本日は日本好配当株投資という、高配当の日本株に投資する投資信託を分析します。
長期で高いリターンを実現していることで知られ、非常に期待の高いファンドです。今回は最近5年間の最大下落率を分析しましたので、その結果をお伝えします。ぜひ最後までご覧ください。
お願い
最初にお願いです。この記事はあくまでも情報提供を目的として作成しています。投資の勧誘、売買の推奨を目的としたものではございません。また投資信託につきましてはランダムに抽出を行っています。運用会社、販売会社と当社の間における業務提携は一切なく、中立の立場でお伝えしています。
投資信託概要
概要
日本好配当株投信は、野村アセットマネジメントが運用する日本株ファンドです。NISA成長枠での投資が可能で、信託報酬は1.21%、純資産総額は1,998億円となっています。
特徴です。配当利回りの高い大型株に投資する日本株ファンドです。
銘柄選定の基準は、予想配当利回りが市場平均を上回っていることに加えて3つのポイントがあります。1つ目が配当の安定性と成長性があるか。2つ目は企業のファンダメンタルズがしっかりしているか。3つ目が株価の割安感があるかです。
これらを切り口に見直しと銘柄入れ替えを行うオーソドックスな運用スタイルですから、銘柄選定能力、売買戦略が大きく影響します。
投資戦略
株式の投資を行う際には配当利回りに着目し、高水準のインカムゲインと中長期的な値上がり獲得を狙うトータルリターンでの運用を目指しています。予想配当利回りが市場平均を上回る銘柄を中心に投資するわけですが、投資銘柄においては業種分散など一定の配慮を行うことでリスクをコントロールしています。
プロセスとしては、まず定量評価を行い、流動性、予想配当利回りが高いものも選びます。次に定性評価として配当が安定的に成長しているか、企業業績がいいか、バリエーション的にも良いかで絞り込み、業種の偏りがないポートフォリオを組んでいます。
銘柄戦略
銘柄は120程度と非常に分散しています。ポートフォリオの平均利回りは3.3%と、k市場平均を上回っています。目論見通り分散しながら、市場平均を上回る予想配当が得られるポートフォリオです。
業種別では輸送用機器が最も多く、次に電気、卸売、銀行業が続いています。市場平均と比べた比率では、予想配当利回りが市場平均を上回る建設、輸送用機器、ガラスをオーバーウェイトする一方で、予想配当利回りが市場平均を下回る電気、小売や、中長期的に配当成長が鈍化することが懸念される情報通信などはアンダーウェイトしています。
銘柄入れ替えは適宜行っていますが、銘柄分散が図られていることもあり、売買比率比率は1倍程度とそこまで高くはありません。基本的には銘柄分散でリスクをコントロールし、中長期での成長をトータルリターンで目指すファンドです。
ファンド・パフォーマンス
パフォーマンス
一言で言えば堅実なパフォーマンスです。長期的なパフォーマンスはTOPIXと比べてやや高く、過去5年間でTOPIXの10%程度、過去3年間でも10%以上上回るリターンです。
ただ、組み入れ銘柄は120銘柄程度とかなり分散されているため、短期の動きとしてはTOPIXとあまり変わりません。一方、高配当銘柄を中心に投資を行っていることもあり、リスクは市場平均よりも低くなる傾向があります。
リターンが特に好調な過去3年間では、リスク11%程度と非常に低く抑えられており、シャープレシオは過去3年間で1.4と非常に高い数字となっています。資金効率が非常に高く、長期的な伸びが期待できますから、そこは非常に評価できるのではないでしょうか。
リターンだけを見れば、他のファンド、市場平均とそこまで大きな差はありません。ただ、リスクを抑えたことで長期であればあるほど伸びる運用となっています。
高配当銘柄の組み合わせのため、インカム収入が長期的に積み上がります。また組み入れ銘柄に大型株が多いため、指数を大きく下回る動きはなかなか出てきません。そのため、今後もある程度良いパフォーマンスが期待できるファンドだと言えます。
ただ、かなり分散していること、機動的な入れ替えをあまり行っていないことから、指数を大きく上回ることは難しいファンドです。
今後のファンドの運営方針を見ると、非常にコンサバティブです。個別銘柄への選別投資を進めた結果、配当利回りが高い銘柄が多い業種への投資比率は高くなりますが、特定業種に過度に集中しないよう業種分散にも留意して運用を進めています。あくまでリスクをコントロールしながら、リターンの積み上げを狙う堅実なファンドとの印象です。
2006年以降のパフォーマンス
次に2006年設定来のパフォーマンスを確認してみましょう。以前ご紹介して、非常に良いパフォーマンスを残していることがわかった日本好配当オープンと比べても25%上回るなど、長期的には良いパフォーマンスを残せるファンドです。
5年パフォーマンス
ただ、1つ気にポイントがあります。過去5年間で比べると、日本好配当オープンが10%以上上回っています。長期では日本好配当株投信がオーバーパフォームしていましたが、短期ではアンダーパフォームしています。
理由は、2000年以降四半期の最大騰落率にあります。日本好配当株投信は-20.8%、日本好配当オープンは-18.76%と、リスクが大きくなる瞬間があったのです。リスクコントロールを狙ってはいるものの、今後もマーケットがぐらつけば同様の下落が起こる可能性があります。そのため過去のパフォーマンス、最近のパフォーマンスを見て判断する必要があるでしょう。
資金流出入
非常に流入が多くなっています。
評価
評価は3.5です。長期パフォーマンスだけを見ると星4つは確実に超えてるファンドです。ただ、最大騰落率を見ると大きく下落する局面が何度かあり、ここ5年間で同カテゴリーを下回るパフォーマンスとなっていました。
大型株をメインとし、分散を利かせてはいるものの、選定された高配当銘柄によりボラティリティが高くなっているのでしょう。そのため、評価を0.5引き下げています。
日本株の高配当ファンドは多くあります。長期的に良いパフォーマンスのファンドもありますから、長期のパフォーマンスに加え、最近のパフォーマンス、例えばコロナショック時の下落率などを比較していただければ、よりご自身に合ったファンドが見つかることでしょう。ぜひ本日の記事を参考に、分析を進めていただければと思います。