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【小型ブルーチップオープン】独自の運用哲学により長期で高いパフォーマンスを実現。その理由を分析します。【投資信託マラソン】

【小型ブルーチップオープン】独自の運用哲学により長期で高いパフォーマンスを実現。その理由を分析します。【投資信託マラソン】

超保守的な投資信託マラソンで配信中

本日は、小型ブルーチップオープンという、日本の中小型株に投資する日本株ファンドを分析します。

このファンドは独自の運用哲学で、長期間にわたって高いパフォーマンスを維持しています。投資家から高く認知されているファンドです。その高いパフォーマンスが今後も維持されるかどうかを検証したいと思います。

お願い

最初にお願いです。本記事は情報提供の目的で作成されており、投資の勧誘や売買の推奨を目的としてはおりません。また、取り上げている投資信託はランダムに抽出されており、運用会社や販売会社と当社との間に業務提携などはございません。中立な立場から分析をお伝えします。

投資信託概要

概要

小型ブルーチップオープンは、野村アセットマネジメントが運用しています。日本の中小型株に投資しており、NISA成長投資枠での投資が可能です。

信託報酬は1.672%と、平均的な中小型株と同等の数値となっています。純資産総額は210億円と、こちらも中小型株によく見られる時価総額です。

今回、このファンドを取り上げた理由は、独自の運用方針を持っており、ある程度注目度が高いファンドであるためです。時価総額が低い中小型株の中から、成長性と割安感を加味して投資を行っています。

成長性と割安感の判断は、定量的な評価だけでなく、ファンドマネージャーの判断も含めて行われています。その判断力がどのようにパフォーマンスに反映されているかに注目です。

設定は1996年で、日本株ファンドとしても非常に運用歴が長いです。運用スタイルを長期で貫くファンドということで、どのようなパフォーマンスを残すのかに注目です。

チェックポイントです。中小型株ファンドというと、どうしてもボラティリティが高くなります。値動きの大きさをコントロールしながら、パフォーマンスを維持できているのでしょうか。また、独自の運用哲学が長期投資に値するかどうかも確認したいと思います。

簡易パフォーマンスです。トータルリターンは、10年、5年、3年、1年という区切りでも、全て同カテゴリーを上回っています。同じような中小型株を大きく上回るパフォーマンスだと言えるでしょう。

標準偏差は、同じカテゴリーを上回っていることから、一般的なファンドに比べてやや高いリスクを取っていることが分かります。高いリスクを取りつつ高リターンを狙っていることが、長期的に見た際、どういうパフォーマンスとなるのかに注目です。

投資戦略

戦略の独自性について、ファンドマネージャーは「臨機応変」「メリハリ」と言っています。具体的には、景気や株式市場の状況を見ながら、攻めと守りを臨機応変にギアチェンジし、ポートフォリオの特性をコントロールしているとのことです。

もう少し具体的に理解するため、投資方針を確認してみましょう。投資対象としている中小型株は、成長銘柄からバリエーションを勘案して厳選しています。中長期的に市場平均を上回る可能性が高いと期待できる中小型株に投資していますが、バリエーションを勘案して割高なものは投資を避けています。

計器・産業動向で一時的に業績が低迷している状況でも、技術力・営業力などによって、回復時には大きく高値を取れる銘柄かどうかを考慮して投資を行っています。短期間の収益よりも中長期の成果を求めていることがスタンスとなっています。

ボトムアップですから、グローバルマクロな景況感で判断するよりも、個々の持つ能力を重視して投資を行います。成長性では、運用担当者の訪問、独自の分析を通じて、売上の伸び、利益率の方向性、キャッシュフロー、経営陣の質を考慮しています。ここがファンドマネージャーの腕の見せどころとなるでしょう。

バリエーションは個別銘柄ごとに判定しています。高成長が維持できると言われても、株価が買われ過ぎて高くなっている場面では、運用担当者の判断で買わないこともあります。この点がメリハリとなるのでしょう。

銘柄戦略

投資銘柄は70~80銘柄です。大型銘柄に20~30銘柄に絞っているものと比べると、分散を多少効かせている印象です。売買の回転率は1.2倍程度ですから、極端に多いわけでもありません。

