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イスラエル・イラン情勢緊迫化で投資家心理が急速に悪化
6月13日の東京株式市場は、地政学的リスクの高まりを受けて大幅な下落となりました。日経平均株価は前日比338円安の3万7834円で取引を終了し、2日連続の続落を記録。市場を動揺させた最大の要因は、イスラエルによるイランの核関連施設への先制攻撃という衝撃的な報道でした。
この報道を受けて中東情勢の緊迫化が一気に加速し、投資家のリスク回避姿勢が鮮明に表れる展開となりました。取引開始直後から売り注文が殺到し、日経平均は一時600円を超える下げ幅を記録。構成銘柄の実に8割以上が値下がりとなり、市場全体が地政学的リスクに対して過敏に反応する状況が続きました。
主力株の急落が市場全体を押し下げ
下落を主導したのは日本を代表する企業群でした。特にトヨタ自動車は一時3%を超える大幅下落となり、4月下旬以来の安値水準まで売り込まれました。自動車業界への影響は深刻で、背景にはトランプ米大統領による「輸入自動車への追加関税を遠くない将来に引き上げる可能性がある」との発言も重なりました。
また、半導体関連の主力株にも売り圧力が波及しました。東京エレクトロンやSCREENホールディングスなど、日本の半導体産業を支える企業群が軒並み下落。これらの銘柄は国際情勢の不安定化に敏感に反応する傾向があり、今回の地政学リスクの高まりが直接的な打撃となりました。
原油価格急騰が企業収益を圧迫
中東情勢の緊迫化は、エネルギー市場にも大きな影響を与えました。WTI原油先物価格は一時14%高の77ドル台後半まで急騰し、市場に供給不安が広がりました。特に、イランが実効支配するホルムズ海峡を巡る懸念が強まったことで、世界的なエネルギー供給網への不安が高まっています。
この原油価格の急騰は、製造業や運輸業を中心とした日本企業にとって大きなコスト増要因となりました。原材料費や物流コストの上昇が企業収益を圧迫するとの見方が広がり、関連銘柄の売り材料として作用しました。エネルギー価格の上昇基調は今後も続く可能性があり、企業業績への中長期的な影響も懸念されています。
円高進行が輸出企業の重荷に
為替市場でも、リスク回避の動きが鮮明になりました。投資家が安全資産とされる円を買い進めた結果、ドル円相場は1ドル=142円台後半まで円高が進行。この円高は、海外売上比率の高い日本の輸出企業にとって業績悪化要因となり、株価下落に追い打ちをかける形となりました。
特に自動車や電機など、主要な輸出産業への影響は深刻で、円高による競争力低下への懸念が投資家心理をさらに悪化させました。
市場の不安心理が数値に表れる
投資家の不安心理の高まりは、各種指標にも明確に表れました。市場の恐怖指数とも呼ばれる日経平均ボラティリティー・インデックス(日経VI)は、一時30台へと急騰。これは投資家のリスク回避姿勢が急速に強まったことを如実に示しており、地政学リスクが株式市場の変動率を大幅に押し上げた格好です。

出典:日経平均プロフィル
一方、安全資産への逃避需要も顕著でした。国内債券市場では、新発10年物国債の利回りが前日比0.060%低下して1.385%となり、約1カ月ぶりの低水準を記録。投資家が株式からより安全とされる債券へと資金をシフトさせる動きが加速しました。
今後の展望と市場への影響
同日算出された6月限の日経平均先物とオプションの特別清算指数(SQ)は3万8172円67銭と、前日終値とほぼ同水準で着地しました。しかし、市場全体の不安定な状況は継続しており、週末にかけて中東での軍事行動がさらに拡大するリスクも市場参加者の間で警戒されています。
今回の下落は、日本株市場が国際情勢の変化に対していかに敏感に反応するかを改めて示しました。地政学リスクの動向次来週以降の市場展開を左右する重要な要素として、投資家の注目が集まっています。
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