本日は、ニッセイアメリカ高配当株(愛称:USドリーム)を取り上げました。アメリカの高配当株に投資を行うファンドです。
高配当の普通株だけでなく、アメリカのREIT、エネルギー関連のMLPを上手く組み合わせ、安定した好リターンを実現しているファンドです。リターンの良さでも最近よく聞かれるようになったファンドが、どのような運用をしているのか、どのような戦略なのかを分析していきます。ぜひ最後までご覧ください。
お願い
最初にお願いです。この記事はあくまでも情報提供を目的として作成されたもので、投資の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。また、投資信託の選定はランダムに行っています。運用会社や販売会社、当社との業務提携は一切ございません。あくまで中立の立場で分析を行います。
投資信託概要
概要
ニッセイアメリカ高配当株(愛称:USドリーム)は、ニッセイ・アセットマネジメントが運用する米国株ファンドです。NISA成長投資枠での投資が可能で、信託報酬は1.91%、純資産総額は136億円です。
特徴です。米国の高配当株に主に投資を行うアクティブファンドで、株式だけでなくREIT、MLPにも投資を行います。アメリカの不動産のREIT、エネルギー関連のMLP、株式を組み合わせた、バランスの取れたファンドです。
ただし、ポートフォリオの割合は株式が約8割、残りがREITとMLPとなり、通株の比率が高めとなっています。
バランスシートが健全であること、潤沢なキャッシュフローを生み出していること、配当利回りの水準が高いこと、長期にわたって増配が期待できる業績が良いことを基準に、優良銘柄に投資しています。
チェックポイントです。高配当株のファンドは非常に多くありますが、そこにREITやMLPを加えると、どのようなパフォーマンスが得られるのでしょうか。
投資戦略
株式では、バランスシートが健全で、潤沢なキャッシュフローを生み出し、配当利回りの水準が高く、長期間にわたり増配が期待できる銘柄に投資をしています。
REITでは長期的な本質的価値(NAV)と比較して魅力的な銘柄を選定しています。REITは純資産に対する株価があります。本来の不動産から借入を差し引いたものが純資産です。そのため、株価が割安なものを買っているのです。
MLPはエネルギーに関する事業です。しっかりとしたバランスシートがなければボラティリティは高くなりがちです。そのため、バランスシートが強く、資産構成の質を重視してディフェンシブなMLPを選定しています。
フランクリン・テンプルトンの関連企業が選定をしており、銘柄選定も上手いのではと期待が持てます。
銘柄戦略
組み入れ銘柄は60銘柄と分散をかけています。これによってリスクを抑えているのでしょう。
株式ではアップルやマイクロソフトなどの主要銘柄を組み入れつつ、金融やエネルギー、公益関連銘柄も多く組み入れられています。
近年の金利上昇の影響で軟調なパフォーマンスとなっているREITとMLPは、金利動向に注意しつつ、耐えうる銘柄を選定しています。
ポートフォリオの平均利回りは約3.6%です。これは株式の平均利回り1.4%に対して、7%のMLP、3.9%のREITが加わっているためです。
全体的には配当収入を意識しつつ、長期的な利益の積み上げが期待できるポートフォリオを組んでいます。一番上にMLPが入っていますが、その後はブラックストーン、アップル、マイクロソフトなど大手企業を中心にしっかりした銘柄が入っています。
売買はそこまで行われておらず、年間の売買回転率は0.6程度です。あくまでもリバランスによる売買が主流となっています。
株式は75%~80%、10%ずつREITとMLPに配分されています。配当が高いからといっても、その割合をあまり増やさない点に、投資の上手さが見えます。
ファンド・パフォーマンス
パフォーマンス
パフォーマンスにはややバラつきがあるものの、高配当株式としては優秀です。
例えばリターンで見ると、過去5年間ではS&P 500に20%劣っていますが、世界株平均と同程度、過去3年ではS&P 500を10%近く上回るリターンを上げています。
株式、REIT、MLPといった値動きの異なる資産を組み合わせることで、ファンド全体のリスクは低く抑えられています。ファンド内でも十分に分散が利いており、アセット内でもMLP、REITなどに分散しています。
ただ、これもバラつきがあり、過去5年間では17%とやや高いものの、過去3年間では14%と低くなっています。
シャープレシオは過去3年間で1.5ととても高く、効率的な運用だとわかりました。株式の銘柄選定が安定性と収益性を意識して行っていることに加え、市場全体が軟調なREITやMLPにおいてもしっかりと財務状態を確認して選定しています。結果として全体のパフォーマンスが良くなっていることがわかりました。
なかでもMLPは景気、金利だけでなく、エネルギー価格の影響を大きく受けます。MLPはボラティリティが高くなりがちですが、このファンドは中流MLP、つまりエネルギーの貯蔵や輸送事業に特化しています。そこまでのリスクをとらないMLPを主としていることがファンドの特徴です。
そのような市場環境に応じた個別銘柄の選定し、全体として高配当の恩恵を受けやすいポートフォリオを構築しています。MLPに投資していますが、中流のものを購入しています。REITも割安な銘柄を選ぶことで、高配当の恩恵を確保しながらボラティリティを抑えたファンドです。
アメリカの金利が9月に下がるだろうとの期待感もあり、今後は金利の低下局面に向かう可能性があります。このような局面ではMLPやREITが恩恵を受けやすくなるため、ファンドがより安定する可能性があると、マクロ面からも見えてきました。
資金流出入
最近は流出が増えています。
評価
評価は4です。業績の良い銘柄に加え、REIT、MLPを約20%近く組み入れています。このことでファンドが安定していることが、今回のパフォーマンスから確認できました。
REIT、MLPは、配当が高い分だけ株価が動きやすいですが、その点にも十分に気を配ることができています。今後も安定したパフォーマンスが期待できると考え、評価は4としました。
アメリカの高配当ファンドは多くの種類がありますが、それらと比較しても非常に面白いファンドですから、他のファンドとの比較をしていただければと思います。