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【専門家解説】家族信託が将来の「争族」リスクになる理由と回避策

カテゴリ: ファミリーオフィス型相続対策 > 遺言・信託活用
【専門家解説】家族信託が将来の「争族」リスクになる理由と回避策

近年、「家族信託は家族内だけで手軽にできる認知症対策」として注目を集めています。しかし、専門的な視点から見ると、家族信託は、事前の説明と合意形成を怠ると、将来的に家族間の深刻な「争族」の火種になるという重大なリスクを内包しています。

本記事では、家族信託の専門的な仕組みを紐解きながら、なぜ認知症対策として導入した信託が相続時に不信感を招くのか、その3つの根本原因と、他の相続人から理解を得て、円滑な資産承継を実現するための回避策について解説します。

1. 家族信託の基本的な仕組みと「争族」に繋がる3つの原因

家族信託は、財産の名義を所有者(母:委託者)から信頼できる家族(長男:受託者)に移転し、管理・運用を託す仕組みです。この「名義移転」という特殊な仕組みこそが、将来の不信感を生む根本原因となります。

1-1. 原因1:信託財産の「名義変更」による猜疑心

  • 仕組みの核心: 家族信託を実行すると、財産の名義自体が相続発生前から受託者(長男)に移転します。
  • リスク: 受託者以外の相続人(弟、妹など)が、この名義移転の事実を知った場合、「親の死ぬ前から兄貴は何をやっていたんだ?」という強い猜疑心を抱かせます。これは、他の相続人に信託に関する知識がないために起こる、最も一般的な不信感です。

1-2. 原因2:受託者の「主導権」による財産処分の独断

家族信託が認知症対策となるのは、受託者の判断で信託財産を売買できるからです。

  • リスク: 受託者(長男)以外の相続人からすると、「母の財産をなぜ兄貴だけの判断で処分したんだ?」という疑問が生じます。受託者が財産を処分した際の合理的判断使途の透明性が確保されていなければ、他の相続人の不信感を増幅させることになります。

1-3. 原因3:収益の「口座管理」による金銭の混同リスク

信託財産から発生した収益(賃料や配当など)は、信託財産の名義人である受託者の口座に振り込まれます。

  • リスク: 受託者の固有財産と信託財産から発生した収益との線引きが不透明であれば、「受託者(長男)が母の金銭を自分のために費消したのではないか」という不信感を招き、訴訟に発展する可能性が高まります。
信託財産の収益が受託者口座に振込まれることで生じる金銭混同リスク。

2. 失敗を避けるための「信頼」構築戦略(合意形成の鉄則)

家族信託を成功させるには、他の相続人の「知識のなさ」から生じる不信感を、「透明性」と「合意」によって事前に解消することが不可欠です。

2-1. 【鉄則】事前に「目的と概要」を共有する大切さ

相続後に初めて家族信託について知らされるのと、事前にその存在と目的を共有されているのとでは、他の相続人の不信度合いが大きく軽減されます。

  • 戦略的共有: 家族信託を組成する前に、長男が主導権を握る理由、信託の目的(認知症対策)、そして信託の概要について、弟や妹など他の相続人と必ず共有しておくことが得策です。これは、法的義務ではありませんが、家族の絆を守るための倫理的な義務と言えます。

2-2. 訴訟リスクを回避する「専門家による中立な調整」

相続後に信託の存在について訴訟にまで発展したケースは実際に発生しています。相続後に資産凍結のような状況になることを避けるためにも、家族信託を実行する前に、以下の点について中立的な専門家(税理士、弁護士)の助言を受けてください。

  1. ガバナンス設計: 受託者のみの判断ではなく、複数の家族が関与するモニタリング体制を信託契約に組み込む。
  2. 透明性の確保: 定期的な収益報告財産状況の開示義務を信託契約書に明確に規定する。

3. まとめ:認知症対策が「争族対策」とならないために

家族信託は、認知症による資産凍結を回避するという極めて有効な側面を持ちますが、同時に「将来の争族の火種」となる可能性を秘めています。

このリスクを回避する成功法則は、信託を組成する前に、すべての相続人に対して「透明性」と「目的」を共有し、事前の合意形成を行うことにあります。家族信託を決して手軽な手続きと捉えず、事前に相続人間で調整して進めることが、家族の未来を守るための賢明な選択です。

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