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【スパークス・ジャパン・オープン(愛称:キョウソウの架け橋】日本株大型グロース株ファンドのパフォーマンスを徹底分析【投資信託マラソン】

【スパークス・ジャパン・オープン(愛称:キョウソウの架け橋】日本株大型グロース株ファンドのパフォーマンスを徹底分析【投資信託マラソン】

超保守的な投資信託マラソンで配信中

本日分析する投資信託は、日本の株式に特化したスパークス・ジャパン・オープン(愛称:キョウソウの架け橋)です。投資信託への投資経験がある方は、スパークス・アセットマネジメントという会社名を耳にしたことがある方も多いかと思います。この会社がどのように日本の株式を運用しているか、パフォーマンスを徹底的に分析しますので、ぜひ最後までご覧いただければと思います。

お願い

はじめにお願いです。この記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。投資の売買を行う際は、ご自身の判断で行うようお願いいたします。

また、投資信託の選出に関しては、ランダムに抽出し、中立の立場から分析を行っています。運用会社、販売会社との間に業務提携等は一切ありません。

投資信託概要

概要

まずは概要です。スパークス・ジャパン・オープン「キョウソウの架け橋」は、国内の大型成長株を中心に投資しています。運用会社はスパークスです。NISAの成長枠を利用でき、信託報酬は1.518%となっています。純資産総額は23億円と比較的小規模です。今後成長するかどうかを確認したいと思います。

このファンドを分析対象として取り上げたのは、1989年に設立されたスパークスが独自のこだわりを持って運用しているとの評価があるためです。

また、徹底した個別銘柄の分析を通じた投資を行っている点も注目に値します。アセットマネジメント会社は個別分析能力に長けており、一般投資家よりも優れていると認識されています。そのため、その能力が実際に高いかどうかが注目しています。

当ファンドは投資先を検討する際には、日常から得た気付きを基に仮説を立て、個別企業の調査を重ねることで具体的な投資判断に結びつけていると謳っています。日常的な気付きから調査を行うボトムアップ型のリサーチを取り入れているとのことですから、うまくはまれば大きなパフォーマンスが期待できるでしょう。

銘柄数は50から70銘柄とある程度絞り込まれており、直近では50銘柄が選定されています。集中投資されたポートフォリオということで、期待ができるかも注目です。

チェックポイント

以上の注目理由を踏まえたチェックポイントです。

・ボトムアップリサーチがパフォーマンスに反映されているかを検証したいと思います。

・さらに、自慢のボトムアップリサーチの力が実際にどの程度あるのか、インデックスに対してオーバーパフォームしているかどうかを確認します。

まずは同じカテゴリーにおけるパフォーマンスです。10年リターンで見ると同カテゴリーを上回っていますが、1年、3年、5年の期間では同カテゴリーよりもパフォーマンスが劣っています。トータルリターンを見ると、カテゴリー内での強さはあまり感じられないかもしれません。

一方、標準偏差を見ていただくと、大型グロース株という同じカテゴリー内では1年、3年、5年、10年のいずれもリスクが低くなっています。リスクをコントロールしながら投資を行っていると言えます。パフォーマンスだけではなく、リスク管理の観点からもトータルでどのように評価するかが、分析の重要なポイントになります。

投資信託の投資戦略

投資信託の投資戦略です。徹底したボトムアップリサーチにより、投資先企業を選別しています。経営者の質、企業収益の質、市場の成長性など、ボトムアップで各企業調査を行っています。

スパークスの運用哲学は、「マクロはミクロの集積である」です。これは各企業の積み上げがマクロ経済に大きな影響を与えるという考え方です。徹底的なボトムアップリサーチを優先することが、運用哲学となっています。

徹底した個別企業分析の能力に長けているであろうということで、ファンドを見ていきたいと思います。

ボトムアップリサーチにより自信を持った銘柄のみに投資し、現在は50銘柄と少数精鋭のポートフォリオ運用を行っています。

収益の源泉については、ボトムアップリサーチにより企業の実態価格を確認しつつ、市場価格との間に生じるバリューギャップを見出すことで、投資の機会を探しています。例えば、企業の価値が1,000円であるのに対し市場価値が500円であれば、500円のギャップが埋まる可能性があります。カタリストという株価が割安な状態が解消される機会を通じて、バリューギャップが埋まるところにチャンスがあると判断したものに投資を行う戦略となっています。ボトムアップを中心とする企業が行う投資戦略に近い印象です。

