本日は、ニッセイ世界リートオープンという、世界のリートに投資するファンドを分析します。
24年9月にFOMCが開催され、FRBは0.5%の利下げを決定しました。最近は、ECBも利下げを行っており、世界的に金利が低下する流れ続いています。その結果、その恩恵を最も受けると言われるリートに注目する方も多いと思います。今回は世界的な金利低下の中で恩恵を受けるREITファンドがどのようなパフォーマンスなのかを分析します。ぜひ最後までご覧ください。
お願い
最初にお願いです。この記事はあくまでも情報提供を目的として作成されており、投資の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。また、取り上げる投資信託はランダムに抽出しています。運用会社、販売会社と当社の間に業務提携等は一切ございません。あくまでも中立の立場で分析をお伝えします。
投資信託概要
概要
ニッセイ世界リートオープンは、日生アセットマネジメントが運用する国際リートです。NISA成長枠での投資が可能で、信託報酬は1.65%、純資産総額は11億円となっています。
特徴です。日本を除く世界各国のリートに投資を行い、ポートフォリオの大半は米国リートで構成されています。他にはオーストラリア、イギリス、シンガポール、フランスが数%組み込まれていますが、中心は米国です。
割安なリートを発掘し、投資することに注力していることもポイントです。
現在の投資環境です。リートは資本集約的なビジネスですから、金利低下の恩恵を大きくなる傾向があります。金利が低下すると利払い負担が減少し、キャップレート(不動産評価額の上昇)の低下が見られます。
また債券の利回りと比較した場合、リートの配当利回りが相対的に高くなることで相対的な魅力が増し、資金の流入が期待できます。そのため注目のアセットクラスとなっています。
銘柄戦略
投資戦略としては、割安な世界のリートに投資するという方針で、それ以外の大きな戦略は特にありません。どのように銘柄を選んでいるか、また、カントリーアロケーションをどうしているかを見ればある程度、投資方針が見えるかと思いますので、確認してみましょう。
ポートフォリオ全体の配当利回りは4.9%と、世界のリート平均3.9%を大きく上回っています。業種別では小売が23%と最も多く、次いでヘルスケア、住宅用、産業用が続いています。他のファンドと比べて比率が異なっており、ここら辺にこだわりが見られます。
組み入れ銘柄は120程度と、銘柄分散をかなり意識しています。銘柄分散を意識し、割安かつ4.9%と高配当の銘柄を幅広く保有していることが特徴です。
アメリカが80%を占めているため、国別の集中度が高いという懸念があります。しかし、アメリカのリートが非常に大きいことを考慮すれば、割合に応じたものだと言えるでしょう。
高水準の利回りが期待できるファンドであり、割安な銘柄を選んで投資しているため、長期的には高い収益が見込めます。ファンダメンタルズから見ても、物件自体が堅調なものに幅広く分散していますから、リスクはある程度コントロールできている印象です。
ファンドパフォーマンス
パフォーマンス
比較的安定したパフォーマンスです。普段はS&P500と比較しますが、今回はリートですからFTSEのNareitと比較します。5年間ではやや上回り、3年間では同程度となっています。
近年のリート市場は世界的に金利高が続いていたこともあり、低迷が続いていました。当ファンドも例外ではなく、世界株と比べると圧倒的にパフォーマンスは落ちています。
本当に投資の意味があるかと考える方もいることでしょう。ただ、このファンドはリート指数と比較すると、しっかりとした推移となっています。過去3年間ではリートインデックスと同じ、5年では10%を上回るパフォーマンスです。リートの中でも割安で、かつ高配当な銘柄に分散を利かせていることで、インカム収入を継続的に得られていることが理由です。
市場平均よりもリターンが得られていますが、リスク値は平均よりもやや低く抑えられていますから、この時点では良いファンドだという印象です。
ただ、年間の値動きは大きくなっています。年率17~20%近いリスク値が続いていて、絶対値としてはリスクが低いファンドではありません。
シャープレシオは0.5前後ですが、リートは0.3が平均ですから比較的効率が良くなっています。
近年好調なデータセンター、産業用リートの比重は低くしています。そこが今後も伸びるようであれば、リートインデックスをアンダーパフォームする局面が出てくる可能性もあります。ファンドのレポートを見ると、小売がまだまだしっかりしているだろう、景況感も悪くないだろうと判断した動きを取っていますから、そこがどうなるかが1つ目のポイントです。
世界的な金利低下局面はREITには追い風になります。利払い負担の減少、キャップレートの低下(不動産評価額の上昇)、債券利回り低下による相対的なリートの魅力度上昇により、アメリカでは上昇を始めています。その意味では、今後注目を集める可能性が高いファンドと思います。
資金流出入
ここ最近金利が上がっていたことで、ここまでは資金流出が続いています。
評価
評価は3.5です。世界的な金利低下の恩恵を受ける状況で、業績回復が見込めます。世界のリートへの分散投資は個人ではなかなか難しいですが、割安かつ高配当の120近い銘柄への分散投資はアクティブファンドらしいと言えます。
世界株と比べると低いパフォーマンスではありますが、リートにおいては安定性があるため、3.5とさせていただきました。