業種別には電気機器、ゴム、非鉄金属が多めに含まれており、情報通信や陸運、食品は少なめです。この辺りに、多少の独自性を出してきていることが分かります。

現在の上位銘柄としては、横浜ゴム、住友不動産が上位に並んでいます。2023年の3月末にはロームが4.6%、豊田通商が4.2%、GSユアサが4%でした。1年後の2024年の3月末時点では、上位銘柄が入れ替わっていることから、しっかりと銘柄の選定を行いながら、入れ替えも行っていることが分かります。

2024年の3月末に上位に入っている横浜ゴムは、北米での高級SUV向けタイヤが非常に売れており、大幅に利益が上昇しています。これは、昨年M&Aが行われたスウェーデンの農機具用タイヤを扱う会社が利益に貢献していたためです。この出来事に注目し、去年は上位に入っていなかったものを上位に持ってくる判断を行っているのです。このような中期的に伸びそうな銘柄を入れていることから、銘柄選定が上手だとの印象を受けます。このような動きがパフォーマンスにどう活かされているのかに注目していただければと思います。

ファンド・パフォーマンス

パフォーマンス

売買の回転率は1.2とそれほど高くありませんが、高いパフォーマンスを出しています。投資方針通りの、バイ・アンド・ホールドを主体とした運用です。

ファンドのパフォーマンスは、他の指標と比べてもかなり高いです。特に長期的なパフォーマンスの比較では大きな差となっています。過去5年間で見ると、TOPIXと比較しても、50%ほどリターンが上回っています。小型株の動きを示すTOPIX SMALLと比べても、大きく上回っています。TOPIXだけでなく、小型株と比較しても上回っていることが分かりました。

また、円ベースの世界株の平均も上回っています。世界株は非常に好調でしたが、20%ほど上回っている状況です。

短期・中期の動きで見れば、TOPIX SMALLとほぼ連動しています。日本株の小型全体の動きに追随しつつも、長期的にはプラスアルファのリターンが積み上げられていることが分かります。攻めの姿勢というよりも、しっかりと積み上げている印象です。

リターンは年20%程度、リスクは15%程度です。リスクは同じカテゴリーに比べると少し高いですが、リターンがしっかりしており、シャープレシオは常に1.2程度ということで、かなり優秀な数字です。

一般的に、中小型株ファンドは値動きが大きくなりがちです。リターンやシャープレシオのブレも大きくなりやすいですが、シャープレシオが1.2程度と安定していることから、長期的に安定した実績を残していると言えます。

その背景には、銘柄の選定能力の高さがあります。ファンドマネージャーによる銘柄選定が非常に上手く、長期保有の方針、適度なリバランスが行われています。

ただ、過去のパフォーマンスを見ると、大きな相場の変動時には値動きが大きくなっています。これは中小型株に投資するファンドの宿命とも言えるでしょう。2000年、2008年の大幅な下落時には、市場平均よりも大きな下落となっていることには注意が必要です。

その後のリバウンドは大きく値上がりが取れていますが、今後大きな市場の下落が発生する場合、非常に良いファンドであっても大きな下落を避けることは、ご認識いただければと思います。

次に長期パフォーマンスです。20年来の推移を、青のチャート(小型ブルーチップオープンの分配金再投資)と、緑のチャート(TOPIXの配当金込み)を比較したものをご覧ください。TOPIXに大きく差を付けていますから、TOPIXを買うインデックスファンドよりも明らかにアクティブファンドとして上回っていることが分かります。シャープレシオから見ても、一過性ではなく、再現性が高いと考えられます。

資金流出入

資金の流入が続いているということで、こういったファンドに注目している方が多いことが分かります。

評価

評価は星4つです。成長性が高い中小型株投資を行う際、長期で任せられるファンドです。細かいリバランス、横浜ゴムなどの業績がしっかり伸びるところにフォーカスする銘柄選定ができていることから、非常に高い能力を持っていると言えるでしょう。

本日は、日本株、特に中小型株にフォーカスし、成長性に重きを置いた投資信託を分析しました。20年の歴史を超えるファンドであり、長期で見てもシャープレシオは非常に安定しています。

安定の背景には、中長期でパフォーマンスが出るものを選定し、細かいリバランスを行うという地味な積み上げがあります。ファンドが独自の戦略と謳う、しっかりした銘柄選定、状況に応じたリバランスといった愚直な戦略が、長期的に安定したパフォーマンスにつながっているとの印象を持ちました。ぜひ、他のファンドと比較しながら、分析していただければと思います。

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