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【ピクテ新興国インカム株式ファンド】新興国株のリスクを抑えつつ、安定したリターンを実現【投資信託マラソン】

【ピクテ新興国インカム株式ファンド】新興国株のリスクを抑えつつ、安定したリターンを実現【投資信託マラソン】

超保守的な投資信託マラソンで配信中

本日は、ピクテ新興国インカム株式ファンドという、新興国かつ、配当の高い株式に投資するファンドを分析します。

このファンドは、新興国株式にありがちな高いボラティリティを抑えつつ、安定したリターンを実現しています。どのようにリスクをコントロールしているのかも含めて分析しますので、ぜひ最後までご覧ください。

お願い

最初にお願いです。この記事は、あくまでも情報提供を目的として作成されています。投資の勧誘や売買の推奨を目的としたものではございません。また、運用会社や販売会社と当社との間に業務提携などは一切ございません。あくまでも中立の立場でお伝えしています。

投資信託概要

概要

ピクテ新興国インカム株式ファンド(1年決算型)は、ピクテ・ジャパンが運用する世界株ファンドです。NISA成長枠への投資も可能で、信託報酬は2.01%、純資産総額は51億円、毎月決算型は852億円です。

特徴です。新興国の株式に投資を行う点が1つ目のポイントです。2つ目、新興国のリスクを抑えつつ、大企業で高配当利回りの銘柄中心に投資を行っています。3つ目、特定の銘柄、国、通貨に集中せずに分散を徹底しています。

国別内訳は中国、韓国、台湾の順に多くポートフォリオの約半分を占めていますが、それ以外の国にも分散投資を行っています。

本日のチェックポイントです。新興国といえば高いボラティリティとなりがちです。その高いリスクをどのようにコントロールしているのか、高いリターンを実現するために何をしているか、下落への耐久度はどうかを確認します。

簡易パフォーマンスです。トータルリターンでは、同カテゴリーと比較して全期間でプラスとなっています。リターンがしっかり出ていることが確認できました。リスクは各期間でマイナスと、同カテゴリーよりもリスクが低くなっています。リスクをコントロールしながらリターンも得ていることがわかります。

投資戦略

投資戦略は非常にシンプルです。新興国への投資において配当を重視しています。配当を継続的に出せる企業は、安定的に利益を出す必要があります。リスクが高い新興国の中でもしっかりと利益を出している企業に投資しているため、マーケットが崩れた際にも耐久性があります。

また、特定の銘柄や国、通貨に集中しないように、70カ国6000銘柄と対象を幅広く取り、その中から絞り込んでいます。流動性を重視し、配当利回り分析、ファンダメンタルズ分析を行い、割高なものを避けつつESGも考慮しながら、50~250銘柄に銘柄数を絞り込みます。

マーケットが強いときには銘柄数を絞り、マーケットが崩れそうなときには銘柄数を増やして分散を利かせていることがわかりました。

銘柄戦略

国別内訳は中国、韓国、台湾の順に多く、この3ヶ国が半分以上を占めています。国ごとの分散も利いており、ブラジル、サウジアラビアなど20ヶ国以上に分散投資を行っています。かなり細かく分散されている印象です。

業種別では、銀行が20%と最も多くなっています。

現在の組み入れ銘柄数は87ですから、約90銘柄程度となっています。国別には20ヶ国以上と分散がかなり意識されていますが、90という銘柄数を考えると、個別銘柄ではそこまで分散していない印象です。国の分散は行っているものの、銘柄はある程度集中している状況です。

組み入れ上位銘柄としては、韓国のサムスン電子、インドのインフォシスなど、よく知られた企業が含まれています。

ポートフォリオの平均利回りは5.4%で、5%を超えています。投資方針通りに高配当株を中心にポートフォリオが組まれています。これだけの配当は、利益が上がらなければ出せません。それだけの企業がポートフォリオに組み入れられていることがわかりました。

ファンドポートフォリオ

パフォーマンス

短期のパフォーマンスはあまり芳しくありません。ファンドのパフォーマンスを見ると、過去5年間で世界株平均を40%以上、過去3年間で20%程度アンダーパフォームしています。

リスクは5年平均で18%程度とやや高めですが、新興国市場の平均とほぼ同水準で、そこまで高くはありません。

リターンは少し低いため、シャープレシオは0.8とあまり効率的とは言えません。

これは、新興国市場全般がここ数年弱いことが影響していますが、ファンドの運用が必ずしも悪いとは言えません。数字だけで判断するのは誤りであり、もう少し深く分析する必要があります。

新興国の株式指数であるMSCIエマージング指数の円ベースと比較した場合、過去5年間で40%、過去3年間で20%以上オーバーパフォームしていることがわかりました。

世界株平均に比べると新興国市場が弱かったため、大きく遅れていたわけですが、新興国の平均と比べるとファンドのパフォーマンスはかなり高いです。新興国市場、特に中国、アジアの市場が強くなる展開では、パフォーマンスも今後十分にプラスが狙えそうです。

ただし、新興国株特有のボラティリティの高さには注意が必要です。アジア株の組み入れ比率が高く、特に中国株が最も多いように、地域にやや偏りがあるため、そのリスクにも注意が必要です。

また新興国市場の特性として、リスクが高くなる傾向があります。世界的に相場が下落する局面、政治的不安定な状況となれば、ファンドの値動きもさらに大きくなると考えられます。その点については理解しておく必要があります。

新興国市場の成長を享受できる点で、投資を検討する価値は十分にあります。保有する際には、先進国の株と組み合わせるなど、逆相関のものと組み合わせるなどで新興国独特のリスクを分散する工夫が重要です。そのようなリスクがあると注意しながらの投資が必要なことに注意が必要です。

資金流出入

最近は流入が少し増えているものの、そこまで大きく増加しているわけではありません。

評価

評価は4です。新興国の高い成長のメリットを享受できる国、銘柄にアロケーションしていることが特徴です。パフォーマンスだけを見ると、世界株に対してはアンダーパフォームしていますが、MSCIエマージングは上回っています。今後、新興国の成長が加速すれば、プラスアルファが十分に狙えます。

安定したリターンの源泉は、高配当であること、国を大きく分けていること、そして、一部銘柄に集中投資を行っているなどの銘柄選定能力にあります。そのためファンドの運用能力は十分にあると感じました。

本日は、新興国の高配当株式に投資するファンドを分析しました。世界株に比べると、ここ最近はアジア・新興国の株式が苦戦していますが、今後の世界経済拡大には絶対に必要な地域です。新興国の成長を享受しつつリスクを排除する方法として、高配当、分散、一部集中を行っていますので、他のファンドと比較検討していただければと思います。

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