富裕層のための資産管理サービスとして、プライベートバンクは広く知られています。しかし、その華やかなイメージの裏側には、利用者が見過ごしがちな「見えない落とし穴」が潜んでいることも事実です。
本記事では、プライベートバンカーとしての経験を持つ専門家の視点から、プライベートバンクを利用する真のメリットと、賢明な資産家が知っておくべきデメリット、そしてその「落とし穴」を回避するためのポイントを解説します。
[ 目次 ]
1. プライベートバンクが持つ3つの大きなメリット
プライベートバンクは、特定の金融機関が提供するウェルスマネジメントサービスであり、金融資産の運用に特化しています。その最大の魅力は、以下の3つのメリットに集約されます。
1-1. 専門性の高い「金融サービス」と知見
プライベートバンクは、資産運用に特化した専門家チームを擁しており、高度な金融サービスや情報を提供します。個人ではアクセスが難しいプライベートエクイティやヘッジファンドなど、多様な金融商品への投資機会を得られることは、大きなメリットです。
1-2. 世界的なネットワークと信頼性
グローバルな金融機関が提供するプライベートバンクは、世界中に広がるネットワークを持っています。海外の口座開設や国際的な投資案件へのアクセスもスムーズに行え、海外でのビジネスや移住を検討している方にとっては、強力なパートナーとなり得ます。
【関連記事:【2025年最新版】富裕層向けプライベートバンクの海外口座事情はなぜ変わったのか?】
1-3. 担当者による一元的なサービス
プライベートバンクは、顧客一人ひとりに専任の担当者(プライベートバンカー)をつけ、資産管理や運用に関する窓口を一本化します。これにより、お客様は複数の専門家と個別にやり取りする手間が省け、煩雑な手続きを効率化することができます。
2. 元バンカーが明かす、プライベートバンクの『見えない落とし穴』
プライベートバンクには多くのメリットがありますが、その性質上、利用者にとってはデメリットや潜在的なリスクも存在します。
2-1. 「自社商品の押し売り」による利益相反のリスク
プライベートバンクは、自社の商品やサービスを販売することで収益を上げています。そのため、担当者は顧客の真のニーズよりも、自社の利益を優先した提案を行う可能性があります。これは、顧客の資産を長期的に守るという目的と、銀行の利益を追求するという目的が相反する、「利益相反(コンフリクト・オブ・インタレスト)」という見過ごされがちなリスクです。
2-2. サービス範囲の限定性
プライベートバンクは、あくまで金融機関であり、そのサービス範囲は金融資産の運用が中心になりがちです。もし、お客様が不動産、相続、事業承継、あるいは家族の教育といった多岐にわたる課題を抱えている場合、一部のプライベートバンクでは、サービスが不十分になるケースがあります。そのため、複数の専門家を個別に探す手間や、それぞれの意見を統合する手間が発生します。
2-3. 手数料の透明性
プライベートバンクの手数料は、運用資産残高に応じたAUMフィーが中心ですが、それ以外にも、取引手数料やファンドの手数料など、様々な「隠れたコスト」が存在する場合があります。手数料体系が複雑であるため、利用者が総コストを正確に把握するのが難しいことも、デメリットの一つです。

3. まとめ:最適な選択は「目的」から始まる
プライベートバンクは、金融資産の運用に特化した強力なツールであり、その専門性とネットワークは大きなメリットとなります。しかし、その一方で、「利益相反」や「サービス範囲の限定性」といった潜在的なリスクを理解しておくことが不可欠です。
真に最適な選択をするためには、「ご自身の資産管理の目的は何か?」という問いに向き合うことが重要です。金融資産の運用を第一に考えるのであればプライベートバンクが有力な選択肢となりますが、もし、資産運用だけでなく、相続や事業承継、家族のライフプランまでを包括的に考えたいのであれば、中立的な立場から全体を統括するファミリーオフィスが、より適しているかもしれません。
【関連記事:ファミリーオフィスとプライベートバンクの徹底比較ガイド|富裕層のための最適な選択肢とは?】
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