税、景気後退の影響により物量が減ってくるとして、業績見通しを下方修正しています。

青いチャートはフェデックス、赤いチャートはS&P500です。フェデックス株が下落すると、その後S&P500は軟調になるため、フェデックス株は先行指標として知られています。現在はフェデックス株が大きく下落しており、この相関を確認している方にとっては、S&P500の購入を見送りたい状況でしょう。

また、ナイキやアクセンチュアも下方修正を発表していますから、4月以降に発表される1-3月期の企業業績に不安を感じる方が増えていることでしょう。

FOMCのSEP(経済見通し)

FOMCでは、SEP(経済見通し)が発表されました。経済成長が2025年+1.7%(前回2.1%から下方修正)、個人消費デフレーターは2.5%から2.7%に上方修正され、インフレが強くなるとの予想。景気は以前より鈍化している一方で、物価は前回より上昇予想となっています。

失業率は4.4%(前回は4.3%)と、許容範囲ではあるものの、若干の上方修正が入りました。

QTのスピードを遅めると発表したため、株価にはプラスでしたが、経済見通しについては「不透明さ」と繰り返したように懸念を残した内容です。

市場関係者にも景気後退の予想が増えている

最後にこちらをご覧ください。青が米10年金利、赤がFFレートを表しています。

今回注目いただきたいのは、再び米10年金利がFFレートを下回ったことです。

景況感を表す10年金利は4.28%となっています。FFレートを少し下回っていますから、FRBが積極的に利下げしないと景気減速するとマーケット関係者が考えていることがわかります。

景気後退とまでは言っていませんが、FRBメンバーは景気がやや減速するのではとの予想をSEPで発表しています。また、市場金利から見ても、投資家は大きな景気後退とまではいかずとも、減速するのではと踏んでいることがわかります。

投資家心理から先週は反発していますが、今置かれてる状況を考えると、まだまだ株価のポジションは大きいです。先週の反発が今週以降も続くのかというと、様子見ムードが続くことでしょう。

1-3月期のGDPはどうなるのか。1-3月期の企業決算がどうなるかがわかってくる4月下旬から5月にかけては、どうしても様子見ムードが強くなることでしょう。

今週以降、株価が大きく上伸しても、このまま上がっていくと判断をするのはなかなか難しく、様子見ムードの中で、個別企業などを買う投資家が増える感じがします。当面は株価が少し重くなることをメインシナリオとして、投資戦略を立てて良いのではないかと思っています。

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