今週は日米の金融政策決定会合が相次いで開催され、両中央銀行ともに慎重な姿勢を鮮明にしました。日銀は国債買い入れ減額ペースを緩和し、FRBは4会合連続で利下げを見送りました。こうした政策の不透明感に中東情勢の緊迫化も加わり、株式市場では調整圧力が強まっています。日経平均は前日比396円安と反落し、例年期待されるサマーラリーへの期待も後退しています。
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日銀が国債買い入れ減額を緩和、量的引き締めは継続
日本銀行は6月17日の金融政策決定会合で、2026年4月以降の国債買い入れ減額ペースを従来の半分に鈍化させる方針を決定しました。これまでの四半期ごと4000億円減額から2000億円ペースに縮小し、政策金利は0.5%で据え置きとなりました。
植田総裁は会見で「市場の混乱を避けるため慎重に進める」と述べ、金利変動が企業・家計に与える影響に配慮する姿勢を鮮明にしました。日銀は2027年1-3月期の国債買い入れを月2.1兆円と見込み、2027年3月末の国債保有残高は2024年6月比で16-17%減少する見通しです。
FOMC、4会合連続で金利据え置き 物価懸念が利下げ阻む
米連邦公開市場委員会(FOMC)は6月18日、政策金利を4.25-4.50%に据え置きました。4会合連続の利下げ見送りとなり、パウエル議長はトランプ大統領の関税政策による今夏のインフレ圧力強化への懸念を示しました。
FOMCメンバー間では年内利下げ見通しが「ゼロ回」と「2回」で拮抗し、2025年10-12月期の実質GDP成長率予測は1.4%、失業率は4.5%に下方修正されました。一方、PCE物価指数は3.0%に上方修正され、物価の粘着性が浮き彫りになっています。
18日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が続落し、前日比44ドル(0.1%)安で終えました。金融政策の不透明感が米国株にも重くのしかかっています。
日経平均396円安、中東リスクとハイテク株調整が重なる
こうした金融政策の不透明感に地政学リスクが加わり、6月19日の日経平均株価は前日比396円安の3万8488円と反落しました。前日に4カ月ぶり高値をつけた反動もあり、半導体関連株を中心に利益確定売りが拡大しました。
米エヌビディア株上昇の一巡で国内ハイテク株にも一服感が漂う中、イランへの軍事対応検討報道が投資家心理を冷やしました。一方、日本製鉄は米USスチール買収完了を材料に大幅高となり、個別株物色は一部で継続しています。
サマーラリー期待後退、選別色強まる市場環境
例年この時期に期待される「サマーラリー」ですが、物価・金利の不透明感と地政学リスクが重なり、市場参加者の慎重姿勢が強まっています。グロース・スタンダード市場では選別物色が続くものの、日経平均は3万9000円台を前に上値の重い展開が予想されます。
日米両中銀の慎重な政策運営が続く中、当面は企業業績と個別材料に注目した銘柄選別の相場が続きそうです。
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