本日のテーマは、「GOLD価格見通し市場は利上げを警戒 やはり金は下がるのか?」です。
6月16~17日にFOMCが開催されます。注目の理由は、ウォーシュ議長によって初めて開かれるFOMCということもありますし、ウォーシュ議長がタカ派だということもマーケットで意識されていため開催後の記者会見での発言が特に注目されています。
ここでもし、タカ派的なニュアンスが強く出てくるようであれば、年後半にFRBの利上げが確実視されます。そうなってきますと、自ずと市場金利が上昇することが想定されます。市場金利が上昇するということは、金の価格が下落するのではないかということが連想できるため、金に投資されている方々は、今回のFOMCの動向を非常に注目しています。
下のチャートをご覧ください。

金の価格を黄色、米10年実質金利を赤で表しています。金の価格と逆相関の関係にあるのが、アメリカの10年実質金利ということで知られています。
例えば、赤いチャートの10年実質金利が低下する局面では金価格が上昇し、10年実質金利が上昇する局面では、金が横ばい、あるいは下がっています。
ただ、ここ最近は、米10年実質金利が横ばいにもかかわらず、金の価格が大きく上昇しています。また、直近では実質金利が横ばいにもかかわらず金価格が下落しているということで、どうやらアメリカの10年実質金利のみでは、金の価格は決まっていない、説明ができないことが分かってきました。
こういった教科書通りではない動きをしている金が、今後何の影響を受けて動くのかを見ていきたいと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
[ 目次 ]
金価格に最も影響を与えているもの
金利が上がっているのに金(ゴールド)も一緒に上昇
では、早速見ていきたいと思います。
まず、金利が上がっているのに、なぜ金も一緒に上昇しているのかです。
下の図表ですが、金の価格を黒、米10年実質金利を青いチャートで表しています。青いチャートは逆目盛りになっています。つまり、下のほうに向かえば金利の上昇を表しています。

2000年から2022年の22年間は、実質金利が下落するときに金の価格が上昇していました。青いチャートが上昇する、実質金利が低下するときに金が上昇する。実質金利が上昇する局面では金が下がるということが、よく知られていました。
これは教科書的によく知られたことなのですが、2022年以降、大きく状況が変わっています。
実質金利が大きく下に向かって上昇しているにもかかわらず、金の価格が上昇しているということで、逆相関の関係が崩れているのです。つまり、今のマーケットでは、金利ではない要因で動いているということが分かってきました。
利上げ局面で最も金価格に影響を与える「真の主役」とは?
その1つの要因として何があるのか。今、一番影響を与えているのは何なのでしょうか。
下の図表は、ワールド・ゴールド・カウンシルが出している資料です。

紫は利上げ局面における金との相関を表したものです。青が利上げ局面も含めて、全ての期間においてどういう相関かを表したものです。
金と2年債、金と10年債の金利、金と10年実質金利、さらに金とアメリカのドルインデックス。これらの中で、最も逆相関が強いものはどれなのかを示したものです。
平時も含めて全ての期間において、最も大きく金と逆相関になっているのは、ドルインデックスだと分かっています。
かつ、今後、利上げ局面になるとした場合には、紫の棒チャートが大事です。マイナス0.6ということで、ドルインデックスが上昇してくるようであれば、特に利上げ局面においては、金との逆相関が非常に強いということが分かってきました。
こういった過去の事例を踏まえると、今後私たちが注目すべきは、政策金利を引き上げて金利が上がったということよりも、ドルインデックスがどうなっていくかだと見えてきました。
FRBは他中銀よりタカ派ならばドル高圧力が高まる
では、ドルインデックスは今後どうなるのかでしょうか。
下のチャートはG10、ドル以外の大きく取引されている10ヶ国分の通貨を表したものとドルインデックスがどうなっているかを表したものが青、アメリカとその他の国々の金利差を表したものが黒となっています。

