本日は、世界中小型株ファンドシャイニング・フューチャーという、世界の中小型株に投資するファンドを取り上げました。
将来有望な企業を選別して投資を行うことを謳うこのファンドは、新興国の中小国株に投資しているにもかかわらず、低リスクを実現しています。長期投資に向いているファンドという評価を受けていますので、その点を中心に分析します。ぜひ最後までご覧ください。
お願い
最初にお願いです。この記事はあくまでも情報提供を目的として作成されており、投資の勧誘や売買の推奨を目的としたものではございません。また、取り上げている投資信託はランダムに抽出しています。運用会社や販売会社と当社の間に業務提携は一切ございません。あくまでも中立な立場で分析しています。
投資信託概要
概要
世界中小型株ファンドシャイニング・フューチャーは、アセットマネジメントOneが運用しています。世界株ファンドで、信託報酬は1.61%、純資産総額は109億円です。
特徴です。新興国を含めた世界の中小型株に投資するアクティブファンドです。ポートフォリオの構成を見ると、米国や日本をはじめとした先進国株が約60%、インドや韓国などの新興国の株が約40%を占めています。
ポートフォリオの構築にあたっては、小型株の中でも株価の変動が小さい銘柄の中から、割安で成長性の高い銘柄を中心に投資魅力度の高い銘柄を選定しています。
市場環境です。世界的には今後、日本を除いて利下げが進む可能性が高まっています。金利が低くなれば、中小型株ファンドにも注目が集まると考えられますので、投資環境としては良いと言えるでしょう。
チェックポイントです。世界の中小型株に投資していますが、そのポテンシャルはどうなのでしょうか。また、新興国の中小型株に投資するファンドが長期で安定したパフォーマンスを実現できるかを確認します。
投資戦略
ポートフォリオ構築にあたっては、株価の変動が小さい銘柄の中から徹底した財務分析を行うことで、割安で成長性の高い銘柄を見極めています。リスクと変動率をしっかりと考慮し、リターンの向上を目指しているのが特徴です。
MSCIワールドインデックスの中から、先進国で5,300銘柄、新興国では2,500銘柄の中小型株の中から絞り込みを行います。
絞り込む際には、従来の投資方法に加え、株価の変動が小さな銘柄を選びます。そこに財務分析を加え、業績に比べて割安、かつボラティリティの低い銘柄を選定しています。
選定された銘柄は、最終的に決定権を持つ者に渡されます。先進国と新興国のカントリーアロケーションを決定する際にも経済状況を見極め、新興国、先進国のいずれが優位かを加味した上で配分を決めています。
ボトムアップとトップダウンの両方の観点でグローバルマーケットを見て判断し、運用リターンを高めています。
銘柄戦略
業種別には、情報技術、金融、コミュニケーションの順に多く、成長性を加味したオーソドックスな配分となっています。
組入銘柄は200以上とかなりの分散が利いています。これはリスクの高い新興国や中小型株に投資しているため、分散を意識した結果です。
投資方針としては、ファンダメンタルズ分析の結果に基づき、収益性、割安性を重視しています。ボラティリティが低い背景には、割安なこと、収益性が向上していることがあると言えるでしょう。分散を利かせ、ボラティリティを低くしようとする動きから徹底して値動きを抑えようとしています。
売買回転数は4.8倍とかなり高くなっています。銘柄の多いポートフォリオでありながらも、個別銘柄の入れ替えがしっかりと行われており、常にポートフォリオ内の銘柄が分析されています。
直近では、先進国よりも新興国の組み入れを厚くするなど、状況に応じた判断を行っています。長期的に新興国、先進国の両方の成長を享受できる運用体系だと言えるでしょう。
ファンド・パフォーマンス
パフォーマンス
世界平均にやや劣っています。世界株の円建て平均と比べると、少し下回った状態で推移しています。過去5年間で20%、過去3年間では数%下回っていました。
ただし、このファンドの強みは低リスクなことにあります。リスクの値は過去3年間で年率14%と、世界株平均よりも若干低い程度です。ただ、新興国を含む中小型株の値動きと比較すると、リスクは格段に抑えられています。
パフォーマンスはやや世界株に劣っていますが、運用の効率性を示す指標であるシャープレシオは1.1と高くなっています。リターンだけを見れば平均よりも低いですが、値動きの効率性を考えれば、しっかりと運用しているアクティブファンドだと言えます。
新興国と先進国の両方を組み入れているにもかかわらず、200銘柄に分散し、ボラティリティを重視しているため、今後もリスクは低く抑えられるでしょう。そのため、シャープレシオも比較的高く推移するファンドだと言えそうです。
中小型株に特化する中で、国や地域だけでなく業種もまんべんなく分散して組み入れています。分散によるリスクコントロールを行いつつ、経済成長の恩恵をどのような状況でも受けたいとの意図が垣間見えます。
今後、世界株が大きく下落する局面、中小型株が弱含みとなる場面では、当然ながら影響を受けることがあるでしょう。それでもポートフォリオでリスクを分散しつつ、世界的な成長の恩恵を享受できるアクティブファンドと言えます。
ただ、このように分散を利かせたファンドは、一部の国だけが上昇する、例えばアメリカだけが大きく上昇し、世界株全体で上昇が見られない場合にはパフォーマンスがやや物足りない場面も出てきがちです。
新興国が軒並み弱含む相場環境、中小型株が大型株に対して劣るケースでは、パフォーマンスが見劣りすることもあるでしょう。ただ、そのような極端なケースは歴史的に見ても長続きすることはありません。
セクターローテーション、アセットアロケーション、カントリーアロケーションは繰り返されますから、世界の中小型株に分散投資をしているこのファンドは、十分に分析の価値があると思われます。
資金流出入
資金は流出が続いています。
評価
評価は4です。一般の投資家がなかなかアクセスできない世界の中小型株に対して、しっかりと分析を行っていることに高いメリットを感じます。また、新興国までリーチしていること、リスクを抑えていることから、アクティブファンドとしての価値があります。
先進国、ハイテク株が上昇するとアンダーパフォームする局面もあるかと思いますが、分散を利かせることで成長機会がまんべんなく得られるはずです。長期投資を検討する方にとっては比較の価値があるファンドだと感じました。そのため、評価は星4つとさせていただきました。