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バフェット後のバークシャーは、明らかに違う銘柄を買い始めた
バークシャー・ハサウェイが公開した2026年Q1のForm 13Fは、単なる四半期ポートフォリオ開示ではなく、「バフェット後」の投資哲学の変化を示す重要な資料と見るべきです。
今回の最大のポイントは、Alphabetへの大幅な資金シフトです。バークシャーはAlphabet株を約1,780万株から約5,800万株へ増やし、ポジション規模を大きく拡大しました。一方で、Visa、Mastercard、Amazon、UnitedHealthなどを完全売却しています。
Form 13Fとは何か
Form 13Fとは、米国SECに提出される機関投資家の保有株式報告書です。
一定規模以上の機関投資家は、四半期末時点で保有している米国上場株式などを、四半期終了後45日以内に開示する必要があります。
ただし、13Fには重要な限界があります。
これは「今この瞬間のポートフォリオ」ではなく、四半期末時点の保有状況です。つまり、今回の開示は2026年3月末時点のスナップショットであり、その後に売買されている可能性があります。また、空売り、海外株、デリバティブの一部、現金ポジションなどは十分に見えません。
したがって13Fは、売買シグナルというより、大口投資家の中長期的な資本配分の方向性を読む資料です。
今回の最大の変化:Alphabetへの本格シフト
バークシャーはAlphabet Class AであるGOOGLを大幅に買い増し、さらにClass CであるGOOGも新規に取得しました。結果としてAlphabetは、バークシャーの主要保有銘柄の一角に浮上しています。
これは重要です。
バフェットは長年、テクノロジー企業への投資に慎重でした。Appleは例外的に「消費者ブランド」として理解された投資でしたが、Alphabetはより直接的にAI、検索、クラウド、広告、データインフラに関わる企業です。
つまり今回のAlphabet買い増しは、バークシャーが単なる“安定配当・消費ブランド・金融インフラ”から、AI時代の基幹プラットフォーム企業へ資本を振り向け始めたことを意味します。
GOOGとGOOGLの違い
Alphabetには主に3種類の株式があります。
GOOGLはClass A株です。
1株につき1議決権があります。
GOOGはClass C株です。
議決権はありません。
もう一つ、非上場のClass B株があり、これは創業者や内部関係者が保有する株式で、1株につき10議決権を持ちます。
経済的な利益、つまりAlphabetの業績成長へのエクスポージャーという意味では、GOOGとGOOGLはほぼ同じです。違いは主に議決権です。
今回バークシャーがGOOGLを大きく増やし、GOOGも取得したことは、議決権の有無よりも、Alphabet全体への経済的エクスポージャーを急速に高めたと見るべきです。
なぜ「バフェットの動きではない」と言われるのか
今回の13Fで注目すべきは、買った銘柄だけではありません。
むしろ、売った銘柄の方が象徴的です。
バークシャーはVisa、Mastercard、Amazon、UnitedHealth、Domino’s Pizzaなどを完全売却しました。
特にVisaとMastercardは、従来のバークシャー的な投資対象に非常に近い企業でした。
高い利益率、強力なネットワーク効果、資本効率の高さ、世界的な決済インフラ。これらはまさにバフェットが好む「長期で保有できる優良企業」の条件を満たしていました。
それを売却し、Alphabetを大幅に増やした。
この構図は、バフェット型の“完成された優良企業”から、アベル型の“次のインフラ企業”への移行と読むことができます。
グレッグ・アベル色が出始めたポートフォリオ
Reutersは、グレッグ・アベルがバークシャーの株式ポートフォリオの大部分を監督していると報じています。また、Todd Combsの退任後、投資判断の体制にも変化が出ている可能性があります。
今回の動きから見える方向性は明確です。
バークシャーは、成熟した決済・ヘルスケア・一部消費株を削り、Alphabet、Delta、Lennar、New York Timesなどへ資金を再配分しています。
これは「守りの複利」だけでなく、
AI、広告、クラウド、住宅サイクル、航空需要、メディア資産といったテーマを取り込みに行く動きです。
投資家への示唆
今回の13Fは、バークシャーがAlphabetを単なるテック株としてではなく、次世代のインフラ企業として評価し始めた可能性を示しています。
検索、YouTube、Android、Google Cloud、AIモデル、データセンター、広告ネットワーク。
Alphabetは、現代経済のデジタル基盤を広範囲に押さえています。
一方で、VisaやMastercardの完全売却は、決済ネットワークの質を否定したというより、相対的に見て、今後のリターン源泉が「決済」から「AI・データ・クラウド」へ移っているという判断かもしれません。
結論
今回のバークシャーの13Fで最も重要なのは、Alphabetを買ったことではありません。
VisaとMastercardを売り、Alphabetを中核級に引き上げたことです。
これは単なる銘柄入れ替えではなく、バークシャーの資本配分哲学が、バフェット時代の延長線上から少し外れ始めたことを示しています。
顧客向けには、今回の13Fをこう位置付けるべきです。
バークシャーは、バフェットの会社から、グレッグ・アベルの会社へ移行し始めた。
そしてその最初の大きなメッセージが、Alphabetへの大規模シフトだった。
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