本日は、日経平均高配当利回りファンドという、NISA積立、成長枠投資の両方で投資が可能な日本株ファンドを分析します。
良好なパフォーマンスで有名なファンドですが、実力はどうなのでしょうか。細かく分析していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
お願い
最初にお願いです。この記事はあくまでも情報提供を目的として作成されています。投資の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。また、取り上げている投資信託はランダムに抽出を行っています。運用会社や販売会社と当社の間に業務提携等は一切ございません。中立の立場で分析をお伝えします。
投資信託概要
概要
日経平均高配当利回りファンドは、三菱UFJアセットマネジメントが運用を行っています。投資対象は日本株で、NISAの積立、成長投資枠の両方で投資が可能です。信託報酬は0.69%で、純資産総額は1458億円となっています。
特徴です。ファンドの名前にありますように、日経平均の採用銘柄の中から配当利回りの高い銘柄に集中投資を行っています。
配当利回りの上位30銘柄を基本として抽出を行いますが、組み入れ比率や流動性、規模などを勘案して決定しています。状況によっては、上位30銘柄に入っていても投資を行わないこともあるそうです。
日経平均に採用されている時点で、そもそも優良な銘柄だと言えますが、実際には予想配当利回りが高い銘柄を選び、上位30銘柄を時価総額などに応じて組み入れている点が特徴です。
6月と12月にリバランスを行い、銘柄の入れ替えや比率調整を行っています。リバランスにも配慮したファンドとなっています。
今日のチェックポイントです。このような投資戦略で高いパフォーマンスが実現できているのか。非常に評判が高いファンドですが、本当にその実力があるのか、長期投資にも良いパフォーマンスが期待できるかを見ていきたいと思います。
簡易パフォーマンスです。同じカテゴリー内でリターンが全ての期間において上回っており、高いパフォーマンスだと確認できました。
標準偏差はあまり変わりません。リスクはマーケット並みで、リターン追求が結果として伴っていると言えるのではないでしょうか。
投資戦略
非常にシンプルな投資戦略です。そのため信託報酬も安くなっています。日経平均の採用銘柄225銘柄の中から、投資対象銘柄を30銘柄に絞り込んでいます。流動性や配当の成長性を加味した上で決定していますが、基本的には上位30銘柄というシンプルな投資戦略になっています。
銘柄戦略
原則として、投資した銘柄は半年間保有を続け、リバランスを半年に1回行います。短期的な売買や入れ替えを行わない、非常にシンプルなストラテジーとなっています。直近のリバランスとしては、個別銘柄として、武田薬品工業、三菱UFJフィナンシャル・グループ、積水ハウスなどを新規に買い付け、商船三井、あおぞら銀行、ソフトバンクなどを買い増しています。
一方で、丸紅、日本郵船、住友商事は全株を売却し、JFEホールディングス、日本製鉄、みずほフィナンシャル・グループは一部売却しています。全売却、全買い、買い増し、一部売却をきっちりと行っていることが確認できます。
業種としては、銀行、医薬品、建設業の構成比率が高い一方で、卸売、証券、商品先物等の比率は下がっています。ポートフォリオとしては、配当利回りが3.8%となっており、日経平均の1.75%と比較して高い配当利回りが実現できています。
ROEは日経平均の9.3に対して8.5とやや低いですが、その分、伸びしろがあると言えます。また、PBRに関しては1.2で、日経平均の2に対して低くなっています。
結果として、総じて割安感のある銘柄に集中投資されています。ファンドの特徴としては、日経平均の中から高配当かつ割安株に投資していると言えます。
ファンドパフォーマンス
パフォーマンス
良好なパフォーマンスです。近年、高配当株全体のパフォーマンスが良いこともあり、このファンドも例外なく絶好調なパフォーマンスを示しています。
特に過去3年間のリターンは非常に高いです。右下のチャートをご覧ください。赤が基準価格、TOPIXが黄色で、世界株が青ですが、基準価格が明らかに上回っています。過去3年間においてはTOPIXを70%、世界株平均を50%上回っています。
直近3年だけでなく、過去5年間でもTOPIXを70%上回っています。世界株並みのパフォーマンスで、日本株としては非常に優秀だと言えます。
リスクは年間13%と低く抑えられています。結果として、シャープレシオは2.4と高くなっています。
銘柄選定は配当利回りの高い順に投資する方法で行われています。ファンドマネージャーの能力に頼るというよりも、スクリーニングで機械的に銘柄を選定しています。個人的な判断に依存せず、機械的に行われているということが1つの特徴となっています。
長期的に見ても、安定して高いリターンを実現しています。日本株の高配当銘柄が注目されていること、割安株の中で自社株買いなど株主還元策を打ち出す銘柄が多いことが、パフォーマンスの良さに寄与しています。
ファンドの銘柄数は30に絞られており集中投資が行われていること、組入比率がパフォーマンスに良い影響を与えていると考えられます。リバランスは年に2回と、一般的なポートフォリオで言われている最適な回数の年1回よりも細かく行われています。
ファンドの運用は効率的で、信託報酬も安く設定されています。パフォーマンスと信託報酬を考慮すると、非常に優秀な日本株ファンドだと言えます。世間で高い評価を受けているのも納得できます。
資金流出入
資金の流入が続いています。多くの資金が入ってきていることからも人気の高さが伺えます。
評価
評価は星4つとさせていただきました。戦略は非常にシンプルです。日経225の中から30銘柄を機械的に選定し、よほどの理由がなければ上位30の高配当銘柄を選んでいます。リバランスもきっちり行い、買い入れ、売却も適切に行っています。
今後、日本株は配当政策がさらに意識されを投資魅力を増す流れが期待されています。株主への還元も以前以上に意識されています。こうした傾向が続く可能性があるため、非常に面白いファンドだと言えます。また、結果的に割安な銘柄に投資していることから、今後市場変動があった場合でも、ある程度の安定性が保てる期待もあります。そのため、高い評価とさせていただきました。
本日は、日経225の中から上位30銘柄、高配当銘柄に投資するファンドを見てきました。非常に評判の高いファンドであり、分析しても非常に優れたファンドでした。
シンプルに、機械的に銘柄選定を行っていることがポイントです。人の手による選定ではなく、機械的に行うことで安定性が確保されています。そういった意味では、ポートフォリオの一部として十分に検討できるものだと感じます。