お分かりの通り、黒いチャートは最近大きく上昇しています。
なぜ上昇しているかというと、FRBが他の中央銀行よりも相対的にタカ派的なスタンスを維持すると見られているからです。
金利差がドルから見て拡大していく状況になると、黒いチャートが上昇します。そうなってくるとドルインデックスが上昇し、金の価格が下がりやすくなると言われているわけです。
マーケットではFRBは、特にECBなどに比べて、いわゆるハト派ではなくタカ派スタンスと意識されています。それが今の状況につながっているのです。
例えば、先週ECBが利上げを行いました。今回のFOMCにおいて、もしウォーシュ議長がマーケットが思っているほどタカ派でなかった場合、この見通しが変わってくるわけです。
そうなってくると、金利差も縮まるようなことになってきます。そのとき、ドルインデックスは、上値が重たくなってくる可能性があるわけです。
ECBも実際に利上げを行っていますし、さらにRBAやBOC、BOEも利上げをする可能性があることを考えると、FRBが利上げをするかよりも、その利上げが今後も続くかどうかが、ドルインデックスに大きな影響を与えます。
利上げがあったという事実だけではなく、その後の金融政策の見通しが、ドルインデックスに非常に大きな影響を与えるということが見えてきました。
私たちは金に投資する人間として何を見るべきかというと、ドルインデックスが上がっていくような状況なのか、特に金利差がどうなっているのか、他の中央銀行に比べてFRBの政策がタカ派的なのか。そういったところを見定めていく必要があると分かってきました。
今後の金価格を見る3つのポイント
これを踏まえて、今後の金の価格を見る3つのポイントということで取り上げました。

1つ目が、FRBの金融政策とドルインデックスです。これがどうなるのかが、非常に大きな影響を与えることが分かってきました。
もう1つ、これはワールド・ゴールド・カウンシルでも言われているのですが、中東情勢、インフレがどうなるのかです。
先週末、中東で和平合意が締結されることが発表されましたから、おそらくインフレは収まるだろうとマーケットは思っています。
原油価格も下落していますし、金価格も少し上昇している、ドルインデックスも少し下がっています。2番目の問題というのは、1つ目処がつきつつあるということです。
1つ目のポイントであるドルインデックスに関する見通しに大きく影響するFRBの政策も、今週ある程度見えてきます。1つ目と2つ目のポイントは、今週ある程度見えてくると言われているわけです。
1つ目、2つ目を今週しっかりと見定めた上で、3つ目である中央銀行の需要、金に対する需要がどうなるのかをしっかり確認し、それでも需要が強いようであれば、1と2がクリアになれば、金は上昇する可能性があると言えるかもしれません。
では、今の需要がどうなっているのでしょうか。
こちらもワールド・ゴールド・カウンシルから持ってきた資料です。需要がどうなっているかを見ると、ジュエリーやETFなどの需要は前年比でマイナスになっています。全体的に、需要が落ちているのです。
一方で、黄色い部分、中央銀行に関しては、まだ引き続き旺盛な需要があると分かっています。
昨今の状況からいくと、ドル離れが少し進んでいく、アメリカの財政に対する懸念も若干あるとなってくると、各中央銀行が金をそろえていくということは、これからも続く可能性があります。
特に、左の図表をご覧いただければ分かるように、今後増やす予定だというところが非常に多くなっていることを考えると、中央銀行の需要が減る可能性は少ないと考えられます。
ジュエリーやETFの需要については、ドルインデックスの上昇がある程度落ち着いてくる、金融政策の見通しが見えてくるとなってくると、また需要が戻ってくる可能性があります。
中央銀行のしっかりとした需要に対して、民間の需要が増えてくると、需要が非常に強くなる可能性があります。
1と2が今週ある程度見えてきます。3については、これまでと変わらないしっかりとした需要があります。
そうなってくると、金価格の見通しは今週大事なポイントを迎えます。ドルインデックスが上がるような他の国に対して、相対的にタカ派的な強さがあるかどうかをしっかりと見ていただきたいと思います。
合意がしっかりと結ばれてインフレが鎮静化するようであれば、5,300ドルから続いてきた金の調整というのが、1つ目処がついてくる可能性があります。ぜひ今週は、金融政策に注目していただきたいと思っています。
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