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【USテクノロジー・インベスターズ・ファンド】米テクノロジー株への集中投資で高い成果を期待できるか?【投資信託マラソン】

【USテクノロジー・インベスターズ・ファンド】米テクノロジー株への集中投資で高い成果を期待できるか?【投資信託マラソン】

超保守的な投資信託マラソンで配信中

本日は、USテクノロジー・インベスターズ・ファンドという、アメリカのテクノロジー企業に集中投資するファンドを分析します。

テクノロジー株は、ここ数年間で非常に大きく成長しています。そういった株式への集中投資は、他のインデックス運用に比べて高いパフォーマンスを期待している方も多いと思います。ぜひ最後までご覧ください。

お願い

最初にお願いです。この記事は情報提供を目的に作成されています。投資の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。また、取り上げている投資信託はランダムに抽出しています。運用会社、販売会社と当社の間に業務提携等は一切ございません。あくまでもランダムに抽出し、中立の立場で分析を行っています。

投資信託概要

概要

USテクノロジー・インベスターズ・ファンドは、三井住友DSアセット・マネジメントが運用しています。米国株に投資しており、NISA成長投資枠での投資が可能です。信託報酬は1.9%、純資産総額は613億円です。

特徴です。情報技術関連企業の中から革新的な技術、サービスにより高い成長が期待される企業の株式に厳選して投資する米国ファンドです。

これまで様々なテクノロジー企業がイノベーションを起こし、株価上昇、経済成長に寄与してきました。その中心となるような企業を選び、投資を行うファンドとなっています。

銘柄の選定にあたっては、実地調査等を通じた企業の成長見通し、財務の健全性、バリュエーションに割安感があるか、といった非常にオーソドックスな分析を行っています。

三井住友DSアセット・マネジメントがファンドを運営していますが、銘柄の選定は、情報技術関連企業に対して高い分析能力を有するティー・ロウ・プライスが行っています。だからこそ興味を持っている方も多いのではないでしょうか。

チェックポイントです。情報技術関連企業は非常に高い成長率を見せてきました。ファンドに投資すると非常に高いパフォーマンスを期待できるのでは、という期待感もあることでしょう。そこで実際はどうかを分析したいと思います。

簡易パフォーマンスです。ここ1年間は非常に大きくオーバーパフォームしていますが、過去3年間では-8%。同カテゴリーと比較してもボラティリティが高いことがわかります。標準偏差も全ての期間で同カテゴリーよりも高くなっていますから、リスクの高いポジションを取っていると言えます。このことが長期のリターンにどのように影響するのでしょうか。

投資戦略

情報技術関連企業の中から革新的な技術、サービスを持ち、高い成長が期待できる企業株式に厳選投資を行っています。

PC、インターネット、モバイル端末、スマートフォンが出現し、その後はIoT、AI、クラウドが中心となって、ITは加速しながら新たなステージを迎えています。

このファンドは、特に米国企業の中から情報技術分野で突出した能力を持つ企業を選定した後、ボトムアップリサーチを行い、市場シェア、サイクル的にどうか、価格の決定能力、経営陣の質、バリュエーションの割安感を基に20~40銘柄に絞り込んでいます。

銘柄戦略

業種別では半導体・半導体装置関連株が約4割と最も多くなっています。次にソフトウェア・サービスが3割ですから、ポートフォリオの半分以上がソフトウェアと半導体関連で構成されています。

組み入れ銘柄は35銘柄と、一定の集中投資が行われています。上位銘柄にはマイクロソフト、アップル、エヌビディア、AMDといった大型銘柄が並んでいます。銘柄を見ても、よく知られた銘柄が多い印象です。国、業種ともに特化したファンドであり、世界経済を牽引する米国テクノロジー企業に投資していると言えます。

売買動向は値動きの大きな銘柄が比較的多く、機動的なリバランスを行っています。売買の改定率は1.7倍ですから、値動きに対してリバランスを行いながら適宜入れ替えを行っていると言えます。

例えば、サービスナウ、アナログ・デバイセズはバリエーション的に魅力的と判断されたため、追加の買い付けを行っています。一方で、エヌビディア、アマゾンは株価が上昇して目標価格を達成したため、一部売却しています。