銘柄の選定の際には、業種や規模感に幅広く対応している印象です。個別企業の発掘によりポートフォリオを構築しています。上位10銘柄を見ても、知名度が高い企業からあまり知られていない企業まで入っています。不動産業、小売業など様々な業種の企業が含まれており、個別企業の発掘により構築されたポートフォリオであることがわかります。

月報によると、「海外投資家による国内不動産市場の活性化に魅力を感じる」などのコメントがあるため、投資テーマを設定して投資を行っていることがわかります。海外投資家からの注目度も反映していると言えます。

年間の売買回転率は0.8であることから、あまり頻繁に売買を行っていないことがわかります。基本的には、購入した銘柄をある程度長期にわたって保有していることになります。

ただ、年単位での組み入れ銘柄を見ると大きく組み変わっていることから、確信度が高い場合には大胆に投資を行っていると思われます。パフォーマンスにつながっていれば、非常に信頼できると言えるでしょう。例えば、直近ではNTTや積水ハウス、三菱地所などに新規投資を行う一方、伊藤忠、太陽誘電、ニデックなどは全部売却しています。これらの動きから、銘柄の大胆な入れ替えが行われている印象を受けます。

パフォーマンス分析

パフォーマンス

パフォーマンスは、市場平均と比較して大きな差異は見られません。残念ながら、アクティブファンドとして目立った成果を出せていない状況です。

5年間の比較チャートを見ると、世界株の青いチャート、日経平均の黄色のチャート、赤が基準価格ですが、パフォーマンスはほぼ変わらず、一時的にオーバーパフォームした期間がありました。

3年間で見ても日経平均とほぼ変わらず、アクティブファンドらしい大きなパフォーマンスは現時点で見られません。

シャープレシオについても0.5と平均よりも若干低いことから、投資効率もあまり高くありません。

しかし、好調な時期もありました。例えば、2021年は日経平均に比べて大きく値上がりしており、年間で見れば日経平均が27,000から28,000とわずかな上昇にとどまった中、このファンドは約15%の値上がりを見せ、日経平均を約10%上回っています。

ただ、そのような時期が長く続いていないことが、5年比較のチャートで明らかになっています。2021年は良好でしたが、その後はあまり変化がなく、中長期で見れば市場平均とほぼ同じパフォーマンスとなります。アクティブファンドとしての能力が高いのかについては疑問が生じます。

短期的にパフォーマンスが良い銘柄への投資はうまくできています。売買回転率は0.8ですが、銘柄の入れ替えを活発に行っている印象がありました。しかし、中長期で成長を続ける銘柄を発掘できていないため、短期的には成果が見られても長期では成果が続いていません。経済の動向から投資テーマの選定を行っているようですが、最も売りとしているボトムアップの個別銘柄の選定では、結果を残せていないと判断せざるを得ません。

同カテゴリー比較のパフォーマンス

さらに広い視点で確認します。同分類のグロース大型セクター内でのクイックな投資平均と比較しても、再投資を行った赤いチャートが過去3年間で同分類に比べて大きくアンダーパフォームしています。

過去1年間についても同様の状況が見られます。国内株式では、平均が17.54%のリターンに対して8.47%となっています。当ファンドのドローダウンがマイナス圏にあるのに対して、日本株はプラス圏にあります。国内株式と比較しても、あまりパフォーマンスは優れません。

資金流出入

資金流出入を見ると、資金の流出が続いています。2023年は全ての月で資金が流出しており、2024年も年始から流出が続いています。

評価

これを踏まえた評価は1.5となります。ボトムアップリサーチが得意であるとあります。そのため、企業を見る目が高ければ中長期でもリターンが積み上がってくるでしょう。しかし、国内の大型グロースという競争が激しいカテゴリーにおいて、現時点では、強みをまだ発揮できていない状況にあるといえます。また、パフォーマンスやシャープレシオで見てあまりいい結果ではありません。

本日は、スパークスというボトムアップリサーチを強みとする企業の大型株グロースファンドのパフォーマンスを見てきました。運用会社の評判は高く、非常に期待していたのですが、現時点ではボトムアップで企業を分析する能力がファンドのリターンで確認できない状況です。大型グロースという競争が激しい中において、強みや特徴が発揮できていないことがわかりました。

今後、他のファンドとの比較を行う中で、時間の経過と共に強みが出てくる可能性はありますが、現時点では強みがないため、もし大型グロースを検討されている方は、他のファンドとしっかりと比較の上で判断していただきたいと思います。

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