利下げ期待とドル安が金価格を押し上げ
金市場は現在、力強い上昇トレンドを描いています。金現物価格は今年これまでに59%上昇しており(11月27日時点)、年間では1979年以来の記録的な上昇率となる見通しです。史上最高値は10月20日に1オンス=4,381.21ドルを記録しました。

(2025年11月28日時点)
この急騰を支えているのは、米連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策の緩和観測です。米国の小売売上高の伸び悩みやコア生産者物価指数の予想以上の縮小といった弱い経済指標により、市場は12月のFRB会合での25ベーシスポイントの利下げ確率を80.7%と見込んでいます。低金利環境では、利回りのない金のような資産に恩恵がもたらされます。
また、金価格はドル安の恩恵も受けています。ドル指数が最近の高値から下落しており、ドル建てで価格設定される金は米国以外の買い手にとって相対的に安価になっています。さらに、地政学リスクや財政リスクも、安全資産としての金に対する強い需要を支援しています。
中央銀行の大量購入が構造的な需要を生み出す
主要金融機関が2026年も強気な見方を示す背景には、「無国籍通貨」として金を買う動きが途切れていないという認識があります。
最も重要な構造的要因は、世界中の中央銀行による金の大量購入です。ゴールドマン・サックスは、世界の中銀の月間購入量は来年にかけて合計80トンあまりになると予想しています。これは年間の採掘量全体の4分の1以上を占める計算です。ドル依存からの脱却を急ぐ新興国や、韓国のような中長期的な金の追加購入を検討する国も登場しており、中銀の買いは歴史的な高値圏にあっても加速しています。
さらに、金の位置づけが変化し、株高局面でも買われるようになり、機関投資家が「戦略的に資金を分配する資産」として認識するようになっています。現物の金を裏付けとする上場投資信託(ETF)への資金流入額は2025年7〜9月期に四半期として過去最高を記録しました。
2026年の価格予想は5,000ドル近辺に
こうした状況を踏まえ、主要金融機関は2026年の価格予想を大幅に引き上げています。
ドイツ銀行は2026年の金価格予想を1オンス=4,450ドルに上方修正しました。米JPモルガンや英HSBCは2026年に5,000ドル近辺に上昇すると予想しています。米ゴールドマン・サックスは26年末の目標価格を4,900ドルとしており、投資分散への関心が高まればさらに大幅な上振れ余地があるとみています。
これらの予想は、10月の史上最高値を1割超、現在の価格を2割超上回る水準です。ドイツ銀行はさらに、2027年の価格予想を5,150ドルで据え置いています。
一方で、金価格が一本調子で上昇し続けるとは限りません。利下げ打ち止めが意識される局面が訪れれば、金価格にとっては逆風となるでしょう。ETFなどを経由した資金流入の影響で、金価格の変動率は高まっており、2026年も価格が激しく振れる展開も念頭に置く必要があります。
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