ファンド・パフォーマンス

パフォーマンス

簡易パフォーマンスで見た通り、短期間のパフォーマンスにはブレがあります。35銘柄に集中投資を行い、セクターが決まっているため、ファンドのパフォーマンスにブレが目立つのは当然と言えるでしょう。

中期的なリターンを見ると、過去5年間では世界株平均と同じパフォーマンスとなっています。チャートを見ても、世界株と比較しても良い時も悪い時もありつつ、5年間では世界株と同等のパフォーマンスを示しています。

過去3年間では世界株を約30%下回っています。ただし、テクノロジー企業が軒並み上昇した2020年、2021年には非常に良好なパフォーマンスを記録し、世界株を50%、S&P500を40%上回る場面がありました。集中投資、テクノロジー企業への投資は、成長する時には大きく伸びるのだと改めて感じるパフォーマンスとなっています。

ただ、2022年には金利上昇などの影響もあって株価が大きく下落し、基準価格は半分近くとなりました。ファンドのリスクは年率30%と、かなりボラティリティが高い1年となっています。短期的に大きく上昇することもあれば、大きく下落することもあるファンドです。

値動きが大きくなる背景には、特化型ファンドという特徴があります。銘柄数だけでなく、業種、国も特化しているため、ある程度のリスクは仕方がないと思われます。

ただ、値動きが大きいことからリターンのバラつきも大きく、シャープレシオは過去5年平均で0.7、過去3年では0.2と非常に低い数字となっています。

テクノロジー企業の中でも、このファンドに多く組み入れられている半導体関連やソフトウェア関連の銘柄が上昇を続けている局面では、ファンドリターンが非常に高くなることが予想されます。

しかし、実際には上下を繰り返しており、あまり効率的な運用とは言えません。大きく下落すると取り戻すには非常に大きな力が必要です。この効率の悪さがファンドの欠点となっています。

ファンドをうまく活用するには、高リスク、かつ一定期間の短期のリターンを、マーケットセンチメントを見ながら投資する必要があります。長期投資の対象となるかは、この時点では判断が難しいところです。

5年パフォーマンス

次に5年間のパフォーマンスをS&P500(円建て)、NASDAQ100(円建て)と比較したチャートをご覧ください。NASDAQ100が緑のチャート、ファンドが青のチャート、S&P500の円建てが赤のチャートです。全て円建てですから、為替の影響も考慮されており、純粋なパフォーマンスの比較となっています。

NASDAQ100はテクノロジー企業を中心とした指数です。それに比べてテクノロジーに特化したこのファンドは、大きく下落する局面がありました。その後の戻りも差を詰めるような動きとならず、開いた差がほとんど縮まっていません。

銘柄の選定が大型株に特化していることもあり、マーケット並みのパフォーマンスとなっている一方で、大きく下落する局面では大きくマーケットに負けています。インデックスに対して大きな優位性があるのかといえば、疑問を持たざるを得ません。

過去5年間のパフォーマンスを見ても、長期で預けるにはリスクが高いと感じざるを得ませんし、銘柄選定が本当にうまくいっているのかという疑問が浮かびます。

資金流出入

資金の流出が続いている状況です。

評価

評価は2となります。アクティブファンドとしてイノベーティブな企業に投資するというコンセプトは非常に良いものの、NASDAQ100、S&P500と比較してもアルファを出せていない状況です。同カテゴリーのファンドに対してもアルファが出せていませんから、インデックス運用で十分ではないか、NASDAQに投資した方が良いのではと言われても仕方がないパフォーマンスとなっています。

今後イノベーティブな企業がさらに発掘することは期待されるでしょうから、今後のパフォーマンスをしっかりと確認したいところですが、現時点での評価は2とさせていただきました。

本日は、アメリカのテクノロジー企業に集中投資するファンドを分析しました。ここ1年間のパフォーマンスは非常に優れており、ティー・ロウ・プライスが実質的に運用を行っていることから高い期待感がありました。

しかし、NASDAQ100などに対してアンダーパフォームしており、その後の戻りもあまり良くありません。銘柄選定、リバランスがうまく機能していないと言えます。他のテクノロジー関連ファンドに興味がある方は、他のファンドと比較検討する必要がありそうです。

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